新卒採用の課題は、母集団形成から選考、内定、入社後の定着まで、さまざまな段階で発生します。「エントリーが集まらない」「内定辞退が続く」とお悩みの採用担当の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、新卒採用でよくある5つの課題や課題別の解決の打ち手を解説します。また、新卒採用を難しくしている外部要因も解説するので、ぜひ参考にしてください。
新卒採用でよくある課題
新卒採用の課題とは、母集団形成から選考、内定、入社後の定着までの各段階で生じる、新卒採用に特有の問題のことです。
新卒採用でよくある課題は、母集団形成の停滞、書類選考での見極めの難しさ、対応工数の時期集中、内定辞退、入社後の早期離職の5つです。
これらの課題の背景には、多くの企業が同じ時期に一斉に動く年度単位のスケジュールであること、実務経験のない学生をポテンシャルで評価すること、配属先が未定のまま採用することが多いなど、新卒採用ならではの事情があります。
母集団形成が進まず応募が集まりにくい
新卒採用でよくある課題は、母集団形成が進まず応募が集まりにくいことです。
多くの企業が同じ時期に新卒採用の募集を始めるため、学生との接点を得る競争が同時期に集中します。中途採用のように応募を随時受け付ける方式とは違い、新卒採用は決まった時期に学生の関心をひきつける必要があります。
知名度や接点の少ない企業は、学生の就職先の選択肢に入りにくく、母集団(応募者の母数)が計画どおりに形成できないという課題につながります。広告費や説明会の開催数を増やしても、競合する企業も同じ時期に同じように動くため、学生の関心を集めることは簡単ではありません。応募が集まらない背景には、学生と出会う機会そのものが不足していることが多くあります。
母集団が小さいまま選考に進むと、必要な人数を採用できなかったり、比較検討する母数が少ないまま合否を決めざるを得なかったりします。
エントリーシートだけでは人柄を見極めにくい
新卒採用の課題の一つは、エントリーシートだけでは人柄を見極めにくいことです。
実務経験のない学生をポテンシャルで評価する新卒採用では、エントリーシートだけでは人柄を判断するための材料が限られており、見極めの難易度が高いです。
見極めの難しさは、生成AIの普及によってさらに強まっています。
レバレジーズ株式会社の調査では、新卒・中途採用においてAI面接を導入している企業の69.7%が、生成AIの普及により書類選考での人物の見極めが難しくなったと回答しています(「非常に難しくなった」と「難しくなった」の合計)。

引用:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
エントリーシートの文章が画一化しやすく、応募者ごとの違いを読み取りにくくなっています。書類だけで学生の人柄を見極めることは、以前よりも難しくなっているといえるでしょう。
参考:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
説明会・選考対応の工数が特定時期に集中する
新卒採用の課題として、説明会・選考対応の工数が特定時期に集中することが挙げられます。
新卒採用では説明会の会場の確保や日程調整、応募者への連絡、面接官のアサインといった実務が同じ時期に重なります。採用担当者が一人で抱えきれる範囲を超えてしまうことも珍しくありません。この工数の集中が、対応の遅れや学生を待たせる時間の長さにつながります。
対応が遅れると、他社の選考に流れてしまう学生も出てくるでしょう。また、対応が追いつかない状態が続くと、外部への委託や人員の追加が必要になり、採用コストの増加にもつながります。
内定辞退が起こる可能性がある
新卒採用の課題の一つは、内定辞退が起こる可能性があることです。
新卒採用では、内定を出してから入社まで数ヶ月から半年以上の期間が空くことが一般的です。この間に内定が出た他社と比較したり、入社への迷いが生じたりすることで、内定辞退につながる場合があります。
また、内定を出す時期が企業によって前後することも、比較や迷いを長引かせる一因です。
内定辞退の防止策は、選考フェーズによって異なります。以下の記事では、選考フェーズごとに内定辞退防止策をご紹介しています。
内定辞退に課題を抱えている方はごらんください。
入社後の早期離職が起こる可能性がある
新卒採用でよくある課題には、早期離職が発生することが挙げられます。
厚生労働省の調査によると、新規大学卒業就職者の就職後3年以内の離職率は33.8%(令和4年3月卒業者)で、約3人に1人が3年以内に離職しています。
