「中小企業の採用をうまく進めるにはどうすればよいのか」とお悩みの採用担当者や経営者の方も多いのではないでしょうか。
中小企業の採用課題は、知名度や条件面、採用体制といった中小企業が置かれる状況に由来するものが中心です。
本記事では、中小企業でよくある5つの採用課題と採用活動が難化している背景、規模が小さいからこそ成立しやすい解決の打ち手を解説します。採用を担当されている方はぜひ参考にしてください。
中小企業でよくある採用課題
中小企業の採用課題とは、応募の獲得から入社後の定着までの間で生じる、企業規模に由来する採用の問題のことです。
中小企業でよくある採用課題は、応募の集まりにくさ、条件面での大手との比較、予算・リソースの制約、採用担当者の負担、入社後の早期離職の5つです。
大手企業の採用課題が多数の応募者からの絞り込みに現れやすいのに対し、中小企業では応募の獲得と採用体制の維持そのものが課題になりやすい傾向があります。
知名度が相対的に低く応募が集まりにくい
中小企業でよくある採用課題は、知名度が相対的に低く、応募が集まりにくいことです。
応募が集まらない状態が続くと、その後の選考や入社につながる母集団そのものが小さくなっていきます。
募集を出してから数週間応募がない、掲載媒体の閲覧数はあるのに応募まで進まない、といった形で表面化しやすい課題です。エントリー数や求人ページの閲覧数の推移を確認すると、状況を把握しやすくなります。
大手企業との知名度差は、採用の入り口である応募数に最初に表れます。求人の場における中小企業の知名度は大手企業と比べると相対的な差があります。中小企業は社名で検索される機会が限られ、求人情報を出しても求職者の目に触れる入口の段階で埋もれやすいのが実情です。
2024年版の中小企業白書でも、直近3年間で中途採用を行った中小企業のうち、課題として「応募が少ない」と答えた企業は6割を超える結果でした。
参考:中小企業庁「2024年版 中小企業白書」
給与や制度の条件面で大手と比べられやすい
中小企業が抱える採用課題には、給与や制度の条件面で大手と比べられやすいことが挙げられます。
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の賃金(所定内給与額)は、下記のとおりです。
| 企業規模 | 一般労働者の賃金 |
| 大企業(常用労働者1,000人以上) | 385.1千円 |
| 中企業(常用労働者100〜999人) | 326.2千円 |
| 小企業(常用労働者10〜99人) | 305.6千円 |
大企業と比べると中小企業の賃金は低い傾向にあり、求職者が複数の求人を比較する場面では、給与面の条件差が不利にはたらきます。
また、給与のほかにも、住宅手当や退職金といった制度面の充実度で差が出ます。
給与や制度を比較の軸にする求職者にとって、中小企業は選択肢に入りづらくなると考えられます。 求人票の条件欄を大手企業の求人と並べて確認すると、差の大きさを把握できます。
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」
採用予算・リソースに制約がある
中小企業の採用課題には、採用予算・リソースに制約があります。
中小企業の場合、採用にかけられる予算やリソースに上限があり、人員計画に対して十分なリソースを割けないことがあります。
採用広告や採用管理システムなどへの投資は限られます。また、担当者も専任を置けず、他業務と兼務しながら対応する体制になりがちです。
たとえば、複数の求人媒体を並行して使う、実績のある人材紹介サービスに依頼するといった選択肢も、割ける予算に応じて断念せざるを得ません。また、採用活動における判断を、その都度限られた工数の中で迫られる場面も出てきます。
予算と人手の両面で選べる選択肢が狭まった結果、求人票の作り方や面接での評価基準といったノウハウも、特定の担当者の経験に依存しがちです。
この制約が続くと、求人や選考のやり方を見直す余裕がなくなり、課題への対処そのものが後手に回りやすくなります。
年間の採用予算と担当者の稼働時間を洗い出すことが、中小企業の採用活動において状況を把握する第一歩になります。
採用担当者の負担が大きく対応が遅れやすい
中小企業の採用課題の一つは、採用担当者の負担が大きく、対応が遅れやすいことです。
採用担当者の負担の大きさは、中小企業の専任を置けない兼務体制から生じる課題です。中小企業では専任できる担当者の人数が少ないため、応募への対応や日程調整、面接が一人に集中しやすく、本業と兼務している場合は繁忙期に採用対応が後回しになりがちです。
