人的資本経営とは、人材を単なる「資源」ではなく「資本」として位置づけ、その価値を最大化することによって企業の持続的な成長を目指す経営手法です。
有価証券報告書でも情報開示が義務付けられており、会社経営に携わる方は人的資本経営に取り組む必要があります。
本記事では、人的資本経営の定義やフレームワーク、実現のためにやるべきことを解説します。また、人的資本可視化指針についても解説するので参考にしてください。
人的資本経営とは
人的資本経営とは、自社で働く従業員などの人材を単なる「資源」ではなく、価値を生み出す「資本」として位置づけ、その価値を最大限に引き出すことによって中長期的な企業価値の向上を目指す経営手法のことです。
日本における「人的資本経営」の考え方と定義は、経済産業省が立ち上げた「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」での議論を通じて体系化されました。
議論の成果は、2020年9月に「人材版伊藤レポート」として公表されています。
このレポートの中で、人材を消費される「人的資源(コストや管理の対象)」として捉える過去の成功体験から脱却し、成長と価値創造の担い手である「人的資本(投資の対象)」へと捉え直す必要があることが示されました。
参考:経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」
人的資本経営が必要とされる背景
人的資本経営が必要とされる背景には、労働力不足の進行や無形資産の重要性の高まり、ESG要因を重視する傾向が強まっていることがあります。
労働力不足が進行している
人的資本経営が求められている理由の一つは、労働力不足が進行していることです。
少子高齢化や人生100年時代の到来など、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。2040年には人口減少によって就業者数がさらに減少すると予測されており、適切な人的資本への投資や産業構造の転換を行わないと、職種間や学歴間での需給ミスマッチが生じるリスクが指摘されています。
このように労働供給が制限される社会において、企業の経営戦略を実現するために必要な人材をいかに確保・育成するかが、これまで以上に重要になっています。
無形資産の重要性が高まっている
人的資本経営が必要とされる背景には、無形資産の重要性が高まっていることがあります。
従来の企業価値は、設備や不動産などの「有形資産」を中心に評価されてきましたが、近年では人的資本や知的資本などの「無形資産」が企業価値を決定づける主要な要因へとシフトしています。
たとえば、政府が公表している「人的資本可視化指針(改訂版)」によると、米国市場(S&P500)の構成銘柄における時価総額のうち、無形資産の占める割合は年々増加傾向にあり、2020年には90%を占めています。
同資料では、企業の時価総額から純有形資産を差し引いたものを「純無形資産」と定義しており、以下の算出式のように、その純無形資産を時価総額で割ることで、インデックスに占める無形資産の割合を割り出しています。
【無形資産の割合の算出式】
| 無形資産の割合 = 純無形資産(時価総額 - 純有形資産) ÷ 時価総額 |
人的資本を含む無形資産の価値をいかに高めるかが、グローバルな競争において不可欠な要素となっているのです。
ESG要因を重視する傾向がある
ESG要因を重視する傾向が強まっていることも、人的資本経営が必要とされる背景の一つです。
国内外の機関投資家の間では、ESG投資の重要性が広く認知されています。
ESG投資とは、従来の財務情報(売上や利益など)に加えて、「環境(E)」「社会(S)」「企業統治(G)」の3つの非財務情報を考慮して投資先を選別する手法です。人的資本は、そのうちの「社会(S)」の中核となる指標です。
ESG投資において、特に「社会(S)」の要素が持続的な企業価値の向上に直結するという認識が強まっており、実際にS要因の評価が高い企業ほど、株価のパフォーマンスが優れているというデータも存在します。
参考:
経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」
内閣官房「『人的資本可視化指針』の改訂について」
当社は、ESG要因の一つである人的資本の指標となる「エンゲージメント・従業員満足度」に関する調査を実施しています。レポートでは、従業員が働き方に対して抱く満足・不満の要因や重視している働き方などを明らかにしています。
調査結果の全文は「【2025年版】働き方の満足度・転職意向に関する調査」の資料請求ページで無料ダウンロードが可能です。ぜひご覧ください。
