「AI面接は人材派遣の登録面談にどこまで使える?」と疑問をお持ちの人も多いのではないでしょうか。
AI面接は派遣元の登録面談や自社の採用選考で活用可能で、評価の標準化や求職者の離脱防止などのメリットがあります。
本記事では、人材派遣においてAI面接に任せられる場面や導入効果を紹介します。また、導入手順と運用の注意点も解説するので、登録面談の効率化を検討している派遣会社のご担当者は参考にしてください。
派遣におけるAI面接とは登録面談の一次対応を代行する仕組み
派遣業界におけるAI面接とは、人材派遣会社が行う登録面談などの一次対応を、AIアバターなどが代行する選考・面談手法です。
派遣登録希望者は、パソコンやスマートフォンからAIアバターの質問に回答します。回答内容に応じてAIがリアルタイムに深掘りの質問を重ねるため、個々の経験や希望条件に応じた対話が可能です。多くのサービスにおいて、派遣登録希望者は24時間365日いつでも受検することが可能です。
面談終了後には評価レポートが自動作成されます。
本記事では、登録希望者への希望条件や職務経験の聞き取り(一次ヒアリング)から、その内容をまとめた評価レポートの作成までを総称して「一次対応」と呼びます。
なお、AI面接にはあらかじめ録画された回答動画を後からAIが解析する「動画評価型」もありますが、本記事では登録面談の一次対応で主流となりつつある「対話型AI面接」を指して解説します。
人手不足や採用コストの高騰が続く人材派遣業界において、登録面談の効率化と選考精度の平準化を実現する有効な手段として注目を集めています。
AI面接そのものの基本的な仕組みやサービスの選び方は、次の記事で解説しています。
有人の登録面談とAI面接の違い
有人の登録面談とAI面接の根本的な違いは、面談を実施する主体が「コーディネーター(人)」か「AI」かという点にあります。
従来の人材派遣会社における登録面談は、来社型の登録会や、電話・Web面談(Zoom等)の形式で行われてきました。しかし、いずれの手法でもコーディネーターが直接面談を行うため、事前の日程調整や面談枠の確保など、担当者の稼働負担が避けられません。
一方、AI面接ではAIアバターが質問と深掘りを自動で行うため、担当者がリアルタイムで面談に対応する必要がなくなります。
また、対応可能な時間帯にも大きな差があります。有人面談は担当者の勤務時間内に限定されますが、AI面接は多くの場合24時間いつでも受検可能です。
AI面接を導入することにより、日中の面談参加が難しい在職中の求職者や、夜間・休日に応募する層の取りこぼしを防ぎ、面談辞退率の改善につながります。
さらに、面談データの残し方も変化します。有人面談では担当者個人のメモや定性的な印象に依存しがちですが、AI面接では発言の文字起こしや客観的な評価レポートが自動で生成され、評価の標準化が図れます。
有人の登録面談とAI面接の違いをまとめたものが以下の表です。
| 比較軸 | 有人の登録面談 | AI面接 |
| 実施主体 | コーディネーター(人) | AIアバター |
| 対応可能時間 | 担当者の勤務時間内 | 多くのサービスで24時間365日受検可能 |
| 記録・評価データ | 担当者のメモ・定性的な印象が中心 | 自動録画・文字起こし・標準化された評価レポート |
| 本人確認・重要事項説明 | 来社時やWeb面談時にその場で完結 | オンライン確認(eKYC等)や別工程として人が対応 |
なお、Web面談による「オンライン化」と、AIが一次対応を担う「AI化」は異なる取り組みです。すでにWeb面談を導入済みの派遣会社であっても、一次対応をAIに置き換えることで、さらなる業務効率化とマッチング精度の向上が見込めます。
録画面接とAI面接の違い
録画面接とAI面接の大きな違いは、やり取りが「一方的な動画提出」か「双方向の対話形式」かという点です。
録画面接は、あらかじめ設定された質問に対して、応募者が1人ずつ回答動画を録画して提出する仕組みです。質問内容は全員一律で固定されており、担当者は提出された動画を後から視聴して手動で評価を行います。