たとえば、応募が重なる時期に一次面接の日程調整だけで時間が埋まり、他の応募者への返信が翌日以降に持ち越されるといった場面も起こりやすくなります。
対応が遅れると、応募者は返答の早い他社へ流れてしまうでしょう。
選考結果の連絡までにかかっている日数を確認すると、対応の遅れが起きているかどうかの目安になります。
入社後の早期離職が起こる可能性がある
中小企業の採用課題として、入社後の早期離職が起こることが挙げられます。
中小企業における人員に余裕のない体制の影響は、入社後の受け入れや定着の局面にも波及します。採用対応に追われて入社後のフォローまで手が回らないと、入社前に聞いていた仕事内容や職場の雰囲気と実際とのギャップが解消されないまま残り、早期離職を引き起こします。
たとえば、配属後の相談相手が明確でないまま業務に入ると、ちょっとした疑問や不安を抱え込みやすくなり、それが解消されないまま早期離職してしまうでしょう。
早期離職が起こると欠員補充の採用が再び発生し、限られた採用リソースがさらに圧迫される悪循環を引き起こすおそれがあります。
入社後から一定期間の離職率と受け入れ体制の準備状況を照らし合わせると、この課題が起きているかを把握しやすくなります。
中小企業で採用活動が難化している理由
中小企業の採用が難化している主な理由は、人手不足の継続によって人材の獲得競争が企業規模を問わず広がっていることと、採用手法の多様化によって運用の手間が増えていることにあります。
知名度や条件面、採用体制などに制約を抱えやすい中小企業では、こうした市場の変化の影響を受けやすくなります。
人手不足が続き人材の獲得競争が広がっている
中小企業の採用が難しい理由の一つは、人手不足が続いており、人材の獲得競争が広がっていることです。
人手不足が続くなかで人材の獲得競争が広がっており、中小企業の採用もその影響を受けやすくなっています。
厚生労働省の「労働経済動向調査(令和8年5月)」では、正社員等の労働者過不足判断D.I.が調査産業計で+47ポイントとなっています。D.I.は人手が「不足」と答えた事業所の割合から「過剰」と答えた割合を引いた値で、プラスの値が大きいほど不足を感じている事業所が多いことを示すため、幅広い産業で人手が不足している状況です。
また、中小企業庁の「2024年版 中小企業白書」でも、中核人材が不足していると答えた中小企業は7割を超えており、中小企業側でも人材の不足感が根強いことがうかがえます。
参考:
厚生労働省「労働経済動向調査(令和8年5月)の概況」
中小企業庁「2024年版 中小企業白書」
採用手法の多様化で運用の手間が増えている
中小企業の採用が難しい理由には、採用手法が多様化したことによって運用の手間が増えていることが挙げられます。
採用手法が多様化した分だけ選択と運用の判断が増え、少人数で採用を回す中小企業では手間の増加につながっています。
求人サイトなどの媒体への掲載に加え、ダイレクトリクルーティングやSNS、リファラル採用など、活用できる手法の選択肢は年々広がっています。それぞれの手法には求人票の作成や候補者へのアプローチ、応募後のやり取りといった個別の運用が伴うため、採用にかけられる人員が限られる中小企業では、選択と運用が追いつきにくくなるのが実情です。
新しい手法を試しても、運用にかける時間を確保できず成果を検証しきれないまま、次の媒体の検討に移る状態にも陥りがちです。
中小企業の採用課題を解決する打ち手
中小企業でよくある5つの採用課題を解決する主な打ち手は、下記のとおりです。
| 中小企業が抱える採用課題 | 有効な打ち手 |
| 知名度が相対的に低く応募が集まりにくい | 魅力の言語化+予算と接点の集中 |
| 給与や制度の条件面で大手と比べられやすい | 魅力の言語化 |
| 採用予算・リソースに制約がある | 予算と接点の集中+一次対応の仕組み化 |
| 採用担当者の負担が大きく対応が遅れやすい | 選考スピードの活用+一次対応の仕組み化 |
| 入社後の早期離職が起こる可能性がある | 定着への働きかけ |
中小企業の採用課題への打ち手は大きく分けると、魅力の言語化、予算と接点の集中、選考スピードの活用、定着への働きかけ、一次対応の仕組み化の5つです。
本章では、これらの5つの施策について詳しく解説します。
自社ならではの魅力を言語化して訴求を見直す
中小企業の採用課題を解決する打ち手の一つは、自社ならではの魅力を言語化して訴求を見直すことです。中小企業が抱える知名度差と条件面の比較という2つの採用課題に、訴求の中身の見直しで対処します。
