面接官のメモは、応募者を正しく評価するための土台です。メモの質が低いと、面接後に評価の根拠をたどれず、印象だけで合否を判断することになりかねません。
この記事では、面接官がメモに書くべき項目と記入例、会話を止めずに書くコツ、メモに残してはいけない情報、面接後の活用方法までを解説します。そのまま使えるテンプレートも用意しているので、初めて面接を担当する方は面接前の準備にお役立てください。
面接官が面接中にメモを取るべき理由
面接官がメモを取るべき主な理由は、評価の根拠を残すためと、選考の引き継ぎに使うための2つです。
まず、面接官のメモが採用活動のなかで果たす役割を押さえておきましょう。
評価の根拠になる事実を記録するため
面接官がメモに残すべきは、応募者の発言や行動という事実です。
採用支援を行うレバレジーズ株式会社と、株式会社人材研究所代表の曽和利光氏は、資料「採用時の人材を見極める方法と早期離職を防ぐための対策とは」の中で、面接を「事実を集めるインタビュー」と「基準に照らして判断するアセスメント」に分けて考えることを勧めています。
面接中のメモは、この「事実を集める」工程を支える道具です。
記憶は面接が終わった瞬間から薄れ、印象だけが残ります。事実をメモに残しておけば、評価に迷ったときも面接官どうしで評価が分かれたときも、根拠に立ち返って判断できます。
選考の引き継ぎを見据えて残すため
面接中のメモは、次の選考を担当する面接官への引き継ぎ資料にもなります。
一次面接で確認したこと・確認し残したことが記録されていれば、二次面接の担当者は同じ質問を繰り返さず、深掘りに時間を使えます。
同じ質問を繰り返さないことは、企業の好印象にもつながります。後続の面接において、すでに話したことではなく、その話題について深掘りするような質問がされれば、候補者は「しっかり連携が取れている組織である」「自分に興味を持ってくれている」と感じるでしょう。
レバレジーズ株式会社が提供する「NALYSYS AI面接」は、AIアバターが面接官に代わって自動で面接を行うサービスです。
「NALYSYS AI面接」の面接内容は録画され、面接終了後に文字起こしと評価レポートで確認することが可能です。
また、面接結果の評価レポートも自動で作成します。詳細な評価レポートにより応募者の人となりを把握できるため、後続の面接がさらに有意義なものにできるでしょう。

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面接官がメモに書くべきこと【記入例つき】
面接官がメモに書くべきことは、評価の根拠になる「事実」と、次の選考に渡す「申し送り」です。
面接官がメモするべき項目の一覧と、具体的な記入例を紹介します。
メモする項目の一覧
面接官のメモで押さえるべき項目は、次の5つです。
- 回答の要旨(質問に対して何を答えたか)
- 具体的なエピソード(行動、結果、数字)
- 確認し残したこと(次の選考で聞いてほしい点)
- 気になった点(回答と書類の食い違いなど)
- 志望度に関わる発言(他社状況や入社時期の希望など)
面接中のすべての発言を書き取る必要はありません。評価項目に関係する事実に絞って記録しましょう。
メモの記入例
面接官のメモについて、前項の5つの項目をそのままフォーマットにし、良い記入例・悪い記入例を入れて以下に示します。
| 項目 | 良い記入例 | 悪い記入例 |
| 回答の要旨 | 前職で新規開拓を担当。2年目に担当エリアの契約数を1.5倍にしたと回答 | 営業が得意そう |
| 具体的なエピソード | 顧客リストを自分で作り直し、訪問順を変えた。上司の指示ではなく自発的な行動と発言 | 主体性がある |
| 確認し残したこと | マネジメント経験の詳細は時間切れ。二次で確認してほしい | たぶん問題なさそう |
| 気になった点 | 直近の退職理由が書類(一身上の都合)と面接の説明(部署異動)で異なる | 少し頼りない印象 |
| 志望度に関わる発言 | 他社2社の最終選考中。入社可能時期は2ヶ月後と回答 | 志望度は高そう |
「誰が読んでも同じ場面を思い浮かべられる事実」を書くことが、面接官メモの記入の基本です。
悪い記入例では、いずれも面接官の印象になってしまっています。受ける印象は人によって解釈が分かれるため、このような記述は評価の根拠になりません。
面接官メモのテンプレート【そのまま使えるサンプル】
ここでは、フォーマットに沿って作成した面接官のメモのテンプレートを紹介します。
下の表を範囲選択してコピーし、Excelやスプレッドシートに貼り付ければ、そのまま使用できます。
| 項目 | 面接官メモ記載欄 |
| 面接実施日 | |
| 候補者名 | |
| 回答の要旨 | |
| 具体的なエピソード | |
| 確認し残したこと | |
| 気になった点 | |
| 志望度に関わる発言 |
上記は基本的なフォーマットです。
自社の採用活動において特に注目して確認したいチェックポイントがある場合は、面接官メモの項目を追加しましょう。
面接中のメモの取り方のコツ
面接中のメモは、会話と見極めを妨げないように記入するのがポイントです。
ここでは、面接中のメモ取り方のコツを3つ紹介します。
応募者に一言断ってからメモを取る
面接の冒頭に、応募者に対して「メモを取らせていただきます」と事前に一言伝えておきましょう。
断りなく手元に視線を落としている状態が続くと、応募者は「何を書かれているのか」と不安を覚える可能性があります。
一言断っておくことによって、応募者は安心して話せます。
会話を止めないように短く書く
