このページのまとめ
- コアコンピタンスとは自社独自の技術や能力のこと
- コアコンピタンスを高めることで、市場での優位性が増す
- コアコンピタンスを高めるためには、自社の強みを明確にする必要がある
競合他社より優位に立つために、自社にしかない技術である「コアコンピタンス」が注目を集めています。コアコンピタンスが理解できると、市場をリードし、企業の発展にもつながります。しかし、コアコンピタンスの認知度は低く、コアコンピタンスへの理解が曖昧な担当者も多いことでしょう。このコラムでは、コアコンピタンスの理解を深めたい担当者に向けて、必要な要件やコアコンピタンスの評価手順を解説します。
コアコンピタンスとは
コアコンピタンスとは、他社には真似できない、自社の軸になる技術や能力のことです。コンピタンスには能力や適性、力量などの意味があります。コアコンピタンスでは、自社の軸となるコンピタンスを生み出し、サービスや製品への活用が求められます。
コアコンピタンス経営
自社のコアコンピタンスを活かして行う経営をコアコンピタンス経営と呼びます。特に、工業などの「ものづくり」を行う企業にとって重要です。なぜなら、自社の真似できない技術でものづくりができれば、高い市場価値を確保でき、自社に安定した利益をもたらすためです。
また、コンピタンス経営では、自社が活躍できる市場を予測し、適応することが求められます。他社との競争に打ち勝ち、市場を手に入れるためには、他社が参入できない市場形成が必要になるのです。
ケイパビリティとの違い
コアコンピタンスと混同されやすい言葉に、ケイパビリティがあります。ケイパビリティとは、自社が得意とする組織的な能力を指す言葉です。たとえば、研究開発力やマーケティング力などが挙げられます。ケイパビリティとコアコンピタンスの違いとしては、技術力と組織力の違いです。ケイパビリティは「ディーラー管理力」のような組織的能力を、コアコンピタンスは「エンジン技術」のような特定技術を指すという違いがあります。
コアコンピタンスの3要件
コアコンピタンスとは、「競合他社に真似されない技術力」です。では、具体的にどのようなものを指すのでしょうか。ここでは、コアコンピタンスに必要とされている3要件を解説します。
顧客に利益を提供する能力
コアコンピタンスでは、顧客に利益を提供する能力が求められます。顧客の利益を生み出すサービスが、自社の利益を生み出すからです。たとえば、競合他社が真似できない商品を発明しても、顧客に必要とされなければ利益は生まれません。コアコンピタンスでは、他社が真似できない技術に加えて、顧客に必要とされる技術、利益をもたらす技術が求められます。
他社に真似されない能力
他社が真似できない、独自性のある技術力もコアコンピタンスに必要です。自社でしか扱えない技術は、自社サービスの軸として売り出すことができるからです。たとえば、自社で新しい技術を開発しても、他社が真似できる技術であれば、優位性が失われます。市場にはライバルが多く、どの企業も競合他社より優れたサービスを開発しようと努力しているためです。競争に勝つためにも、簡単に真似されない技術が求められます。
複数の商品や分野に展開できる能力
一つの商品ではなく、複数の商品や分野に展開できる技術がコアコンピタンスに重要です。負数の商品を展開できれば、さまざまな市場で勝負できるためです。たとえば、一つの市場でしか戦えない場合、市場が廃れてしまうと企業は利益を失ってしまいます。一方で、複数の市場で戦える技術があれば、別の市場で戦ったり、新しい市場を探したりできます。このように、コアコンピタンスでは、複数の商品に展開できる能力が重要です。
コアコンピタンスの質を高める5つの視点
コアコンピタンスの質を高めるために、次の5つの視点が提唱されています。
模倣可能性
模範可能性とは、自社の技術が他社に真似できるかどうかの視点です。他社に真似されない技術ほど、コアコンピタンスの質が高いとされています。模倣可能性が高い企業は、市場を独占する可能性が高まり、高い利益を得られる可能性が高くなるでしょう。コアコンピタンスを実現するためには、簡単に真似されない、独自性のある技術が求められます。
移動可能性
移動可能性とは、保有する技術がほかのサービスにも展開できることです。技術の応用ができれば、別の市場で戦うことができます。たとえば、優れたエンジン技術を持つ企業は、乗用車だけではなく、レーシングカーやトラクターなどさまざまな市場に展開可能です。この場合、エンジン技術で、コアコンピタンスの質が高いと判断できます。コアコンピタンスの質を高めるために、自社の技術にどれだけの汎用性があるのかを見定めましょう。
代替不可能性
自社でしか実現できないこと、他社では置き換えられないことを代替不可能性と呼びます。代替できないサービスや技術は、コアコンピタンスが高いといえるでしょう。たとえば、自社のサービスを競合他社に置き換えた場合のことを想定します。自社だから実現できる、他社では結果が劣るサービスであれば、コアコンピタンスが高いことを証明できます。コアコンピタンスは独自性が求められるため、他社に代替されないことも重要です。
希少性
市場で生き残るためには、自社ならではの希少性も重要です。模倣可能性と代替不可能性を満たしていれば、希少性があると考えられます。希少性・模倣可能性・代替不可能性の3つを満たしていれば、市場での高い価値を確立して利益を得ることにつながるでしょう。
耐久性
耐久性とは、自社の技術が長期的に他社優位を生み出せるかどうかの視点です。耐久性が高いほど、ブランドのような信頼にもつながります。技術は日進月歩で進化しており、他社も新しい技術やサービスを市場に送り出しています。そのなかで、自社の技術が優れていることを示し続ける必要があります。耐久性を長期間維持できる技術は、コアコンピタンスが優れているといえるでしょう。
自社のコアコンピタンスの評価手順
コアコンピタンスの概要を理解できたら、次は以下の手順に沿って自社のコアコンピタンスを評価してみましょう。
強みを書き出す
まずは、自社での強みを書き出してみましょう。ブレインストーミングを行い、思いつくままに書き出しましょう。書き出せる内容としては、次のようなものがあります。
- 技術
- ノウハウ
- 商品
- サービス
- 人材
- 企業文化
強みを書き出す際には、他社と比べて優れているものを書き出しましょう。書き出すか迷った内容でも、気にせずにすべて書き出して問題ありません。
強みの評価する
書き出した内容をコンピタンスの3要件を基準に評価します。コンピタンスの3要件は次のとおりです。
- 顧客に利益を提供する能力
- 他社に真似されない能力
- 複数の商品や分野に展開できる能力
評価する際には、3要件に該当しているか、点数をつけると良いでしょう。ブレインストーミングなどで書き出した内容すべてを評価します。点数が高い内容ほど、自社のコアコンピタンスになり得ます。
強みを明確にする
最後に、自社の強みを明確にし、コアコンピタンスになるか考えましょう。点数ではなく、具体例を出して考えます。たとえば、自社の強みが「複数の商品や分野に展開できる能力」の場合は、具体的にどのような分野に展開できるか考えます。「顧客に利益を提供する能力」では、書き出した内容が顧客にどのような利益をもたらすか考えます。具体的に考えられるものほど、コアコンピタンスが高い内容です。強みを明確にし、今後のサービス展開に役立てましょう。
まとめ
競争が激化する社会を生き抜くために、コアコンピタンスが重要です。まずは、コアコンピタンスを明確にし、自社にしかない強みを知りましょう。その次に、コアコンピタンスを成長させ、維持する方法を考えるのがポイントです。コアコンピタンスを高めることで、国際競争を勝ち抜く企業もあります。自社にしかない強みを明確にしたうえで、サービス展開を考えましょう。