これに対し、対話型のAI面接では、AIアバターが応答内容を解析し、文脈に応じた追加質問を行います。あらかじめ用意された質問をなぞるだけでなく、求職者の回答内容に合わせて柔軟に深掘りできるため、潜在的なスキルや人柄を引き出しやすいのが特徴です。
以下は、録画面接とAI面接の違いを表にまとめたものです。
| 比較軸 | 録画面接 | AI面接 |
| やり取りの形式 | 一方的な回答録画の提出 | 双方向の対話形式 |
| 質問の深掘り | なし(事前固定の質問のみ) | あり(回答内容に応じてAIが自動で深掘り) |
| 評価の出力 | 担当者が動画を視聴して評価 | 評価レポートが自動で作成 |
このように、「対話の有無」「深掘りの有無」「評価レポート作成の自動化」という3点が、録画面接とAI面接を分ける主な違いです。
録画面接の仕組みや導入のコツは、次の記事で解説しています。
人材派遣でAI面接に任せられる場面
人材派遣におけるAI面接の導入検討では、「誰が主体となる面談・選考か」によって活用できる場面とできない場面が明確に分かれます。
結論として、「派遣元(派遣会社)が行う登録面談や自社の採用選考」では問題なくAI面接を活用できます。
「派遣先企業が派遣労働者を選定する場面」での利用は、労働者派遣法上禁止されています。
業務プロセスの面では、派遣元での登録面談における「希望条件・経歴のヒアリング」や「評価レポート作成」といった一次対応をAIに任せ、「労働条件の詳細説明」や「本人確認」などをコーディネーター(人)が担う役割分担が基本となります。
AI面接を正しく運用するために、まずは活用できる場面とできない場面の整理一覧を確認しておきましょう。
| 場面 | AI面接の利用 | 理由 |
| 派遣元の登録面談 | 活用できる | 面談主体が派遣元であり、求職者のスキルや希望条件の聞き取り(一次対応)にあたるため |
| 派遣元による内勤社員・コーディネーターの採用 | 活用できる | 一般企業の採用選考と同等の扱いであり、選考主体が自社(派遣元)であるため |
| 派遣元が雇用する派遣社員(無期雇用派遣)の採用 | 活用できる | 常用型派遣の選考であり、雇用主である派遣元が実施するため |
| 派遣先による事前選考・受け入れ判断 | 利用不可(禁止) | 労働者派遣法第26条第6項により、派遣先企業による事前面接や履歴書選考などの「特定行為」が禁止されているため |
派遣元の登録面談・自社の採用選考ではAI面接を活用できる
派遣元が行う「登録面談」や「自社社員の採用選考」においては、一般企業の一次面接と同様にAI面接を効果的に活用できます。
派遣登録面談では、求職者の就業経験や希望勤務条件の聞き取り、基本的なコミュニケーション能力の確認など、定型的な確認項目が大きな割合を占めます。これらの一次対応をAI面接に置き換えることで、コーディネーターの稼働工数を削減可能です。
派遣会社自身が雇用主となる「内勤スタッフ・コーディネーターの採用」や「無期雇用派遣社員(常用型派遣)の選考」においても、同じ枠組みでAI面接を導入できます。
これらに共通するのは、「選考の主体がすべて派遣元であり、確認や判断が派遣元と求職者の関係内で完結している」という点です。主体と目的が明確であるため、AI面接をスムーズに運用し、選考リードタイムの短縮や評価基準の平準化を実現できます。
採用選考全体でのAIの活用場面は、次の記事で解説しています。
派遣先が候補者を選定する場面ではAI面接は使えない
一方、派遣先企業が受け入れる派遣スタッフを事前に選考・選定する目的でAI面接を使用することはできません。
労働者派遣法(第26条第6項)では、派遣先企業が派遣労働者を事前に対面面接したり、履歴書等で選考したりして特定する行為(特定行為)を禁止しています。派遣労働者を選考・決定する権限と責任はあくまで派遣元にあるため、派遣先がAI面接を実施して受け入れ可否を判定することは法律上認められません。