面接中のメモは会話を止めないように、文章にせず、キーワードで短く書きます。
メモに書くことに集中すると、相づちや深掘りの質問が止まってしまい、応募者の話す意欲も下がります。
面接中のメモは1つの話題につき1行程度を目安とし、簡潔に書きましょう。
なお、記録の手間そのものを減らす方法として、応募者の回答が動画で残る「録画面接」という選考手法もあります。メモに頼らず、あとから見返して評価できるのが特徴です。
事実の記録に徹する
面接中のメモ段階では評価はせず、事実の記録に徹しましょう。
面接中、応募者の話を聞きながら評価を考え始めると、その印象に合う情報ばかりを集めてしまう傾向があります。面接中は事実の記録に徹することは、思い込みによる判断を防ぐために大切です。
評価は、面接後にメモを見返しながら基準に照らし合わせて行います。
面接での見極めの精度を高め、入社後のミスマッチを防ぐ考え方は、資料「採用時の人材を見極める方法と早期離職を防ぐための対策とは」で解説しています。無料でダウンロード可能ですので、ぜひご活用ください。
面接官がメモに残してはいけない情報
面接官が残すメモも応募者の個人情報であり、書いてよいことと書いてはいけないことがあります。
面接官がメモを取る際は、次の2点に注意してください。
適性・能力に関係ない事項は書かない
本籍地や家族構成、思想信条など、応募者の適性・能力に関係ない事項は、面接のメモに残してはいけません。面接で避けるべき質問の詳細は、面接官ガイドの記事で解説していますので、ご確認ください。
厚生労働省は、公正な採用選考の観点から、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を選考で扱わないよう求めています。面接官がそもそも質問しないことはもちろん、意図せず雑談で出た内容であってもメモに残さないようにしましょう。
参考:厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」
開示できない表現を残さない
面接官のメモには、開示できないような表現を残さないようにしましょう。
面接官のメモは、応募者本人から開示を求められる可能性がある前提で書きます。
面接メモを含む応募者の情報は、個人情報として扱われる場合がある点に注意が必要です。感情的な表現や決めつけの言葉は、開示されたときに企業の信頼を損ないます。「誰に読まれても説明できる事実」だけを書く、という基準で運用すると安全です。
面接後のメモの活用方法
面接官のメモは、面接後に評価へ変換し、選考全体で共有することで効果を発揮します。
ここでは、面接後のメモの主な活用方法を2つ紹介します。
評価シートに転記する
面接直後に、メモの事実を評価シートの項目ごとに転記し、評価を記入します。
たとえば「主体性:S/顧客リストを自分で作り直した事実あり」のように、項目・評価・根拠の事実をセットで転記します。
時間が空くと記憶が薄れるため、メモの評価シートへの転記は面接当日のうちに行いましょう。評価シートの作り方や評価基準の決め方は、面接評価シートの記事で解説します。あわせてご覧ください。
すり合わせ・引き継ぎに使う
面接官どうしで評価が分かれたときは、メモに残した事実にもとづいて話し合います。
印象ではなく「応募者が何を話したか」で確認し合うと、評価のずれの原因が見えてくるはずです。また、確認し残したことを次の面接官に引き継げば、選考全体で応募者への理解を深められます。
まとめ
面接官のメモは、応募者の発言や行動といった事実を記録し、評価の根拠と選考の引き継ぎに使うためのものです。
メモの質を高めることが、面接の評価のばらつきを抑え、採用のミスマッチを防ぐことにつながります。
面接官がメモに書くべき基本的な内容は、以下の5項目です。
- 回答の要旨
- 具体的なエピソード
- 確認し残したこと
- 気になった点
- 志望度に関わる発言
応募者に不安を与えないよう、メモを取る場合は面接の冒頭に一言断っておきましょう。面接中のメモは1つの話題につき1行程度を目安とし、簡潔に書くのがポイントです。また、本籍地や家族構成など適性・能力に関係ない事項は、質問しないだけでなくメモにも残さないよう注意が必要です。
面接が終わったら、当日のうちにメモを評価シートへ転記し、事実にもとづいて評価を付けましょう。
面接官のメモに関するよくある質問
面接官のメモについて、迷いやすい点を質問形式でまとめます。
Q. 面接の内容を録音してもよいですか?
A. 応募者の同意を得れば録音は可能です。ただし、無断での録音は避けましょう。
面接内容の録音は正確な記録に役立つ一方、応募者に心理的な負担を与える場合があります。そのため、録音する場合はあらかじめ目的を伝えて、応募者からの同意を取ることが必要です。
録音をしたいと考えている場合は、事前にデータの保管・廃棄のルールを決めておきましょう。
Q. 面接のメモはいつまで保管すべきですか?
A. 自社の文書管理規程に沿って、保管期間と廃棄方法を決めて運用します。
面接官のメモも応募者の個人情報にあたる場合があるため、選考終了後も無期限に残さず、期間を決めて廃棄することが望ましいです。判断に迷う場合は、自社の法務・労務の担当部署に確認してください。
Q. 不採用にした応募者のメモも残すべきですか?
A. 規程で定めた保管期間内に限り残し、期間を過ぎたら廃棄します。
保管期間内であれば、応募者からの問い合わせや再応募の際に、不採用の判断根拠を事実で説明できます。面接官のメモは無期限に残すのではなく、期間を決めた管理を前提にしてください。