人的資本経営と従来の経営との違い
人的資本経営と従来の経営との違いは、「人材マネジメントの目的」「アクション」「主導権」「ベクトル」「個と組織の関係性」「雇用コミュニティの形式」の6つの観点においてみられます。
| 観点 | 従来の経営の特徴 | 人的資本経営の特徴 |
| 人材マネジメントの目的 | 人的資源・管理 | 人的資本・価値創造 |
| アクション | 人事 | 人材戦略 |
| 主導権 | 人事部 | 経営陣・取締役会 |
| ベクトル | 内向き | 積極対話 |
| 個と組織の関係性 | 相互依存 | 個の自律・活性化 |
| 雇用コミュニティの形式 | 囲い込み型 | 選び、選ばれる関係 |
※経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~人材版伊藤レポート~」をもとにレバレジーズが作成
従来の経営では、人材を消費される「人的資源」とみなし、管理してコストを抑える人事部主導の内向きなオペレーションが主流でした。また、終身雇用などを前提に企業と個人が相互依存する、囲い込み型のコミュニティが一般的でした。
一方、人的資本経営では、人材を価値創造の源泉となる「人的資本」と捉え、人材への資金を将来の企業成長に向けた投資として扱います。そして、経営陣が主導して経営戦略と密接に連動した人材戦略を策定・実行し、企業価値向上を目指します。
さらに、従業員の自律的なキャリア形成を促し、企業と個人が対等に選び・選ばれるオープンな関係へと変化しています。
また、自社の人材戦略が価値創造にどう繋がるかのストーリーを、投資家や従業員に向けて積極的に発信し、対話を行っていく点も大きな違いです。
参考:経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」
人的資本経営の実現に向けてやるべきこと
ここでは、人的資本経営を実現させるためにやるべきことを、経営陣・取締役会・投資家の立場に分けて解説します。
経営陣が人的資本経営のためにやるべきこと
人的資本経営の実現に向けて、経営陣は自社の存在意義や経営理念に立ち戻り、経営戦略と連動した人材戦略の策定と実行を主導する必要があります。
経営戦略上で重要となる人材の課題を特定し、「目指すべき将来像(To be)」と「現状(As is)」のギャップを定量的なKPIを用いて把握したうえで、そのギャップを埋めるための戦略を実行しましょう。
また、CEO(最高経営責任者)やCHRO(最高人事責任者)をはじめとする経営トップが密接に連携し、自社の人材戦略を投資家や従業員に対して積極的に発信していくことが求められます。
取締役会が人的資本経営のためにやるべきこと
人的資本経営を実現するために、取締役会は「経営陣が策定した人材戦略が経営戦略としっかりと連動し、企業価値の向上に寄与するものになっているかどうか」を確認・承認する役割を担います。
取締役会には設定されたKPIの進捗を定期的にモニタリングし、経営陣の取り組みを適切な方向へと監督・指導することが求められます。
さらに、経営層の後継者育成(サクセッションプラン)や、組織内に企業文化が定着しているかどうかの議論・監督も、取締役会の重要な責務です。
投資家が人的資本経営のためにやるべきこと
人的資本経営の実現に向けて、投資家は中長期的な視点に立ち、投資先企業の持続的な成長を後押しするための建設的な対話を行うべきです。
企業が開示・発信する人材戦略のストーリーや各種データをふまえ、それが経営戦略と整合しているか、企業価値創造につながっているかを評価し、投資先の選定や対話に活かすことが期待されています。
参考:経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」
人的資本経営に必要なフレームワーク
人的資本経営に必要なフレームワークは、「3P・5Fモデル」と呼ばれます。
ここでは、人的資本経営の「3P・5Fモデル」を構成する3つの視点と5つの共通要素について詳しく解説します。
人的資本経営において求められる3つの視点
人的資本経営において求められる3つの視点とは、「経営戦略と人材戦略の連動」「As is-To be ギャップの定量把握」「企業文化への定着」です。
| 3つの視点 | 概要 |
| 経営戦略と人材戦略の連動 | 経営戦略から逆算して、それを実現するための人材戦略を策定・実行する視点 |
| As is-To be ギャップの定量把握 | 設定した重要課題に対してKPIを設け、理想の姿(To be)と現状(As is)の差を定量的に把握・評価する視点 |
| 企業文化への定着 | 人材戦略を実行するプロセスを通じて個人の行動変容を促し、企業文化として組織内に根付かせる視点 |