なお、実務上で実施される派遣先での顔合わせや職場見学は、派遣スタッフが派遣先の就業環境や業務内容を事前に確認し、安心して働くための機会として位置づけられています。
仮にこの場面にAI面接やAI動画評価などを持ち込むと、派遣先による事前選考・特定行為とみなされるリスクが高くなるため注意が必要です。
AI面接を導入する際は、ツールを「誰の面接(選考)として設計するか」を厳格に整理することが不可欠です。派遣先がスタッフを選抜するためのツールではなく、「派遣元が登録者のスキルや希望条件を正しく把握し、最適なマッチングを行うための一次対応ツール」として位置づけて運用してください。
参考:e-Gov 法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
AI面接による派遣登録面談の効果
人材派遣の登録求職者は、複数の派遣会社へ同時に登録・応募することが一般的です。応募から就業開始までの間に他社案件で決まってしまうことも珍しくないため、「応募受付から登録面談の実施までをいかにスピーディーかつ広くカバーできるか」が、稼働スタッフ数の確保に直結します。
人材派遣の登録面談にAI面接(対話型AIアバター等)を導入すると、以下の4つの側面で大きな運用成果が生まれます。
- 対応スピードの極小化(タイムラグの解消)
- コーディネーターの業務工数の最適化(マッチングへの注力)
- コーディネーター間・拠点間の評価基準の平準化
- WEB仮登録後の未面談層・休眠登録者への再アプローチ
まずは、従来の有人運用とAI面接活用後の全体像を比較してみましょう。
| 比較項目 | 有人の登録面談運用 | AI面接活用後 |
| 応募への一次対応 | 営業時間内に担当者が順次連絡 | 応募直後に受験URLを自動案内(自動化導線の設計が前提) |
| 面談の受付時間 | 担当コーディネーターの勤務時間内 | 24時間365日いつでも受検可能 |
| 月間の一次対応件数 | 担当者の稼働時間・面談枠数に依存 | 面談枠の制約なく柔軟にスケール可能 |
| 記録と評価 | 担当者の個人のメモ・定性的な印象 | 自動文字起こし+標準化された評価レポート |
| コーディネーターの役割 | 日程調整・一次面談の実施・条件説明 | 評価レポート確認・条件詳細説明・本人確認・マッチング |
24時間受付で応募から面談までのリードタイムを縮められる
多くのAI面接サービスは24時間365日の受検に対応しており、応募から一次ヒアリングまでの対応を、担当者の出社を待たずに即時進行できるようになります。
従来の有人運用では、夜間や休日に届いた応募への連絡が翌営業日以降に回りがちです。特に繁忙期は面談枠が埋まり、案内が翌週以降に延びてしまうことも少なくありません。そのタイムラグの間に、登録希望者が他社の面談を先に受けて決定してしまう事態が発生します。
AI面接であれば、応募直後に自動で受検URLを発行できるため、求職者は意欲が高い瞬間に自身の都合が良い時間帯で面談を受けられます。
一方で、別視点での離脱を防ぐ運用設計をする必要もあります。
URL送付によるセルフ受検型となるため、案内方法によっては受検せずに離脱するケースも想定されます。そういった離脱を防ぐための対応は以下のとおりです。
- 応募直後の即時案内
- リマインドメッセージの自動送信
- 未受検者への有人フォロー体制への切り替え
これらを組み合わせた運用フローを設計しておくことで、離脱率を抑えつつスピード対応のメリットを活かせます。
なお、派遣・単発ワーク向けのAI面接は、10〜15分程度で回答できる質問構成が一般的です。スマートフォンからスキマ時間に受検できる利便性の高さも、受検完了率の向上に寄与します。
AI面接の所要時間については、次の記事をご覧ください。
コーディネーターの工数をマッチング業務に割り振れる
一次対応をAIに置き換えることで、コーディネーターが面談調整や一次ヒアリングにかけていた稼働を、案件のマッチングや就業中のスタッフフォローといったコア業務へ振り向けられます。
