内定を出しても辞退が続くと、採用計画は根本から崩れてしまいます。内定辞退は、候補者を待たせる時間が長引くほど起こりやすくなるため、選考中からの防止設計が必要です。
この記事では、内定辞退率の平均や辞退が起こる原因、選考中・内定出し後それぞれの防止策を解説します。また、人事・採用担当者が悩みやすい、内定辞退の連絡への対応法やフォローについても解説しているので参考にしてください。
内定辞退率の平均
自社で内定辞退者が出ており、内定辞退率が他社と比べて高いのか気になっている人事・採用担当者の方も多いでしょう。
はじめに、内定辞退率の平均や自社の辞退率の計算方法を紹介します。
新卒の内定辞退率の平均
株式会社インディードリクルートパートナーズが実施した「就職プロセス調査」によると、2026年卒の大学生(2026年3月卒業時点)における内定辞退率は64.5%に上ります。
過去の推移を見ても、以下のとおり60%台半ばの水準で推移しており、半数以上の学生が少なくとも1社以上の内定辞退を経験しているのが実態です。
- 2026年卒:64.5%
- 2025年卒:63.8%
- 2024年卒:63.6%
また、内定を取得した学生が辞退した企業数の平均に目を向けると、2026年卒では1.54社となっています。こちらも2025年卒は1.61社、2024年卒は1.50社と、毎年1.5社前後で推移しています。
近年の新卒採用は選考の早期化が顕著であり、学生は早い段階から複数の内定を保有して比較検討する傾向にあります。
採用担当者としては「内定を出して終わり」ではなく、学生の入社意欲を高めるための継続的な内定者フォローや不安を払拭する定期的なコミュニケーションなど、内定辞退を防ぐための対策がますます重要になっているといえるでしょう。
参考:株式会社インディードリクルートパートナーズ「就職プロセス調査(2026年卒)『2026年3月度(卒業時点)内定状況』」
中途採用の内定辞退率の傾向
中途採用の内定辞退率については、新卒のような横断的な公表平均は存在しません。
企業ごとに母集団や選考プロセスが異なり、内定辞退が転職エージェント経由で処理されて企業側の集計に乗りにくいため、業界全体での平均を出しにくいのが実情です。そのため、公表値を探すよりも、自社の内定承諾率や内定辞退率を継続して測るほうが、対策に役立ちます。
自社の内定辞退率をどう測るかは、次で解説します。参考にして計算を行い、自社における中途採用の内定辞退率を測りましょう。
内定辞退率の計算方法
一般的に、自社の内定辞退率は「内定辞退者数 ÷ 内定者総数 × 100」で計算します。
たとえば内定を20名に出し、6名が内定辞退した場合、内定辞退率は30%です。
これは企業側の指標であり、前述の全国調査(求職者側・件数ベース)とは母数が異なります。そのため直接の比較はできませんが、社内での分析に有用な指標となります。
自社の数値は経年変化で追い、新卒・中途、職種、選考経路ごとに分けて計測しましょう。どこで内定辞退が集中しているかが見え、対策の優先順位を付けやすくなります。
内定辞退が起こる主な理由
内定辞退の多くは、候補者の不安や迷いが大きくなる前に、企業側が動機づけと情報提供を行えなかったことから起こります。
採用支援を行うレバレジーズ株式会社と株式会社人材研究所代表の曽和利光氏は、採用ミスマッチの要因を「採用基準の設計のずれ」「募集内容の伝達のずれ」「面接での評価バイアス」「動機づけのミス」の4つに整理しています。
このうち内定辞退に直結するのが「動機づけのミス」です。会社の魅力や現実的な情報を伝えきれないまま選考を進めると、候補者の入社意欲は他社との比較のなかで下がっていきます。
採用ミスマッチの要因に関する資料は、「採用のミスマッチはなぜ起きるのか」のページで無料ダウンロードが可能です。動機付けのフローにおいて生じる問題とその改善策についても詳しく解説しているので、ぜひご活用ください。
ここからは、新卒採用・中途採用に分けて内定辞退につながりやすい理由を解説します。
新卒に多い内定辞退理由
新卒に多い内定辞退の理由は、他社との比較と入社までの不安の増幅です。
- 併願している他社から内定が出て、比較の結果選ばれなかった
- 選考中の連絡が遅く、「本当に歓迎されているのか」と不安になった
- 内定から入社までの期間が長く、迷いが膨らんだ
- 家族や周囲の反対で気持ちが揺らいだ
