面接評価シートは、面接官ごとの評価のばらつきを抑え、採用の判断をそろえるための土台です。シートがないまま面接を重ねると、同じ応募者でも面接官によって合否が変わってしまいます。
この記事では、そのまま使える面接評価シートのテンプレートサンプルと評価項目の例、作り方の5ステップ、評価基準の決め方から運用のポイントまでを解説します。注意点をふまえ、サンプル評価シートを活用して評価を行いましょう。
面接評価シートとは
面接評価シートとは、面接で確認する評価項目と評価基準をまとめ、応募者への評価を記録するための書式のことです。面接評価シートは、面接官の間で「何を・どの基準で」評価するかをそろえる役割を持ち、評価のばらつきを抑える土台になります。
まず、面接評価シートの役割と、シートがない場合に起こる問題を押さえておきましょう。
面接評価シートの役割
面接評価シートの役割は、評価基準の統一・評価の記録・応募者どうしの比較の3つです。
評価項目と基準をシートで共有すると、面接官が変わっても同じ物差しで評価できます。また、面接中の気づきを記録しておけば、後から評価の根拠をたどれます。さらに、複数の応募者を同じ項目で記録するため、応募者どうしの比較や、次の選考への引き継ぎもしやすくなります。
評価のばらつきが採用ミスマッチを招く
面接評価シートがないまま面接をすると、面接官の主観やバイアスが評価に入り込み、採用のミスマッチにつながるおそれがあります。
第一印象や自分との共通点で高く評価してしまうなど、無意識の偏りは誰にでも起こります。面接評価シートは、項目と基準に沿って判断する仕組みによって、こうした偏りを抑えることが可能です。
採用支援を行うレバレジーズ株式会社と、株式会社人材研究所代表の曽和利光氏は、採用ミスマッチの要因を「採用基準の設計のずれ」「募集内容の伝達のずれ」「面接での評価バイアス」「動機づけのミス」の4つに整理しています。
このうち「面接での評価バイアス」は、効果的な面接評価シートを作成することで改善できる可能性があります。
レバレジーズ株式会社と株式会社人材研究所代表の曽和利光氏による採用のミスマッチ要因に関する解説は、「採用のミスマッチはなぜ起きるのか」の資料で全文を閲覧できます。具体的な改善策も載せているので、ぜひ無料でダウンロードして採用活動にお役立てください。
面接評価シートのテンプレート【そのまま使えるサンプル】
面接評価シートのテンプレートとして、そのまま使えるサンプルを紹介します。
面接評価シートのテンプレートの使い方は、次の3ステップです。
- 下の表を範囲選択してコピーし、Excelやスプレッドシートに貼り付ける
- 評価項目を、自社の求める人物像に合わせて入れ替える
- 評価段階(S/A/B/C)の言葉の定義を、自社の基準に合わせて調整する
以下でサンプル評価シートのテンプレートと、各項目の例や書き方を示します。
サンプル評価シート
評価項目・評価基準・評価欄・コメント欄の4つがそろっていれば、面接評価シートとして機能します。
| 評価項目 | 評価基準 | 評価(S/A/B/C) | コメント(事実を記入) |
| コミュニケーション力 | 質問の意図を理解し、要点を整理して答えられるか | ||
| 主体性 | 自分から課題を見つけて動いた経験があるか | ||
| 課題解決力 | 課題への打ち手を、行動と結果で語れるか | ||
| ストレス耐性 | 負荷がかかった場面での対処を具体的に語れるか | ||
| 価値観・カルチャーフィット | 仕事で大切にする軸が自社と合うか | ||
| 志望度 | 自社への理解と入社意欲があるか | ||
| 総合コメント | 合否の判断理由(事実にもとづいて記入) |
上記は、S/A/B/Cの4段階評価を想定しています。
なお、集計して使う場合は、評価欄の隣に点数列(S=4〜C=1など)を足すと、合計や比較がしやすくなります。
評価項目の例
評価項目は、「能力」と「カルチャー・価値観」の2つの軸から、求める人物像に合わせて選びます。
- コミュニケーション力
- 論理的思考力
- 課題解決力
- 専門スキル
- 実務経験
- マネジメント経験
- 仕事で大切にする価値観
- 行動特性(主体性や協調性など)
- ストレス耐性
- キャリア志向
- 志望度や入社意欲
項目を増やしすぎると、面接時間内に確認しきれず、記入も雑になるおそれがあります。1回の面接で確認する項目は5〜7個程度に絞りましょう。
採用区分・職種で項目を変える
評価項目は、採用区分や職種によって重点を変えます。
新卒採用では、実績よりも学ぶ姿勢や価値観といったポテンシャルの項目を中心にするのが一般的です。
中途採用では、経験の再現性や専門スキルの項目を厚くします。