注意点として、AI面接が代替するのはあくまで「一次ヒアリング・定型質問の聞き取り」です。労働条件の厳密な説明・同意や本人確認手続きなど、人が行うべき重要工程は残るため、面談プロセスすべてが無人化するわけではありません。
しかし、一次ヒアリングから解放されることで、コーディネーターはAIが自動作成した評価レポートを確認したうえで、条件確認や案件提案に集中できるようになるのは大きなメリットです。
AI面接を導入した場合の一次対応の削減効果は、以下の計算式で見積もることができます。
【削減工数の算出式】
| 月間面談件数 × 1件あたりの一次ヒアリング時間(聞き取り・調整) × AI代替割合試算モデル(月100件の面談を実施する派遣会社の場合)1件あたり「一次ヒアリング・日程調整」に30分を消費この一次対応の全量(100%)をAIに移行した場合⇒ 月間「約50時間」のコーディネーター稼働を削減可能 |
実際には「評価レポートの確認時間」や「未受検者へのフォロー時間」が新たに発生するため、それらを差し引いて試算することで、社内検討用の現実的な費用対効果(ROI)を算出できます。
浮いた時間を派遣先企業とのすり合わせや就業スタッフの定期フォローに充てることで、就業定着率や顧客満足度の向上といった二次的効果も期待できます。
採用業務全体の効率化については、次の記事もあわせてご覧ください。
コーディネーター間・支店間の評価差をレポートでそろえられる
AI面接を使うと、評価を文字起こしと評価レポートという客観的かつ共通のフォーマットで残せるため、コーディネーターや支店をまたいだ評価のばらつきを抑えられます。
有人面談では、同一の求職者に対しても面談官の主観や相性、心理的バイアスなどによって評価が変動しがちです。特に拠点数が多い派遣会社ほど、派遣紹介の可否を決める基準の平準化は難易度が増します。
AI面接を導入することで、この悩みを解消できます。
レバレジーズ株式会社が実施した「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」によると、AI面接を実際に導入している企業(N=218)においては、導入成果として以下のような効果が報告されています。

引用:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
調査結果の3位には「面接官の相性に左右されない公平な評価ができるようになった(37.6%)」が挙げられています。
上記は新卒・中途採用を対象とした調査結果ですが、評価ブレを抑制できることは複数拠点で登録面談を行う人材派遣会社にとってもメリットだといえます。
拠点ごとに評価の物差しがそろうと、どの支店で受けた登録者であっても紹介の判断基準を同じ水準に保ちやすくなります。
参考:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
AI面接の結果がどこまで信頼できるのかは、導入検討時に押さえておきたい論点です。
資料「AI面接の評価は信頼できる?「採用のプロの判断」を再現する仕組み」では、評価基準のばらつきという課題への向き合い方と、AI面接の結果のプロセスを紹介しています。AI面接の導入検討の材料としてご活用ください。
▶「AI面接の評価は信頼できる?『採用のプロの判断』を再現する仕組み」をダウンロードする
登録止まり・音信不通層を面談につなげられる
応募やWeb仮登録があったものの面談日程が合わずに離脱した層や、その後連絡がつかなくなった「休眠登録者」の掘り起こしにも、AI面接は有効な手立てとなります。
こうした求職者は、電話やメールによる個別のアプローチに対して反応が得られにくく、データベース上に埋もれてしまいがちです。
AI面接を活用すれば、個別の日程調整を行う必要がないため、受検用URLを一括送付して「求職者の都合が良いタイミングで受検してもらう」という再アプローチが可能です。日中の連絡対応が難しい層に対しても、時間を気にせず接点を再構築できます。