人的資本経営を実践し、企業価値を持続的に高めていくためには、これらの3つの視点を持つことが重要です。
経営戦略と人材戦略の連動
企業を取り巻く環境が激しく変化する現代において、経営戦略やビジネスモデルの実現を支えるのは「人材」です。
そのため、経営戦略と人材戦略は表裏一体のものとして連動させ、策定・実行することが肝要です。
ビジネスモデルが企業ごとに異なるのと同様に、適した人材戦略も企業ごとに異なります。
自社の存在意義や経営戦略に深く向き合い、それに合わせた独自の戦略を練り上げる必要があります。
同時に、人材ポートフォリオの最適化や組織の活性化など、どの企業にも共通して求められる要素と、自社特有の重要な課題である人材アジェンダの双方について、経営戦略とのつながりを強く意識しながら具体的なアクションやKPIに落とし込んでいくことが有効です。
As is-To be ギャップの定量把握
人材戦略が実際に経営戦略と連動しているかを確認するためには、理想と現実のギャップを可能なかぎり数値化して把握することが大切です。
自社の重要な人材課題ごとにKPIを設定し、目指すべき「将来の姿(To be)」と「現在の姿(As is)」を定量的に比較・評価します。
これは戦略の策定時だけでなく、実行段階においても継続的に測定しましょう。そうすることで、PDCAサイクルを回しながら戦略をアップデートしていくことが可能です。
また、投資家などの社外のステークホルダーとの対話においても、この定量データは強力な根拠となります。
単なる従業員数だけでなく、リスキリングなどの人的資本への投資が、いつ・どのようなリターンをもたらすのかを定量的に示し、発信することが求められています。
企業文化への定着
企業文化は最初から存在しているものではなく、日々の業務や組織の取り組みを通じて徐々に醸成されていくものです。
企業の存在意義や持続的な価値向上につながる望ましい企業文化を明確に定義し、それが組織全体に根付くようにはたらきかける視点が必要です。
企業文化は、人材戦略を実行していくプロセスそのものから生まれる結果でもあります。そのため、人材戦略を立案する初期段階から「どのような企業文化を目指すのか」を見据えておくことが重要です。
組織への定着を図るためには、経営トップ自らがそのビジョンを粘り強く発信し続けるとともに、企業文化の浸透度合いについても適切なKPIを設けて、定期的に効果測定と検証を行うことが推奨されます。
人的資本経営において求められる5つの共通要素
人的資本経営において求められる5つの共通要素とは、「動的な人材ポートフォリオ」「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」「リスキル・学び直し」「従業員エンゲージメント」「時間や場所にとらわれない働き方」です。
| 5つの共通要素 | 概要 |
| 動的な人材ポートフォリオ | 経営戦略の実現に必要な人材を、最適なタイミングで質・量の両面から確保・配置する |
| 知・経験のダイバーシティ&インクルージョン | 多様な属性や経験、専門性を持つ人材を受け入れ、掛け合わせることでイノベーションを生み出す |
| リスキル・学び直し | 環境変化に合わせて、従業員が新たなスキルを獲得するための学び直しを支援し、専門性を高める |
| 従業員エンゲージメント | 従業員が会社の方向性に共感し、やりがいを持って主体的に業務に取り組める環境を創り出す |
| 時間や場所にとらわれない働き方 | リモートワークなどの柔軟な働き方を整備し、それに適応したマネジメントを実践する |
自社の人材戦略を構築・実行する際、これら5つの要素を自社の戦略に組み込むことで、人的資本の価値をより効果的に引き出すことが可能になります。
動的な人材ポートフォリオ
変化の激しい現代において経営戦略や新たなビジネスモデルを実現するためには、必要となる人材を「質」と「量」の両面から常に最適化する、動的な人材ポートフォリオを策定することが大切です。
現時点での社内人材をベースに考えるのではなく、目指すべき将来の目標から逆算して、どのような人材要件が必要かを定義し、適所適材の配置・育成・獲得を進める必要があります。
また、変化の激しいビジネス環境においてギャップをスピーディーに埋めるため、平時からリスキリングや部門を越えた配置転換、外部人材の確保などを行い、常に人材ポートフォリオを適時適量な状態へとアップデートし続ける動的な運用が求められます。
なお、このギャップの把握には、HRテクノロジーなどを活用したデータの蓄積と可視化が有効です。
知・経験のダイバーシティ&インクルージョン
中長期的な企業価値向上のカギとなる非連続的なイノベーションを生み出す原動力は、多様な個人の掛け合わせにあります。