アルバイト採用や大量採用では、項目を絞ることが大切です。合否に直結する項目だけに絞ると、選考のスピードを保ちながら基準をそろえられます。
- シフトや勤務条件の適合
- 継続して勤務できる見込み
- 基本のコミュニケーション(あいさつや受け答え)
- 職場のルールへの適応
応募数が多い採用ほど、面接の回数と面接官の人数が増え、評価のばらつきも増幅します。面接評価シートを活用し、評価を標準化しましょう。
面接評価シートの作り方5ステップ
面接評価シートは、次の5つのステップで作ります。
- 求める人物像を整理する
- 評価項目を決める
- 評価基準と評価段階を定義する
- 質問とひもづける
- 運用ルールを決める
それぞれのステップの要点を解説します。
求める人物像を整理する
面接評価シート作成の出発点は、どのような人を採用したいかの言語化です。
現場の意見を取り入れ、活躍している社員の特徴から要件を整理しましょう。
人物像があいまいなままでは、どの項目で評価すべきかが決まりません。経営層の理想だけで決めず、配属先の上司や同僚に「どのような人なら活躍できるか」を確認すると、実態に合った人物像になります。
評価項目を決める
人物像を、面接で確認できる評価項目に分解します。
面接評価シートにおける評価項目は、能力とカルチャーの2軸で5〜7個程度に絞るのが目安です。項目を選ぶ際は、「面接の会話で確認できるか」を判断基準にします。
評価項目を検討する際は、面接で確かめようがないような抽象的な項目は避けましょう。
評価基準と評価段階を定義する
評価項目ごとに、どの水準なら合格かの基準と、評価段階を決めます。
面接評価シートに記載する段階の数と「基準を満たす」の意味を言葉で定義しましょう。面接官どうしでばらつきが生じないように、認識をすり合わせたうえで定義することが重要です。
質問とひもづける
評価項目ごとに、その項目を確認できる質問をあらかじめ用意します。
原則、項目1つにつき最低1問をひもづけましょう。項目と質問がつながっていないと、面接で聞いた内容を評価に落とせないので注意が必要です。具体的な質問例は、面接官の質問例を集めた記事で解説します。あわせてご覧ください。
運用ルールを決める
面接評価シートへの記入のタイミングや集計・合否判定のルールを、運用開始前に決めておきます。
たとえば、面接中のメモの取り方や面接評価シートを記入するタイミング、シートの提出期限などを定めましょう。
面接の評価基準の決め方
ここでは、面接における評価基準の決め方を、3つの観点で解説します。
ハイパフォーマー分析から基準を導く
自社のハイパフォーマーに共通する行動特性を分析すると、実態に合った評価基準を作れます。
経営層の理想や一部の主観に寄せた基準のみで評価基準を作成した場合、現場の実態と合わず、ミスマッチの原因になります。
そこでおすすめな評価基準の作成方法は、ハイパフォーマー分析を用いることです。実際に活躍している社員の行動や価値観から共通項を抽出し、それを面接で確認できる基準に落とし込みましょう。
ハイパフォーマー分析による採用基準の作り方は、資料「ハイパフォーマーから導き出す『採用基準』の作り方」で手順を解説しています。無料でダウンロード可能ですので、ぜひご活用ください。
Must条件とWant条件で線引きする
面接の評価基準は、必須の「Must条件」と、あれば望ましい「Want条件」に分けて定義します。
すべての項目を同じ重みで扱うと、合否の判断が総合印象に流されやすくなります。すべての評価基準を、Must条件なのかWant条件なのかを明確にします。
そして、「Must条件を一つでも満たさなければ見送る」といった線引きを事前に決めておきましょう。
評価段階と言葉の定義をそろえる
面接の評価基準を決定する際は、面接の評価段階と言葉の定義をそろえましょう。
面接の評価段階は3〜5段階が一般的です。段階の数に合わせて、評価段階ごとの言葉の意味を定義します。
たとえば4段階なら「基準を大きく上回る/満たす/やや不足/満たさない」のように定義します。また、段階に対応する行動の例まで書いておくと、さらに判断がぶれにくくなります。
面接評価シートの運用ポイント
作成した面接評価シートを効果的に運用するために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
ここでは、面接評価シートの運用のポイントを4つ紹介します。
面接が終わったらすぐに記録する
面接評価シートへの記入は、面接直後に行いましょう。
時間が空くと記憶が薄れ、正しい評価ができなくなるおそれがあります。面接が終わったら忘れないうちにすぐに面接評価シートに記録してください。
事実と評価を分けて記入する
面接評価シートに記入する際は、事実(候補者の実際の言動)と評価(面接官による評価)を分けて記入します。