また、従来「面談工数の都合上、書類確認のみで済ませていた登録フロー」を見直し、AI面接による見極め工程を挟む運用も効果的です。面談稼働をかけずに事前のアドバイスや人柄・希望条件の把握を行えるため、派遣先への紹介後のミスマッチや早期離職の予防に役立ちます。
もちろん、URL送付のみで全員が受検するわけではないため、AI面接は「掘り起こし施策の有効な選択肢の一つ」として位置付けるのが実用的です。それでも、個別連絡の手間をかけることなく再着火の動線を用意できる点は、従来の有人運用にはない強みといえます。
人材派遣会社がAI面接を導入する手順
人材派遣会社が登録面談にAI面接を導入する際は、最初から全社・全職種へ一斉展開するのではなく、対象を絞って段階的に進める方法がおすすめです。
以下の4つのステップで導入を進めることで、現場コーディネーターの混乱を防ぎながら、確実な導入効果を得られます。
- 導入する職種と対象範囲を決める
- 登録面談に合わせて質問と評価項目を設計する
- 応募からAI面接受験までの案内導線をつくる
- 試験運用で検証して対象を拡大する
以下で、それぞれのプロセスについて解説します。
導入する職種と対象範囲を決める
最初に取り組むべきは、どの職種の登録面談からAI化するかの絞り込みです。
判断基準となるのは、「面談で確認する内容がどれだけ定型化しやすいか」と「応募ボリュームの大きさ」の2点です。
たとえば、以下の職種の確認するべき内容は表のとおりです。
| 職種の例 | 確認するべき内容 |
| 軽作業・製造・物流系 | シフト希望、就業可能日、通勤手段、物理的な条件 |
| 販売・一般事務・コールセンター | 条件確認に加え、基本的なコミュニケーション能力や過去の業務経験 |
| 高度専門職・ITエンジニア | キャリアの個別性、柔軟な対話能力、詳細なスキル査定 |
条件確認が中心の場合は定型化しやすく、AI面接の導入ハードルが比較的低いです。
コミュニケーション能力や経験の確認が必要な場合は、あらかじめ評価軸(コンピテンシー)を設計しておくことで問題なくAI化できます。
高度専門職・ITエンジニアなどのような職種の場合は、当面はコーディネーターによる有人面談を残す判断も有効です。
まずは「応募数が多く、確認項目が定型化しやすい職種」からスモールスタートすることで、導入初期から大きな工数削減効果を実感できます。
登録面談に合わせて質問と評価項目を設計する
AI面接を導入する職種が決まったら、自社の登録面談の目的に合わせた「質問項目」と「評価基準」を設計します。
人材派遣の登録面談では、単なる合否判定だけでなく、紹介先の検討に必要な情報をもれなく収集する必要があります。
- 希望条件:希望勤務地、シフト、時給下限、就業開始可能日など
- 経験やスキル:担当業務の詳細、使用可能ツール、過去の就業期間など
近年の対話型AI面接は、表面的なキーワードマッチングではなく、回答の文脈や論理的思考力を分析する高度な判定ロジックを備えています。エピソードの具体性や対応力を引き出す深掘り質問を設定しておくことで、派遣紹介後のミスマッチを防止できます。
なお、自社独自のカスタム質問を設定する際は、個人情報保護法や職業安定法(第5条の5)、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」に配慮する必要があります。
収集が禁止・制限されている項目の例は以下のとおりです。
- 本籍・出生地に関する質問
- 家族の職業・収入・資産に関する質問
- 思想・信条・宗教・愛読書に関する質問
登録希望者の適性や能力に関係のない不必要な個人情報を取得しないよう、設定質問のリーガルチェックを必ず行いましょう。
応募からAI面接受験までの案内導線をつくる
求職者の離脱や他社流出を防ぐためには、応募やWEB仮登録の直後に自動でAI面接の案内が届く導線を構築することが重要です。
案内動線の仕組みの具体例は以下のとおりです。
- 自動返信メール・SMS:応募完了と同時に受検用URLを自動送信