新卒採用では内定から入社まで数ヶ月から1年近く空くこともあり、その間のフォロー不足が内定辞退の要因になります。
中途に多い内定辞退理由
中途に多い内定辞退の理由は、条件のミスマッチと選考過程で生じた不信感です。
- 提示された年収や勤務条件が希望と合わなかった
- 面接や連絡での対応に不信感を持った
- 現職から強く引き止められた
- カウンターオファーがあり、交渉に応じた
- 選考スピードが遅く、先に内定が出た他社に決めた
中途採用における候補者は、在職中に転職活動をしていることが多いです。そのため、意思決定のスピードが新卒より早い傾向があり、企業側の対応の遅れが内定辞退につながります。
【選考中】内定辞退を防止する対策
内定辞退の防止は、内定を出してからではなく、選考中から意識して行うことが大切です。
ここでは、選考中における内定辞退の防止策を2つ紹介します。
選考体験を設計し、採用理由を伝える
選考そのものを、候補者の入社意欲を高める体験として設計して内定辞退を防止しましょう。
面接で一方的に見極めるだけでなく、候補者の話を丁寧に聞き、質問に率直に答える姿勢が信頼につながります。内定を出す際には「なぜあなたを採用したいのか」を具体的に伝えましょう。自分の何が評価されたのかがわかると、候補者は「この会社は自分を見てくれた」と感じ、他社比較の際の判断材料になります。
選考スピードを上げ、候補者を待たせない
内定辞退を防止するためには、選考スピードを上げて候補者を待たせないことが大切です。
選考が長引くと、その間に他社が先に内定を出し、候補者がそちらを承諾してしまうことがあります。結果、自社で内定を出したにもかかわらず、内定辞退となってしまうのです。
選考のスピードは、内定後のフォローと並んで内定辞退を左右する要素です。連絡や合否の遅れは、候補者に「自分は歓迎されていないのではないか」という不安を与えます。とくに、日程調整や合否連絡が担当者の手作業に依存していると、応募が増えた時期に遅れが出やすくなります。
連絡の速さは個人の裁量に依存せず、進捗の管理や通知を仕組みで支えることが有効です。
もう一つの待たせる要因が、合否の判断そのものにかかる時間です。面接の日程が押さえられない、評価の集約に時間がかかる、といった選考プロセスの遅れは、事務連絡の自動化だけでは解消できません。
日程調整のいらないAI面接を使えば面接を早く実施でき、回答の評価やスコアリングで判断材料が素早く集まるため、担当者の合否判断を迅速に進められます。
レバレジーズが提供する「NALYSYS AI面接」は、24時間いつでも面接を実施でき、回答の評価・スコアリングを支援します。シームレスな体験により、候補者を待たせない選考体制を整えられます。
「NALYSYS AI面接」について詳しく知りたい場合は「3分でわかるNALYSYS AI面接」のページより、無料で資料をダウンロードできます。ぜひご活用ください。
RJPで仕事の現実を伝える
RJPによって仕事の現実を伝えることは、内定辞退の防止に貢献します。
RJP(Realistic Job Preview)とは、仕事の良い面と現実的な情報の両方を、選考の段階で率直に伝えることです。
レバレジーズ株式会社と曽和氏の知見によると、RJPは入社後のミスマッチ・早期離職の抑制に加え、内定後のギャップによる辞退の抑制にもつながるとされています。
会社の魅力づけを意識するあまり良い面ばかり伝えると、内定後に現実を知った候補者の気持ちは離れます。任される役割や求められる成果、大変な部分まで率直に開示しましょう。
【内定出し後】内定辞退を防止する対策
内定を出してから入社までの期間は内定辞退リスクが高く、しっかり防止策を講じる必要があります。
放置せず、候補者の不安の種類と時期に合わせたフォローを設計しましょう。
ここでは、内定を出したあとに講じるべき内定辞退の防止策を3つ紹介します。
内定者フォローを設計する
内定辞退を防止する対策の一つは、内定者フォローを設計することです。
内定者フォローは、「どの時期に・どんな不安が生まれるか」から逆算して設計します。
内定直後の候補者は、「この会社でよいのか」「入社してからやっていけるか」という不安を抱きがちです。前者の不安には「採用理由の再伝達」や「社員との対話」を、後者の不安には「入社後の業務イメージづくりの機会の創出」というように、不安の種類に合わせて打ち手を選びましょう。
