採用工数を削減するためには、現状採用活動の各プロセスで発生している工数を可視化し、原因に合わせた改善策を講じる必要があります。
本記事では、採用工数を削減するための具体的な方法や改善に成功した企業事例を紹介します。また、採用工数フォーマットを使った工数の目安時間の算出方法や削減に向けてチェックするべき指標も解説するので、採用工数の肥大化にお悩みの人事・採用担当者の方は参考にしてください。
採用工数の内訳
採用工数とは、採用活動にかかる時間や労力の総量のことです。
採用工数の主な内訳は以下のとおりです。
| ▼採用プロセス | ▼具体的な採用活動の例 |
| 採用計画 | ・採用ニーズの明確化・求める人材像の設定・予算とスケジュールの策定・採用手法の選定・選考フローの設計・評価基準の作成 |
| 母集団形成・募集 | ・求人票の作成・求人媒体の運用・求人広告の掲載・ダイレクトリクルーティングの実施・リファラル採用の実施・説明会の実施・採用イベントへの参加・オウンドメディアでの発信・SNSでの発信・インターンシップの開催 |
| 選考 | ・書類選考・カジュアル面談・グループ面接・個別面接・適性検査・評価 |
| 内定・内定後フォロー | ・内定・オファー面談・社員との交流会・定期的な連絡 |
効率的な採用活動を実現するためには、まず採用工数の内訳を正確に把握することが重要です。採用工数を細分化することで、どのプロセスにどれだけの時間がかかっているかを明確にできます。
各プロセスでかかる採用工数の目安時間
採用活動を効率化するには、各プロセスでかかる採用工数の目安時間を把握しておくことが大切です。採用活動の各プロセスにかかる採用工数の目安時間を知ることで、採用計画の精度向上や人員配置の最適化につなげられます。
採用工数の目安時間を把握するためには、採用工数フォーマットを用いて各採用工程でかかる時間・作業量を可視化することが有効です。
下記の表は、採用工数フォーマットの活用例です。
たとえば、一次面接のプロセスでかかる採用工数は「1.5時間 × 30名」で計算され、合計45時間になります。
| 採用プロセス | 具体的な業務内容 | 1回あたりの時間 | 想定候補者数 | フェーズ別工数 | 担当者(役割) |
| 求人票作成 | 求人原稿の作成・修正・更新 | 3.0時間 | 1件 | 3.0時間 | 人事 |
| 書類選考 | 履歴書・職務経歴書の確認 | 0.5時間 | 100名 | 50.0時間 | 人事 / 現場 |
| 一次面接 | 面接実施・評価入力・調整 | 1.5時間 | 30名 | 45.0時間 | 現場担当者 |
| 二次面接 | 面接実施・評価入力・調整 | 1.5時間 | 10名 | 15.0時間 | 部門長 |
| 最終面接 | 面接実施・合否判断 | 1.0時間 | 3名 | 3.0時間 | 役員 |
| 内定・条件 | オファー面談・条件提示 | 1.0時間 | 2名 | 2.0時間 | 人事 |
採用プロセスやかかる時間、候補者数などは企業によって異なるため、上記の採用工数フォーマットを参考にし、自社の状況に合わせて作成したテンプレートを使用しましょう。
採用工数の削減が求められる背景
現代の採用市場では、採用工数の削減が急務となっています。労働市場の変化や採用競争の激化により、従来の採用手法では効率的な人材獲得が困難になってきているためです。
ここでは、採用工数の削減が求められている主な背景について解説します。
人材獲得競争が激化している
採用工数の削減が求められる背景には、人材獲得競争が激しくなっていることが挙げられます。
近年、日本の労働市場において人材獲得競争が激化している状況には、主に2つの要因が存在します。
1つ目の要因は、生産年齢人口の減少です。
総務省の「情報通信白書 令和4年版」によると、日本の15~64歳の生産年齢人口は1995年をピークに減少を続けています。さらに、2050年には2021年比で29.2%減となる5,275万人にまで減少すると見込まれています。

2つ目の要因は、有効求人倍率の高止まりです。
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和8年2月分)について」によれば、令和8年2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍となっています。過去の推移を見ても、継続的に1倍を超える水準を維持しており、求職者数よりも求人数が多い状態が続いています。
これは、限られた求職者を多数の企業で奪い合っていることを示しています。