- 登録完了画面からの直接遷移:WEBフォーム入力後、そのまま面接画面へ遷移
- リマインド機能:未受検者に対して24時間後・3日後に自動リマインド通知
また、過去に登録はあるものの面談に至っていない休眠応募者に対して一斉案内を送るラインを整えておくことで、追加の集客コストをかけずに未面談層の掘り起こしが可能になります。
試験運用で検証して対象を拡大する
案内導線が完成したら、1〜2拠点・特定の1職種に限定してAI面接の試験運用(パイロット運用)を開始します。
AI面接の導入前には、以下のことをチェックしたうえで導入を進めましょう。
- 対象職種と月間の想定面談件数を整理したか
- 登録面談の質問項目を棚卸しし、不適切な質問を排除したか
- 応募直後の自動案内導線(メール/SMS/WEB遷移)を設計したか
- 試験運用時の観測KPIと判断基準(既存数値との比較)を決めたか
- 法令遵守(職業安定法・個人情報保護法)の確認体制を確保したか
AI面接の試験運用の際には、従来の有人運用における実績値を下回らないことを最低ラインとし、以下の数値を定期モニタリングします。
- 受検完了率(応募から面談完了までの到達率)
- 応募から登録完了までの平均リードタイム
- AI評価とコーディネーター評価の相関性(ズレの有無)
- 登録完了後の派遣紹介率・案件辞退率
試験運用で評価基準の調整と運用ルールの整備が完了したら、AI面接を導入する対象職種や対応拠点を順次拡大していきましょう。
AI面接の導入手順の詳細と費用の考え方は、次の記事で解説しています。
派遣の登録面談でAI面接を任せるときの注意点
人材派遣の登録面談にAI面接を取り入れる際は、トラブル防止と選考精度の両立を図るため、あらかじめ以下の4つのポイントを整理しておく必要があります。
- 登録面談におけるAIと人の役割分担を明確にする
- AI面接に不安を感じる登録者への案内を用意する
- 本人確認は「人が確認する工程」として実務で担保する
- 法令・コンプライアンスを整理して確認する
これらを事前に定義しておくことで、現場コーディネーターの運用ブレを防ぎ、スムーズな運用定着を実現できます。
登録面談におけるAIと人の役割分担を明確にする
人材派遣の登録面談の自動化においては、すべての工程をAIに丸投げするのではなく、「AIが得意な一次聞き取り」と「人が担うべき同意・最終判定」を明確に切り分けることが重要です。
工程ごとの整理は次の表のとおりです。
| 登録面談の主な工程 | 実施主体 | 運用・補足ポイント |
| 希望条件・シフトのヒアリング | AI | 勤務地・時給・勤務日数など定型的な希望条件を漏れなく収集 |
| 就業経験・スキルの確認 | AI | 過去の担当業務や使用ツール、就業期間などを深掘り質問で自動取得 |
| コミュニケーション・適性の確認 | AI+人 | AIが文脈や論理性を解析し評価レポートを生成。人間が内容を確認して最終判断 |
| 就業条件の詳細説明と同意 | 人 | 賃金や契約期間などの誤解を防ぎ、求職者の疑問にリアルタイムで答えて納得を得るため |
| 本人確認・反社チェック | 人 | 身元確認書類との突き合わせや、なりすまし登録を防止するため |
レバレジーズの実態調査によると、AI面接を導入している企業の約6割が、AIのスコアを参考にしつつ人間が最終確認を行う「ハイブリッド判定」を実施しています。

引用:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
具体的には、「明確な高評価・低評価はAIスコアで判断し、ボーダーライン層は人間が動画やレポートを確認する」といった運用が一般的です。
AI面接のレポートは一次ヒアリングの客観的データとして活用し、登録可否や案件紹介の最終判断はコーディネーターが行う、という運用ルールを社内で共有しておきましょう。
一方、就業条件の詳細説明と同意は人間が担うのが原則です。