知名度や給与の額で大手企業と競うのではなく、仕事の裁量範囲や経営者との距離の近さ、事業の全体像が見える規模感、成長環境を具体的な言葉にして求人票や採用ページに反映することが有効です。
まずは自社の分析を行ったり、従業員に「入社して分かった良さ」をヒアリングしたりして、自社ならではの魅力を把握しましょう。
自社の魅力を把握できたら、その魅力を言語化します。魅力を言語化する際は、抽象的な表現は避けます。
「入社1年目から予算管理を任される」「週次で経営会議の内容が現場に共有される」のように、具体的な場面に置き換えましょう。
たとえば「アットホームな職場です」といった抽象的な表現だけでは、書き手が意図した内容と求職者の受け取り方がずれやすくなります。
資料『採用のミスマッチはなぜ起きるのか』の中でも、株式会社人材研究所代表の曽和利光氏は、言葉の抽象度が高いままでは企業側の意図と求職者の解釈にずれが生じやすいと指摘しています。既存の求人票を見直す際は、抽象的な表現がどこに残っているかを洗い出すところから着手します。
参考:レバレジーズ株式会社「採用のミスマッチはなぜ起きるのか」
予算と接点を絞って集中する
中小企業の採用課題を解決する打ち手には、予算と接点を絞って集中することが挙げられます。応募の集まりにくさと予算の制約という採用課題に対しては、中小企業は接点を絞る方向で向き合います。
採用にかけられる予算を複数の媒体へ広く薄く配分するのではなく、応募や入社の実績が出ている接点に絞って集中させると、採用費用の負担を抑えながら成果につなげやすくなります。
たとえば、中小企業が求職者と接点を作る手段には以下のようなものがあります。
| 求職者と接点を作る手段 | 向いているケース |
| リファラル | 社員のネットワークを通じて信頼できる人材にアプローチしたい場合 |
| 地元ネットワーク | 特定のエリアに絞って採用活動を進めたい場合 |
| ハローワーク | 費用をかけずに幅広い層へ求人を掲示したい場合 |
| 学校連携 | 新卒・既卒などの層を計画的に確保したい場合 |
| ダイレクトリクルーティング | 求めるスキルや経験を持つ人材に直接アプローチしたい場合 |
現在の応募経路別の実績を把握できていることが前提になるため、まずは経路ごとの応募数に加えて、選考通過や入社まで至った人数を並べて比べるところが出発点です。
経路ごとの実績を並べたうえで、自社の採用課題や求める人材像に照らし合わせて、予算・接点の絞り込みを行います。
意思決定の速さを選考スピードに活かす
「意思決定の速さ」を選考スピードに活かすことが、採用課題を解決する打ち手になります。意思決定の階層が少なく、選考にかかわる関係者が近くにいる中小企業だからこそ実現できる打ち手です。
担当者の負担からくる対応の遅れという採用課題は、選考の設計そのものを短くすることで解消します。応募・選考当日の連絡、選考回数を絞った日程、現場責任者が同席する面接など、選考全体の期間を短くする工夫が、応募者を待たせない対応につながります。
返答の早さは、応募者の安心感につながりやすい要素です。
選考回数を絞る場合は、適性検査や事前の質問シートで判断材料を先に集めておくと、面接回数が少なくても見極めの精度を保ちやすくなります。
現場責任者が選考の初期段階から同席すると、人事担当者だけで判断するよりもその場で合否や次のステップの見通しを伝えやすくなります。上長への確認や複数部署での合意形成に時間をかけずに判断できる場面が多いのは、意思決定の階層が少ない中小企業ならではの条件です。
経営者との距離の近さを定着につなげる
中小企業ならではの「経営者との距離の近さ」を活かして定着につなげ、採用課題を解決しましょう。
中小企業で発生する入社後の早期離職の課題に対しては、入社前後の期待値のずれを小さくするフォローを行います。
選考段階での期待値のすり合わせと、入社後のフォローの両方をあわせて設計しておくと、離職の芽を早い段階で摘みやすくなります。
選考段階から経営者や配属先の担当者が候補者と直接会い、仕事の実態や入社後の期待値をすり合わせておくと、入社後のギャップによる早期離職を防ぎやすくなります。
面接で職場の雰囲気や業務内容を伝えることに加えて、候補者が抱く疑問にその場で経営者自身が答えます。このフォローは、階層の少ない組織である中小企業だからこそ成立しやすい解決法です。
入社後も、経営者や現場責任者との距離の近さを生かして日々の困りごとを早期に拾える体制を作っておくと、小さな不安が退職の理由に発展する前に対処できます。
選考の一次対応を仕組み化して兼務の負担を減らす