このように、長期的な生産年齢人口の減少によって労働力の絶対的な供給量が細っている一方で、有効求人倍率は高止まりしています。この需給バランスの構造的な崩れにより、企業が求める人材を確保することはますます困難になっています。
厳しい状況下で優秀な人材を獲得するためには、人事・採用担当者が採用工数の無駄を削減し、より戦略的な採用活動に時間を割くことが必要です。
参考:
総務省「情報通信白書 令和4年版」
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年2月分)について」
採用活動が長期化・通年化している
採用活動が長期化・通年化していることは、採用工数の削減が求められる理由の一つです。
新卒採用は長期化している傾向がみられます。
内閣府の「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査(令和6年度)」によると、就職活動の期間が9ヶ月間程度以上に及んだと回答した学生は約5割に上り、この割合は年々増加傾向にあります。就職活動に要する期間そのものが延びており、人事・採用担当者が採用業務に関わる期間も延びていると考えられます。
また、同調査によると、インターンシップと呼称される活動が「採用のための実質的な選考を含んでいた」と答えた割合は年々高まっており、2024年度の結果では53.7%でした。さらに、参加時期は大学3年生の7〜9月がピークとなっており、参加した企業から早期選考の案内を受けた割合は70.8%に達しています。こうした状況から、夏のインターンシップが事実上の採用開始時期として機能しています。


さらに、即戦力を求める中途採用では、欠員が生じた際の随時募集が一般的です。また、売り手市場が続いていることから潜在的な転職希望者へのアプローチの必要性が高まっており、採用担当者は年間を通じて採用業務に従事することになります。
このような採用活動の長期化・通年化によって採用担当者の業務負荷は慢性的に高い状態が続いているため、効率的な採用工数の配分が重要になっています。
参考:内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査(令和6年度)」
選考書類の平準化により面接の重要性が増している
採用工数の削減が求められる背景には、選考書類が平準化して面接の重要性が増していることがあります。
生成AIの普及により、エントリーシートなどの選考書類は誰もが一定のクオリティで作成できるようになり、質的な平準化が進んでいます。そのような状況下では、履歴書や職務経歴書だけで候補者の本質的な能力や人柄を見極めることは困難です。
当社が企業の担当者を対象に実施した「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」によると、約7割の企業が書類選考だけでは人物の見極めを行うことが難しくなったと感じており、書類選考の基準緩和や廃止へと動いています。


書類選考による事前の絞り込みが困難になったことで、採用活動における面接の重要性が高まっています。その結果、面接数の増加や面接時間の延長が発生し、いかに採用工数を削減して面接対応の時間を確保するかが求められています。
本調査の全文を読みたい場合は、「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」から無料ダウンロードが可能です。資料請求フォームに必要事項をご入力のうえ、ご送信ください。
採用工数の削減に向けて確認するべき指標
採用工数削減のために確認するべき主要な指標は、「採用担当者の工数」「歩留まり率」「採用単価」です。
採用工数を効果的に削減するためには、現状を数値で把握し、改善点を明確にすることが重要です。そしてこれらの指標を定期的にモニタリングし、改善施策の効果を測定することが、持続的な採用工数削減につながります。
採用担当者の工数
採用工数の削減に向けて確認すべき指標として、採用担当者の工数が挙げられます。
採用担当者の工数を正確に把握することで、効率化を進めるべき業務の特定が可能です。
たとえば、採用担当者の工数は以下の項目に分けて測定します。
| 業務内容 | 測定項目 |
| 求人作成・掲載 | 1求人あたりの作成時間 |
| 応募者対応 | 1応募者あたりの対応時間 |
| 書類選考 | 1件あたりの選考時間 |
| 面接 | 1回あたりの面接時間(準備・実施・評価) |
| 内定者フォロー | 1人あたりのフォロー時間 |
採用担当者の工数データを蓄積することで、どのプロセスにどれくらいの時間がかかっているかを明確にでき、優先的に改善すべき領域を特定できます。
歩留まり率
採用工数の削減に向けて確認するべき指標の一つは、歩留まり率です。
歩留まり率とは、各選考段階を通過する応募者の割合のことで、採用プロセスの効率性を測る重要な指標です。