労働条件(賃金・就業時間・派遣先の環境等)の説明と同意は、労働者派遣法上の雇用管理において極めて重要な工程です。この部分をAIだけに委ねると、認識の相違や説明不足による就業後の早期離職やトラブルにつながりかねません。
AI面接に不安を感じる登録者への案内を用意する
求職者の中には、「AIに機械的に不採用にされるのではないか」「操作が難しいのではないか」といった不安や抵抗感を持つ人が一定数存在します。
応募直後の案内文で「AI面接を導入している目的」と「人の目が介在すること」を明確に伝えることが、離脱防止につながります。
人材派遣の登録者向け案内文の記載例は以下のとおりです。
| 「当社の登録面談では、一次対応としてAIアバターによる面談システムを導入しております。」 「AIの評価のみで登録可否が決まることはございません。ご回答いただいた内容は、必ず担当コーディネーターが確認したうえでご連絡いたします。」 「スマートフォンから24時間365日、ご都合の良い時間・場所でご受検いただけます(所要時間:約10〜15分)。」 |
AI面接への拒否感が強い登録者は、上記のような案内文を記載しても不安を拭いきれない可能性があります。全員一律で受検を強制する運用にすると、辞退や離脱を招くリスクがあります。
そのため、事前に「対面・Webでの有人面談を希望される場合の問い合わせ窓口」を明記しておくことも選択肢の一つです。柔軟に有人対応へ切り替えられる導線を用意しておくことが、CX(候補者体験)を高めるポイントです。
本人確認は「人が確認する工程」として実務で担保する
AIによる面談プロセスのオンライン化・自動化が進む一方で、本人確認手続きは原則として人が担う工程です。
非対面での登録が増えるほど、なりすまし登録や虚偽申告のリスクが高まります。AI面接の受検前後において、以下のいずれかの方法で身元確認を徹底する運用を組み込みましょう。
- eKYC(オンライン本人確認サービス)の連携導入
- 運転免許証・マイナンバーカード等の画像を提出させ、担当者が目視確認
- 就業条件説明(有人フェーズ)の際に、画面越しまたは対面で本人と照合
「いつ、誰が、どの書類で確認を行ったか」をシステム上で履歴管理するフローを構築しておくことで、確認漏れによるセキュリティリスクを防ぐことができます。
法令・コンプライアンスを整理して確認する
AI面接を人材派遣の登録面談に導入する際は、事前に法的リスクを整理し、必要なガイドラインの確認や労働局・法務担当への事前相談を行っておくことが推奨されます。
論点ごとの確認先は次の表のとおりです。
| 確認論点 | チェックポイント | 主な確認先・参照ガイドライン |
| 派遣先による特定行為との区別 | 派遣先企業が受け入れスタッフを絞り込むツールになっていないか(派遣元の登録面談として完結しているか) | 厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」、都道府県労働局 |
| 個人情報・動画データの保管 | 録画データや文字起こしデータの利用目的明示および保存期間・セキュリティ管理の策定 | 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」、社内法務 |
| 公正な採用選考と質問内容 | 本籍地・家族・思想信条など、配慮すべき不適切な質問項目がカスタム設定に含まれていないか | 厚生労働省「公正な採用選考の基本」、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針 |
| 紹介予定派遣等の形態差 | 紹介予定派遣など、派遣先が選考に関与することが認められている契約形態における運用の整理 | 都道府県労働局、雇用管理ガイドライン |
これらの法令上の根拠をあらかじめクリアにしておくことで、社内決裁をスムーズに進め、トラブルのない安全な運用体制を築くことができます。
人材派遣業界における登録面談の対応スピード向上や評価の平準化を目指すなら、対話型AI面接ツール「NALYSYS AI面接」の導入がおすすめです。