中小企業の採用課題を解決する打ち手には、選考の一次対応を仕組み化して兼務の負担を減らすことが挙げられます。
中小企業が採用活動において直面する担当者の負担と予算の制約は、どちらも一次対応の仕組み化で軽くしやすい領域です。定型的な連絡や調整の業務が採用担当者の時間を圧迫している場合に、まず効果が出やすい打ち手です。
応募受付後の確認連絡は自動返信に、日程調整は候補日時の自動提示に、一次面接は録画面接やAI面接による実施と評価の記録に、というように、毎回同じ手順を踏む工程を仕組み化しましょう。こうした一次対応が自動で回るようになると、兼務で稼働時間が限られる担当者の負担が軽くなります。
人を増やさずに対応の速さと質を保てる点が、限られた予算とリソースの中で仕組み化に取り組む意義といえます。
また、一次面接の評価基準や記録の残し方を仕組みとして統一しておくと、対応する担当者が変わっても判断の基準がノウハウとして引き継がれます。 求人票の作り方や面接での評価基準が特定の担当者の経験に依存しがちだという課題も、記録と基準を仕組みの中に残すことで同時に解消できます。
中小企業の採用業務では、採用のナレッジが担当者個人にたまったまま引き継がれにくい、工数が足りず十分な採用活動ができない、といった場面が少なくありません。こうした場合は、AI面接やAI書類選考で候補者とのファーストタッチを標準化・自動化する方法がおすすめです。
レバレジーズ株式会社の「NALYSYS AI面接」では、AI面接官が公平な観点で候補者を評価します。逆質問や自社に合わせたカスタマイズ質問も設定できるため、候補者の素質を見ながら面接業務を効率的に進められます。
「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」では、AI面接を導入した企業が選考の流れをどう変えたかという運用の実態と、導入企業が効果として何を挙げているかの内訳を確認できますので参考にしてください。
▶ 「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」をダウンロードする
まとめ
本記事では、中小企業の採用課題について、応募の集まりにくさから入社後の早期離職までの5つの課題と、採用活動が難化している背景、規模が小さいからこそ成立しやすい解決の打ち手を解説しました。
人手不足や採用手法の多様化といった市場の変化は自社では動かせないため、魅力の言語化や一次対応の仕組み化など、自社側で変えられる打ち手から着手することが大切です。自社の課題がどこにあるかを確認し、課題と打ち手の対応表を手がかりに取り組んでみてください。
中小企業の採用課題に関するよくある質問
中小企業の採用課題に関して、採用担当者から寄せられることが多い質問に、要点を絞って回答します。
Q. 中小企業は大手企業と同じ採用手法を取るべきですか?
A. 採用手法そのものは企業規模を問わず使えるため、同じ手法を取るかどうかより、自社の体制で運用を続けられるかどうかで判断するのが現実的です。
運用に人手がかかる手法から先に増やすと、兼務体制では対応が追いつかなくなりがちです。大手企業と同じナビ媒体に出稿する場合も、掲載する訴求の中身を自社の裁量や距離感に寄せて作り込むことで、同じ媒体でも見え方に差をつけやすくなります。
Q. 地方の中小企業ではどのような採用課題がありますか?
A. 地方の中小企業では、通勤圏内の人口が都市部より少ない分、求職者との接点がさらに限られやすくなります。 求人媒体だけでは母集団の確保が難しくなりがちです。
そのため、地元の学校やハローワーク、取引先を通じた紹介など、地域に根ざしたネットワークの価値が相対的に高くなります。
Q. 中小企業の採用にもAIは活用できますか?
A. 中小企業の採用にもAIは有効です。応募受付の自動返信から日程調整、一次面接という順に、小さな範囲から段階的に導入する方法があります。
専任の担当者を置けない体制でも、定型的な一次対応から順に置き換えていく形なら、運用を続けやすい進め方です。
レバレジーズ株式会社の「NALYSYS AI面接」は、面接の準備や初期対応、書類選考、一次面接を自動化するAI面接サポートサービスです。工数・負担を削減し、採用担当者はより本質的な採用業務に集中できるようになります。

あらゆる採用ニーズに対応していますので、中小企業の採用活動に課題を感じている場合はぜひお問い合わせください。
「NALYSYS AI面接」の機能の詳細や活用シーン、導入事例については、「3分でわかるNALYSYS AI面接」から無料ダウンロードできる資料に掲載しています。