採用活動における歩留まり率の計算には、「次の選考段階へ進んだ人数」と「前の段階における対象人数」を用います。
各採用プロセスの歩留まり率の計算方法の例は、下記のとおりです。
| 各採用プロセスの歩留まり率(単位:%) | 歩留まり率の出し方 |
| 求人応募率 | 応募者数 ÷ 求人閲覧数 × 100 |
| 書類通過率 | 書類選考の合格人数 ÷ 応募者数 × 100 |
| 面接参加率 | 面接実施人数 ÷ 面接設定人数 × 100 |
| 面接通過率 | 面接選考の合格人数 ÷ 面接実施人数 × 100 |
| 内定承諾率 | 内定承諾人数 ÷ 内定を出した人数 × 100 |
歩留まり率が低い採用プロセスでは無駄が発生しているケースが多く、採用工数が増大します。
歩留まり率の数値を追跡・分析することで、採用活動の非効率なプロセスや、候補者の辞退が多発しているボトルネックを特定することが可能です。
採用単価
採用工数の削減に向けて確認するべき指標には、採用単価が挙げられます。
採用単価(Cost-per-Hire)とは、1人を採用するのにかかった総コストのことで、採用活動の費用対効果を測定する重要な指標です。
採用単価は以下の計算式で求められます。
【採用単価の計算式】
| 採用単価 = 採用にかかった総費用 ÷ 採用人数 |
採用にかかる費用には、人件費や広告費、選考会場費、システム利用料などが含まれます。特に人件費は採用工数に直結するため、採用単価がふくらんでいる場合は効率性が低い可能性があります。
採用工数を削減する方法
採用工数削減の主な方法には以下のようなものが挙げられます。
- HRテックを活用する
- 採用活動にオンライン対応を取り入れる
- 採用手法を厳選する
- アウトソーシングを利用する
採用工数の削減には、さまざまなアプローチがあります。効果的な工数削減を実現するためには、自社の採用課題に適した手法を選択し、実行することが重要です。
HRテックを活用する
採用工数を削減する方法の一つは、HRテックを活用することです。
HRテックとは人事・採用業務にテクノロジーを活用したサービスやツールのことで、採用業務を効率化して工数を大幅に削減します。
代表的なHRテックのツールには、以下のようなものがあります。
- ATS(採用管理システム)
- Web面接システム
- AI面接ツール
- AI適性検査ツール
- AIチャットボット
HRテックを導入することで、従来は手作業で行っていた業務を自動化・効率化できます。
たとえば、AI面接ツールを活用すれば、応募者との面接スケジュールの調整や面接の実施を自動化でき、担当者の工数を大幅に削減できるでしょう。
採用活動にオンライン対応を取り入れる
採用活動にオンライン対応を取り入れることで、採用工数を削減することが可能です。
オンライン化によって物理的な制約を解消し、効率的な採用活動を実現できます。
オンライン対応を導入することで工数を削減できる採用活動のプロセスは多岐にわたります。
たとえば、一次面接にWeb面接を導入すれば、面接会場の準備や面接官・候補者の移動時間を削減でき、1日により多くの面接を実施することが可能です。また、現地で実施していた説明会をオンライン説明会にすれば、録画配信により同じ内容を繰り返し説明する手間を省けるでしょう。
採用手法を厳選する
採用手法を厳選することが、採用工数の削減につながることがあります。
採用手法が複数あれば、多くの人数にアプローチしたり多彩な候補者層にアピールしたりできます。しかし採用手法が増えれば増えるほど、各手法を運用するための工数がその分かかります。
そのため、効果測定をして採用手法の取捨選択を行うことが重要です。
効果的な採用手法を厳選するときの、基準となるポイントの例は下記のとおりです。
| 観点 | 基準となるポイント |
| 費用対効果 | 投資した時間とコストに見合った成果が得られているか |
| 応募者の質 | 求める人材要件にマッチした応募者が集まっているか |
| 採用実績 | 実際に採用につながっているか |
データに基づいて採用手法を評価し、成果の低い手法の利用を停止する決断もときには必要です。効果の高い採用手法に工数を集中させることで、全体の採用効率を向上させられるでしょう。
アウトソーシングを利用する
採用工数を削減する方法として、アウトソーシングを利用することが挙げられます。
採用業務を外部に委託することで、採用工数を大幅に削減できる可能性があります。
まずアウトソーシングを検討するべき業務は、時間がかかるノンコア業務です。たとえば、求人票の作成・入稿やスカウト文面の作成、応募者の初期対応、面接の日程調整などです。