早期離職が起こると、採用や育成にかけた時間や費用を回収できないまま人材を失うことになります。さらに、欠員を補うための採用活動を改めて行う負担が生じる点にも注意が必要です。
配属先が未定のまま採用する新卒採用特有の構造が、入社後のミスマッチにつながるリスクを高めるといえます。
資料「離職の原因は『配属』にある?配属時に覚えておきたい3つの観点」の中で曽和利光氏は、新卒採用は配属先が未定のまま採用することが多いため、本人の性格や適性と配属先の不一致が、ミスマッチの主な要因になりやすいと述べています。
配属後の仕事内容が入社前に思い描いていたものと違っていた場合、本人の適性と業務内容がかみ合わないまま働き続けることになり、モチベーションの低下につながりやすくなります。
参考:
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
レバレジーズ株式会社「離職の原因は『配属』にある?配属時に覚えておきたい3つの観点」
新卒採用が難しい理由
新卒採用が難しいと感じる背景には、企業の努力だけでは動かせない市場側の要因もあります。
新卒採用が難しい主な理由は、売り手市場が続いていることと、就職活動の早期化・長期化です。
売り手市場が続いている
新卒採用が難しい理由の一つは、新卒採用において売り手市場が続いていることです。
新卒の就職市場では、就職を希望する学生のほぼ全員が就職先を得ている状態が続いており、企業は学生から選ばれる立場に置かれています。
文部科学省・厚生労働省の調査によると、令和8年3月に大学(学部)を卒業した学生の就職率は、令和8年4月1日現在で98.0%となり、前年同期比で増減はありませんでした。この就職率は、卒業者全体に対する割合ではなく、就職を希望した学生のうち実際に就職できた人の割合を示す指標です。つまり、就職を希望した学生のほぼ全員が就職先を得ていることになります。
こうした状況の背景には、少子化による若年層の労働力人口の減少もあると考えられます。学生1人あたりの選択肢が広がりやすい環境が続いているため、企業が自社を選んでもらうための工夫を求められる状況が、ここ数年続いています。
参考:文部科学省・厚生労働省「令和8年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」
就職活動が早期化・長期化している
新卒採用が難しい理由には、就職活動が早期化・長期化していることが挙げられます。
新卒採用は、インターンシップを起点とした学生との早期接触が広がり、選考開始の前倒しと活動期間の長期化が進んでいます。
近年は、学生が大学3年生の段階からインターンシップなどを通じて企業と接点を持つ動きが広がっています。政府が示す採用選考活動の日程自体は維持されているものの、学生との接触や実質的な選考の開始時期は前倒しになる傾向があり、学生が複数の企業と接触しながら比較検討する期間も長くなりました。学生側も、早い時期から情報を集めて応募先を絞り込む準備を進めるのが一般的です。
企業側は学生との接点づくりを早い段階から始め、長期にわたって続けていく必要が生じており、新卒採用にかかる負担が増大しています。
新卒採用の課題を解決する打ち手
新卒採用の課題には、学生の数や市場の動きなど、自社だけでは変えられない外部の要因が関わっています。売り手市場や就職活動の早期化・長期化を自社の力で変えることは難しいため、打ち手は自社の内側で変えられる部分に集中させます。
ここまでで挙げた新卒採用における5つの課題と、それに対する打ち手は以下のとおりです。
| 課題 | 対応する打ち手 |
| 母集団形成が進まず応募が集まりにくい | 採用ターゲットを見直す/学生との接点のつくり方を見直す |
| エントリーシートだけでは人柄を見極めにくい | 評価基準を統一して見極めの精度を上げる |
| 説明会・選考対応の工数が特定時期に集中する | 選考の一次対応を仕組み化して工数を減らす |
| 内定辞退が起こる可能性がある | 内定期間のフォローを設計する |
| 入社後の早期離職が起こる可能性がある | 配属と受け入れの体制を整える |
新卒採用は年度単位で計画を立てるため、各段階でのつまずきが翌年度の人員計画にまで影響します。新卒採用に課題を感じている場合は、早めに改善に取り組みましょう。
採用ターゲットを見直す
新卒採用において母集団形成が進まず応募が集まりにくい課題に対しては、採用ターゲットの見直しが打ち手になります。