前職では主体性を持って行動し、周囲を巻き込んで業務改善を行った優秀な人材。リーダーシップがあると感じた。
【事実】営業事務として、手作業だったデータ入力をマクロを使って自動化。周囲のメンバー5名にマニュアルを配布してレクチャーし、チーム全体の残業時間を月20時間削減したとのこと。【評価】自身の業務効率化に留まらず、周囲を巻き込んで組織の課題解決ができる高い「主体性」と「実行力」がある。当社の〇〇ポジションでも即戦力として期待できる。
事実と評価を混同した書き方をしてしまうと、面接官の主観が入り、あとから評価の根拠をたどれません。
事実と評価を明確に分けて書くことで、客観的でブレのない合否判定につながります。
点数の集計と合否判定のルールを決める
面接評価シートの運用にあたって、評価の点数の集計と合否判定に関するルールを定めておきましょう。
決定すべき要点は以下のとおりです。
- 集計方法(重み付け)
- 足切り項目および点数の目安
- 合格ライン
面接評価において点数の集計と合否判定のルールを決めておくことは、主観を排除し、組織として一貫した意思決定を行うために大切です。
面接官どうしで評価をすり合わせる
評価が分かれた項目は、点数ではなく記入された事実にもとづいて話し合います。
「なぜその評価にしたか」を事実で確認し合うと、面接官ごとの基準の解釈のずれを縮められるでしょう。
複数の面接官の合意形成のルールや人事や採用責任者による最終ジャッジのルールについては、あらかじめ定めておくことがおすすめです。ルール化することで、選考スピードが向上し、ブレのない公平な判定が可能になります。面接全体の進め方や面接官の育成は、面接官ガイドの記事で解説します。また、質問と評価の型をそろえる手法としては、構造化面接があげられますのでこちらもあわせてご覧ください。
ただし、すり合わせで縮められるのは解釈のずれまでで、面接官の人数や面接回数が増えるほど、人力での標準化は困難だとお考えの方も多いのではないでしょうか。そこで、評価そのものを仕組みで標準化する選択肢として近年注目されているのが、AI面接です。AI面接で評価をどこまで標準化できるかは、次の記事を参考にしてください。
レバレジーズ株式会社では、AIを活用して一次面接の質問と評価を標準化する「NALYSYS AI面接」というサービスを提供しています。「NALYSYS AI面接」ではAIがプロの面接を再現し、ばらつきやバイアスを抑えた公正な評価を行います。NALYSYS AI面接は、アルバイトやパートの大量採用をはじめ、派遣での面談シーンや新卒・中途採用のシーンなどでご活用いただけます。
「NALYSYS AI面接」について詳しく知りたい場合は「3分でわかるNALYSYS AI面接」のページをご覧ください。資料の無料ダウンロードが可能です。
まとめ
面接評価シートは、評価項目・評価基準・評価段階を一枚にまとめ、面接官の間で判断の物差しをそろえるための書式です。シートがあることで、面接官の主観やバイアスによる評価のばらつきを抑え、評価の根拠を記録として残せます。
作り方は、求める人物像の整理から始め、評価項目を能力とカルチャーの2軸で絞り、基準と段階を言葉の定義までそろえる、という順序です。評価基準は、自社で活躍しているハイパフォーマーの行動特性から導くと、実態に合った物差しになります。
運用では、面接直後に事実で記入し、Must条件の充足を先に確認してから合否を判断します。評価が分かれたときは、点数ではなく記入された事実で話し合いましょう。シートと運用をそろえることが、面接の質の安定と採用のミスマッチ防止につながります。
面接評価シートに関するよくある質問
面接評価シートについて、迷いやすい点を質問形式でまとめます。
Q. 新卒と中途で面接評価シートは分けるべきですか?
A. 評価項目の重点が異なるため、分けて作ることをおすすめします。
新卒はポテンシャルや価値観を、中途は経験の再現性や専門スキルを中心に評価します。共通の書式をベースに、項目だけ入れ替えると管理しやすくなります。
Q. 面接評価シートはExcelで作ってもよいですか?
A. Excelやスプレッドシートで問題ありません。
大切なのは使用するツールではなく、評価項目・基準・段階の定義がそろっていることです。応募数が多く、集計や共有に手間がかかる場合は、採用管理システムやAI面接などの仕組みで運用を自動化する方法もあります。
Q. 面接評価シートの点数だけで合否を決めてよいですか?
A. 点数は判断材料であり、点数だけで自動的に決めるのは避けましょう。
まずMust条件の充足を確認し、点数と記入された事実をあわせて判断します。点数だけに頼ると、項目に表れない重要な情報を見落とすおそれがあります。