NALYSYS AI面接は、年間1,000名以上の採用実績を持つレバレジーズの実践知見と、採用のスペシャリスト・曽和利光氏(株式会社人材研究所)の面接ロジックを融合したAI面接サポートサービスです。
単なる条件ヒアリングにとどまらず、対話型AIアバターが回答の文脈や論理性を分析して自動で深掘り質問を行い、プロの視点に基づいた客観的な評価レポートを即座に生成します。「派遣・アルバイト向け」をはじめとする専用モデルを標準搭載しており、24時間365日受検に対応。応募直後の即時案内で求職者の他社流出を防ぎつつ、コーディネーターの面談工数を大幅に削減します。
「一次対応をAIに任せ、人は候補者とのマッチングやフォローに集中する」という新たな派遣採用DXを実現できます。
「NALYSYS AI面接」について詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。資料は無料でダウンロード可能です。
▶「3分でわかるNALYSYS AI面接」をダウンロードする
まとめ
本記事では、人材派遣の登録面談にAI面接を使えるのかを解説しました。
登録面談の一次対応をAIに置き換えることで、対応スピードの向上や評価基準の平準化を実現し、コーディネーターはより高付加価値な「マッチング」や「就業後のスタッフフォロー」に集中できるようになります。
導入するときは、応募数が多く面談を定型化しやすい職種から試験運用を始め、受検完了率やリードタイムなどの数値を確認しながら導入対象を広げていきましょう。
よくある質問
人材派遣の登録面談にAI面接を導入する際に、採用担当者様からよく寄せられる疑問にお答えします。
Q. 派遣先との顔合わせや職場見学にAI面接は使えますか?
A. 原則として使用できません。顔合わせ・職場見学は派遣労働者が就業環境を確認する場であり、派遣先による選定目的の利用は違法(特定行為)となります。
労働者派遣法(第26条第6項)により、派遣先企業が受け入れスタッフを事前に選考・特定する行為は禁止されています。顔合わせや職場見学は、あくまで求職者本人が就業場所や業務内容を事前確認するための機会です。
したがって、AI面接は「派遣元が行う登録面談の一次対応ツール」として位置づけ、派遣先が関与する場では使用しません。
※ただし、「紹介予定派遣(将来的な直接雇用を前提とした派遣)」の場合は、法律上、派遣先による事前選考(面接や履歴書確認)が認められているため扱いが異なります。自社で扱う契約形態ごとの詳細な運用は、都道府県労働局などの専門機関へご確認ください。
Q. 人材派遣の登録面談をAI面接にすると求職者に嫌がられませんか?
A. 事前に「利用目的」や「人が最終確認すること」「求職者側のメリット」を丁寧に案内しておくことで、心理的抵抗や途中離脱を十分に抑えられます。
求職者の中には「AIだけで機械的に合否を決められるのではないか」と不安を感じる方も一定数存在します。そのため、「AIは一次ヒアリングのみを担当し、最終的な登録可否や案件紹介は担当者が確認して行うこと」や「24時間365日、スマートフォンから都合の良い時間に短時間で受検できること」を事前に伝えましょう。
また、AI面接への拒否感が強い登録者に対しては、対面・Webでの有人面談へ切り替えられる選択肢を用意しておくことで、登録辞退や離脱を防ぐことができます。
Q. AI面接導入後も、対面の登録面談を残すべきケースはありますか?
A. はい。合意形成が必要な場面や、高度なキャリアカウンセリングが求められる職種では、有人面談の併用(ハイブリッド運用)が推奨されます。
たとえば、「就業条件の詳細説明と同意」や「専門職・ハイキャリア層の面談」、「AI面接への不慣れ・抵抗感が強い求職者への対応」などは有人対応がよいでしょう。
すべての面談を完全にAI化するのではなく、「一次聞き取りはAI」「条件調整や最終面談は人」というハイブリッド体制を構築することが、運用定着と選考精度の両立につながります。