採用活動のなかでも定型化しやすい作業は、アウトソーシングしても品質に影響が出づらく、質を保ったまま社内の採用工数を削減できます。
採用要件の設定や最終面接、最終判断など、自社の判断が必要な工程については内製化を維持しつつ、戦略的にアウトソーシングを活用しましょう。
採用工数の削減に成功した企業事例
ここでは、HRテックを活用して採用工数の削減に成功した企業事例を2つ紹介します。
導入事例インタビューには採用工数削減の実現可能性と具体的な改善効果について記載されているので、ツール導入により採用工数を大幅に削減したいとお考えの方は参考にしてください。
First fit株式会社さまの成功事例
| 会社名 | First fit株式会社 |
| 業種・業界 | フィットネスクラブ |
| 会社の所在地 | 東京都 |
| 課題 | ・事業の急拡大に伴う、採用業務にかかる工数の逼迫 |
| 導入したサービス | NALYSYS AI面接 |
急成長中のパーソナルジム運営会社であるFirst fit株式会社さまは、採用業務の負担増と選考の遅れを解消するため、「NALYSYS AI面接」を導入しました。
「NALYSYS AI面接」のシステムは、AIが候補者の動画を分析して評価レポートを自動生成するもので、24時間いつでも受験可能な利便性が特徴です。
「NALYSYS AI面接」を導入した結果、人事担当者の工数は約80%削減され、内定までの期間も従来の3分の1にあたる10日程度に短縮されました。さらに、書類だけでは見えにくい候補者の熱意や人間性を効率的に把握できるようになったことで、採用の質と速度が改善しています。
今後も同社は、テクノロジーを活用して空いた時間をスタッフ教育や顧客サービスの向上に充て、組織のさらなる拡大を目指しています。
インタビュー全文については「採用工数を80%削減し、選考スピードは3倍に。『NALYSYS AI面接』で実現した、”全員の熱意に触れる” 採用戦略。」のページでご覧ください。
株式会社アルス・ノヴァさまの成功事例
| 会社名 | 株式会社アルス・ノヴァ |
| 業種・業界 | WEB・モバイルアプリケーション開発/WEBデザイン |
| 従業員数 | 40名(※取材当時の情報です) |
| 会社の所在地 | 東京都 |
| 課題 | ・採用の質と量の両立・一次面接の工数削減 |
| 導入したサービス | NALYSYS AI面接 |
株式会社アルス・ノヴァさまは、採用活動における「質」と「量」の両立に課題を抱えていました。
特に中途採用では、入社後のミスマッチを防ぐため代表自らが1回約2時間をかけて一次面接を行っており、夜間や土日の対応を含めて面接工数が極端に肥大化していました。そのため面接の数をこなすことが困難で、オファー数を制限せざるを得ない状況でした。
また、新卒採用においても個別に面接をする工数を確保できずグループ面接を実施していましたが、グループ面接では一人ひとりの候補者と深く向き合えないというジレンマがありました。
この課題に対して同社は「NALYSYS AI面接」を導入し、採用工数を大幅に削減することに成功しました。
AIが一次面接のスクリーニングを代行することで面接工数の制約がなくなり、企業は自信を持ってオファー数を増やすことが可能になりました。結果として母集団が拡大し、より自社にマッチする人材と出会うチャンスが広がります。
削減された工数を活用することによって新卒採用でも一人ひとりにフォーカスした選考時間が創出され、採用工数の削減と質の向上の両立が実現されています。
インタビュー全文は「一次面接工数大幅削減と母集団形成の最大化へ。アルス・ノヴァが「NALYSYS AI面接」導入で目指す、変化に適応する採用戦略」のページに掲載しています。
また、「NALYSYS AI面接」のサービスに興味をお持ちの場合は、「3分でわかるNALYSYS AI面接」のページから無料で資料ダウンロードができますので、ぜひご活用ください。
まとめ
採用工数の削減は、現代の企業にとって避けて通れない重要な課題です。人材獲得競争の激化や採用活動の長期化・通年化、選考書類の平準化によって、従来の採用手法では効率的な人材確保が困難になっています。
採用工数の削減を実現するためには、まず現状の工数を正確に把握し、適切な指標で改善効果を測定することが重要です。採用担当者の工数、歩留まり率、採用単価といった指標を継続的にモニタリングしながら、改善施策を実施していく必要があります。
採用工数削減の具体的な改善手法としては、HRテックの活用やオンライン対応の導入、採用手法の厳選、アウトソーシングの利用が挙げられます。自社の状況に応じた適切な手法を選択し、継続的な改善に取り組むことで、効率的で質の高い採用活動を実現しましょう。