性別や国籍といった表面的な属性の多様性に加えて、他業界での経験や異なる専門分野、独自の価値観や感性といった「知と経験の多様性」を積極的に組織へ取り込むことが重要です。
多様な人材を受け入れるだけでなく、それぞれの強みが実際のビジネスのアウトプットにつながるよう、協働のあり方を見直し、多様性を具現化するプロセスを構築することが求められます。
リスキル・学び直し
急激な環境変化や働き手の価値観の多様化に対応するため、従業員が新たなスキルを獲得するリスキル(リスキリング)や学び直しを企業が積極的に支援することが必要です。
従業員の自律的なキャリア構築を支援し、社外でも通用するような専門性を身に付ける機会を提供することは、優秀な人材を惹きつける魅力にもなります。
また、変革をリードするためには、経営陣自身も率先して学び直しを実践する姿勢が欠かせません。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されるなか、ITリテラシーの向上は特に重要性が高いです。また、同時にAIには代替できない人間らしい創造性やデザインスキルなどの重要性も増しています。
従業員エンゲージメント
多様な人材がその能力やスキルを存分に発揮するためには、従業員が働きがいややりがいを感じ、主体的に業務に取り組める、従業員エンゲージメントの高い組織を創り上げることが大切です。
従業員エンゲージメントを高めるためには、企業と個人が相互に選び合う対等な関係を築き、企業が目指す方向性と従業員個人の成長ベクトルを一致させることが重要です。
企業理念や経営状況などの情報を従業員に対してオープンにし、共感や納得感を得るための対話を重ねましょう。また、多様で柔軟な働き方や魅力的なキャリアパスを提供し、個人の自発性を後押しするアプローチが求められます。
時間や場所にとらわれない働き方
トラブルや不測の事態が起こったときでも事業を継続できるレジリエンスを確保するため、いつでも・どこでも・安全かつ安心して働ける環境を平時から整備しておくことが重要です。
リモートワークやテレワークを制度として導入するほか、離れた場所で働く多様なメンバーをまとめ上げるためのマネジメントスキルの向上やリーダーシップの育成が、これまで以上にマネージャー層に求められます。
また、業務プロセスの見直しやコミュニケーション不足の解消、現場に出向く必要があるエッセンシャルワーカーへの配慮など、働き方の多様化によって生じる課題に試行錯誤しながら対応していく姿勢が必要です。
参考:経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」
人的資本可視化指針とは
「人的資本可視化指針」とは、日本企業の人的資本投資と情報開示を促すために内閣官房が取りまとめたガイドラインです。
2023年3月期決算より、有価証券報告書において人的資本情報の開示が義務化されました。
有価証券報告書に「サステナビリティに関する考え方及び取組」という記載欄が新設され、「人材育成方針」や「社内環境整備方針」の記載が求められています。さらに「従業員の状況」欄において、「女性管理職比率」「男性育児休業等取得率」「男女間賃金格差」といった多様性に関する指標の開示も必須となりました。加えて、2026年3月期からは、企業戦略と関連付けた人材戦略や、それをふまえた従業員給与などの決定方針についての開示も新たに求められます。
このような開示義務化のルールに対応しつつ、それを単なる形式的な穴埋めで終わらせないための実践的なガイドラインとなるのが、内閣官房が公表した「人的資本可視化指針」です。
同指針は、企業が国際的な開示動向をふまえながら、経営戦略と連動した質の高い人的資本投資を実践し、その取り組みや効果を投資家や労働市場に向けて効果的に開示するための具体的なステップを示しています。
人的資本開示における4つの要素
人的資本開示において、情報開示の際に求められる4つの要素は以下のとおりです。
- ガバナンス
- 人材戦略
- リスク管理
- 人的資本関連の指標および目標
人的資本開示における4つの要素を相互に関連付けることで、投資家の期待に応える網羅的かつ説得力のある開示が可能となります。
人的資本開示のポイント
人的資本開示のポイントは、主に下記の3点です。
- 戦略と連動させたストーリーを示す
- 定量的データを根拠として用いる
- 動的な人材ポートフォリオを可視化する
人的資本開示を適切に行うことで、投資家や求職者からの評価が高まったり、従業員エンゲージメントが向上したりする効果が期待できます。
戦略と連動させたストーリーを示す
人的資本開示のポイントの一つは、戦略と連動させたストーリーを示すことです。