接点をつくる施策を選ぶ
内定辞退を防止するためには、内定者との接点をつくる施策のなかから適切なものを選ぶことが重要です。
内定者との接点施策は、以下のように解消したい不安の種類と時期で選びます。
| 施策 | 解消できる不安 | 実施時期の目安 |
| 社員座談会 | どんな人と働くのかわからない | 内定直後〜中期 |
| 社内見学・オフィスツアー | 職場の雰囲気がイメージできない | 内定直後〜中期 |
| 経営層との交流会 | この会社の方向性と合っているのか | 中期 |
| 体験入社・内定者アルバイト | 仕事についていけるか | 入社前の中期〜後期 |
| 内定者懇親会 | 同期に馴染めるか、一人ではないか | 入社直前の時期 |
自社の内定者が抱えやすい不安に合わせて、2〜3の施策に絞って実行しましょう。
内定ブルーに対応する
内定を出したあとは、内定ブルーに対応することが必要です。
内定ブルーとは、入社が近づくにつれて「本当にこの会社でよかったのか」と不安になることです。内定ブルーを放置すると内定辞退につながります。
内定ブルーを防ぎ、入社意欲を高める対策として、「内定者同士の交流の場を設けること」と「入社への自信を持たせる情報提供を行うこと」が重要です。交流を通じて共感を得たり、企業の魅力を再発見したりすることで、入社への自信につながります。
内定ブルーへの対策法は「採用時の人材を見極める方法と早期離職を防ぐための対策とは」の資料で詳しく解説しています。内定辞退率の高さにお悩みの方は、無料で資料をダウンロードしてご活用ください。
内定辞退が出たときの対処
内定辞退があった際には、次へ活かす意識を持って行動を起こすことが大切です。
ここでは、内定辞退が生じた際の対処のポイントを2つ紹介します。
内定辞退の理由をヒアリングする
内定辞退の連絡を受けたら、候補者を決して責めず、丁寧なヒアリングによって理由を聞き出しましょう。
「差し支えなければ、今後の参考に理由を教えていただけますか」と、率直に尋ねる形で十分です。決め手になった他社の条件や、自社選考への率直な感想は、次の採用を改善する一次情報になります。
辞退者への対応を丁寧に行うことは企業への好印象につながり、再応募やポジティブな口コミにもつながるでしょう。
次の採用に反映する
ヒアリングした内定辞退の理由は記録し、採用プロセスの見直しに反映します。
辞退理由が条件面に集中しているなら募集設計に、選考対応への不満なら選考体験に原因があります。内定辞退の理由を真摯に受け止めて冷静に分析し、次回以降での内定辞退防止に役立てましょう。
まとめ
内定辞退の多くは、企業側の動機づけや情報提供の不足によって引き起こされます。新卒採用では他社との比較や入社までの不安の増幅、中途採用では条件のミスマッチや選考対応に対する不信感などが主な辞退理由となります。
このような内定辞退を未然に防止するためには、選考段階から候補者の入社意欲を高める体験を設計することが重要です。
個別の採用理由を候補者に明確に伝えるとともに、仕事の良い面だけでなく現実的な側面も率直に開示して信頼関係を構築します。また、内定出し後も候補者を決して放置せず、時期や抱えやすい不安の種類に合わせた社内見学や社員との交流などの適切なフォローを実施し、内定ブルーを防ぐことが必要です。
万が一内定辞退が発生してしまった場合でも、候補者に寄り添って丁寧に理由をヒアリングし、得られた情報を次回の採用プロセス改善に活かしていく姿勢が求められます。
内定辞退防止に関するよくある質問
内定辞退の防止への対応で迷いやすい点を、質問形式でまとめます。
Q. 内定辞退の連絡があったら引き止めてもよいですか?
A. 候補者の意思を尊重するのが望ましいです。
内定辞退の理由を聞いたうえで、誤解や情報不足が原因であれば補足の説明が有効な場合もあります。ただし、すでに他社への入社を決めた候補者への過度な引き止めは、企業の評判を損なうので注意しましょう。
Q. 内定者からの返事はいつまで待ってよいですか?
A. 回答期限は1〜2週間程度で設定し、延長の相談には柔軟に応じる企業が多い傾向です。
期限を切らないと意思決定が先延ばしになり、内定辞退率はかえって上がります。一方で、一方的に短い期限を迫ると不信感につながるため、候補者の事情を聞いたうえで期限を合意する形が現実的です。