人的資本の情報をただ羅列するのではなく、経営戦略の実現に向けてなぜその人材戦略が必要なのか、両者の関係性を論理的で一貫した成長ストーリーとして説明しましょう。
定量的データを根拠として用いる
人的資本開示を行う際は、自社の経営課題に対する取り組みの進捗を示すため、可能なかぎり定量的な指標や目標を設定することが必要です。
客観的なデータに基づき、定性的な説明を補足することによって、自社の成長ストーリーの説得力が増します。
動的な人材ポートフォリオを可視化する
人的資本開示のポイントには、動的な人材ポートフォリオを可視化することが挙げられます。
将来のビジネス環境の変化を見据え、企業の成長戦略を実現するために不可欠となる「人材ポートフォリオ(あるべき組織・人材の姿)」をできるかぎり鮮明に描き出すことが第一歩です。
動的な人材ポートフォリオを可視化する際は、現状のポートフォリオとのギャップをHRテクノロジーなどを活用して適時に把握し、それを埋めるための投資や取り組みを示すことが求められます。
参考:
内閣官房「『人的資本可視化指針』の改訂について」
金融庁「サステナビリティ情報の開示に関する情報」
経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」
レバレジーズは「【2025年版】Z世代の離職についての調査レポート」において、Z世代とそれ以上の世代(X・Y世代)の間にある仕事への価値観や離職に対する意識の相違を明らかにしています。
調査結果によると、Z世代は残業の少なさやワークライフバランスを特に重視し、転職に対しても前向きな傾向を示していることが分かりました。一方で、管理職側は若手の満足度や退職理由を正確に把握できていない可能性が示唆されています。
動的な人材ポートフォリオを最適化するためには、適材適所の配置が必要です。
本資料は、こうした世代間のズレを解消し、組織の定着率を向上させるためのマネジメントへのヒントを提示しています。
調査結果の全文は「【2025年版】Z世代の離職についての調査レポート Vol.1」の資料請求ページから無料ダウンロードが可能です。人的資本経営の実現に向けて、ぜひご活用ください。
人的資本経営コンソーシアムとは
人的資本経営コンソーシアムとは、日本企業における人的資本経営を実践と開示の両面から底上げすることを目的に、2022年8月に設立された組織です。
伊藤邦雄氏ら有識者が発起人となり、経済産業省や金融庁もオブザーバーとして参加しています。
人的資本経営コンソーシアムの主な活動内容
人的資本経営コンソーシアムでは、日本企業における人的資本経営を、実践と開示の両面から促進するための活動を行っています。
設立初期(第1期・第2期)には「実践分科会」や「開示分科会」などが設けられ、現在(第3期)は「実践プログラム」などに体制を移行しながら活動を深化させています。
人的資本経営コンソーシアムの主な活動内容を、以下で解説します。
企業同士の情報共有
人的資本経営コンソーシアムでは、人的資本経営に先進的に取り組む企業同士が集まり、実践に関する事例の共有や、企業間での協力に向けた議論を行っています。
また、会員企業間での情報共有にとどまらず、国内外の人的資本に関する情報を収集し、「好事例集」や「トップランナーたちの取組(事例集)」にまとめ、広く社会に発信・普及させる活動も担っています。
開示方法の検討
人的資本経営コンソーシアムの活動内容の一つは、開示方法の検討です。
投資家をはじめとするステークホルダーに向けて、企業価値向上につながるような効果的で質の高い人的資本情報の開示方法について検討を重ねています。
投資家との対話
人的資本経営コンソーシアムでは、人的資本経営を実践する場として、会員企業が実際に投資家と直接意見交換を行える対話の場を設けています。
投資家との対話を通じて、企業側は自社の人材戦略や開示内容に対する資本市場からのリアルなフィードバックを得ることができ、人的資本経営のさらなる改善につなげることが可能です。
地域企業への取り組みの波及
第3期の活動からは、新たに「地域版人的資本経営コンソーシアム」が設置されました。
これにより、都市部の大企業だけでなく、各地方や地域の企業に対する人的資本経営の普及・推進へと活動の幅を広げています。
人的資本経営コンソーシアムの入会条件
人的資本経営コンソーシアムでは、2024年1月19日から通年で新規入会の申込を受け付けています。
人的資本経営コンソーシアムの入会にあたっては、コンソーシアムの設立趣旨に賛同して規約に同意したうえで、人的資本経営の実践と開示に関して先進的な取り組みを行い、その内容を会員間で共有する意思がある法人が対象となります。
具体的には、以下の3つの要件を満たしていることが期待されています。
- 国内に事業所を有し、現在事業活動を行っている法人であること
- 相当数の従業員に対して、人的資本に関する具体的な取り組みを実施していること
- 有価証券報告書や統合報告書などの媒体を通じて、人的資本情報の開示を行っていること
入会後は、毎年3月31日時点の正社員の従業員数(連結ベース)に応じて、以下の会費を納入する必要があります。
| 正社員の従業員数(連結ベース) | 人的資本経営コンソーシアムの会費 |
| 200人未満 | 3万円 |
| 200人以上1,000人未満 | 10万円 |
| 1,000人以上10,000人未満 | 30万円 |
| 10,000人以上 | 50万円 |
入会を希望する法人は、人的資本経営コンソーシアムの公式サイトに記載されているメールアドレスに連絡する必要があります。
参考:
人的資本経営コンソーシアム「人的資本経営コンソーシアムの概要」
経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」
人的資本経営を可視化するためのツール
人的資本経営において、人材戦略が経営戦略と連動しているかを判断し、適切に推進していくためには、目指すべき将来の姿(To be)と現在の姿(As is)のギャップを可能なかぎり定量的に把握することが大切です。
従業員エンゲージメントのような個人の意識に関する項目であっても、KPIとして定量化することで、ギャップを埋めるための具体的な戦略やアクションに落とし込むことが可能になります。また、企業価値向上につながる人的資本への投資や人材戦略の進捗を「見える化」し、投資家などのステークホルダーと建設的な対話を行うための根拠としても、客観的な定量データを継続的に蓄積・開示していくことは重要です。
重要な人材アジェンダの一つである従業員エンゲージメントの定量化と継続的な可視化を実現するツールとして、「NALYSYS モチベーション管理」が有効です。
「NALYSYS モチベーション管理」を利用することによって、以下のことが可能になります。
定期的な定量データの取得と可視化

「NALYSYS モチベーション管理」では、用途に合わせた複数のサーベイを搭載しています。
そのうちの一つである「モチベーションサーベイNALY」は、月1回・1分程度で回答できるパルスサーベイです。モチベーションサーベイNALYを行うことによって、社員のモチベーションやエンゲージメントの状態をリアルタイムで定量データとして観測します。
これにより、個人のモチベーションの変動要因や組織全体の状態が定量的に可視化され、人事や現場のマネージャーは従業員の変化を素早くキャッチアップできるようになります。
課題の早期検知とデータに基づく判断

「NALYSYS モチベーション管理」にはAIが搭載されており、個別最適なマネジメントを支援します。
AIが蓄積されたデータを独自のアルゴリズムで分析し、エンゲージメントの低下や離職につながる課題を未然に検知してアラートを出します。
これにより、属人的な勘や経験に頼らない、客観的なデータに基づいて「誰にフォローが必要か」を明確に判断することが可能です。
施策の効果測定とPDCAの実行

「NALYSYS モチベーション管理」では、あらゆるデータをわかりやすくまとめて可視化します。
サーベイ結果に加え、1on1の対応や研修・社内イベントなどの施策が社員のモチベーションにどのような影響を与えたかを定量的に把握することが可能です。
これにより、実施した人材施策の有効性をデータで検証し、改善を繰り返すPDCAサイクルを回すことが可能になります。
このように、「NALYSYS モチベーション管理」を活用することで、エンゲージメントを定量的なデータとして精緻に管理・可視化でき、人的資本経営の実現に向けた効果的なマネジメントの実践につながります。
「NALYSYSモチベーション管理」についてさらに知りたい方は、「3分でわかるNALYSYS(ナリシス)」のページで無料の資料請求をご利用ください。
資料には機能や活用シーンのほか、導入事例も掲載しています。
まとめ
人的資本経営とは、単に人事部門の制度見直しにとどまらず、企業の持続的な成長と企業価値向上を左右する重要な経営上のアジェンダです。
労働力不足の深刻化や無形資産へのシフトが進むなか、経営陣自らがリーダーシップを発揮し、経営戦略と人材戦略を密接に連動させることが必要です。
開示義務化への対応を形式的なものに終わらせず、自社の成長ストーリーに基づいた独自の指標を設定し、社内外のステークホルダーと積極的な対話を図ることで、組織のマネジメント課題の解決と新たな価値創造へとつなげていきましょう。