どのような学生に来てほしいのかという人物像や行動特性、そして仕事内容やキャリアの見通しが具体的に伝わる訴求の中身を見直すことが軸です。行動特性や具体的な仕事内容まで踏み込んで言語化し、学生が自分に当てはまるかを判断できる形で発信することが、応募の質と量の両方に関わってきます。
求める人物像を「コミュニケーション力が高い人」のような言葉のままにしておくと、学生と企業の間で解釈にずれが生じます。また、面接官どうしやアウトソーシング先との間でもずれが生じる可能性があります。選考の基準としても機能しにくくなるでしょう。
資料「採用のミスマッチはなぜ起きるのか」でも、抽象的な要件が人材紹介会社などの第三者を介して伝わる過程で解釈のずれが広がりやすいことが、採用のミスマッチが起きる要因の一つとして挙げられています。
参考:レバレジーズ株式会社「採用のミスマッチはなぜ起きるのか」
学生との接点のつくり方を見直す
新卒採用における応募が集まりにくいという課題は、採用ターゲットの言語化とあわせて、学生との接点のつくり方の見直しでも改善が見込めます。学生と出会う経路にはいくつかの型があり、採用ターゲットや募集規模に合わせて使い分けることが必要です。
採用チャネルごとの向いているケースを整理すると、以下のとおりです。
| 接点の型 | 向いているケース |
| 就職サイトへの掲載 | 幅広い層に一度にアプローチしたい場合 |
| 合同説明会への参加 | 短期間で多くの学生と接点を持ちたい場合 |
| ダイレクトリクルーティング | ターゲットを絞って個別にアプローチしたい場合 |
| リファラル(社員紹介) | 自社の社風に合う学生を紹介経由で集めたい場合 |
| インターンシップ | 入社前に相互理解を深めたい場合 |
いずれか一つの型に頼ると、出会える学生の層に偏りが生じやすくなります。複数の型を組み合わせ、時期や職種に応じて配分を見直すことが、母集団の安定につながります。
また、就職活動の早期化が進むなかでは、どの型を使うかとあわせて、いつ学生と接点を持つかの設計も欠かせません。多くの企業が広報を始める時期に合わせるだけでなく、インターンシップなどを通じて早い段階から相互理解を積み上げておくと、同時期の一斉競争のなかでも自社を選択肢に入れてもらいやすくなります。
評価基準を統一して見極めの精度を上げる
新卒採用における人柄の見極めの精度は、評価基準を統一することで課題解決を目指します。
求める人物像を、行動特性や価値観といったポテンシャルの中身まで分解し、共通の評価軸として言語化することが出発点になります。
評価軸の言語化とあわせ、質問項目や評価の観点をあらかじめ定めておく構造化面接を取り入れると、面接官ごとの印象や経験に左右されにくい評価がしやすくなります。
また、適性検査や動画選考、AI面接などを取り入れると、書類だけでは見えにくい行動特性や価値観を早い段階で把握する材料になります。統一した評価軸をこれらの接点にも適用すると、評価する側と評価材料の両面から見極めの精度を高められます。
選考の一次対応を仕組み化して工数を減らす
工数の時期が集中するという新卒採用の課題に対しては、一次対応の仕組み化で備えます。
エントリーの一括対応や説明会の予約、書類確認や一次面接といった一次選考の対応を仕組み化すると、採用担当者の対応時間と、学生を待たせる時間の両方を減らせます。
エントリー受付の確認連絡や説明会の予約管理は、自動化しやすい代表的な工程です。
また、一次選考の段階でも、書類確認の一次スクリーニングや、一次面接の実施・評価記録の作成にAIを活用すると、選考の工数を削減できます。
内定期間のフォローを設計する
内定辞退が起こる可能性があるという新卒採用の課題には、内定期間中のフォローの設計で解決します。
内定から入社までの期間中、定期的な接点を保ち、配属予定や具体的な業務内容を伝え、学生の不安を聞き取る機会を設けることが、内定期間のフォローの中心になります。
内定承諾によってほかの可能性を切り捨ててしまったことで起きる「内定ブルー」は、内定者面談や懇親会のような単発の行事ではなく、内定期間全体を通じた接点の設計で受け止めることがポイントです。
接点の頻度や開示する情報の具体性は、内定期間の長さにあわせて設計しておくとよいでしょう。学生の様子が見えない期間を長くつくらないことが、内定辞退の兆候を早めにつかむことにもつながります。
参考:レバレジーズ株式会社「採用時の人材を見極める方法と早期離職を防ぐための対策とは」
配属と受け入れの体制を整える
新卒採用における課題の一つである早期離職を防ぐ土台になるのは、配属と受け入れの体制づくりです。本人の性格や適性を踏まえて配属先を設計し、入社前から配属後の仕事内容や働き方について期待値をすり合わせておくことが、ミスマッチを防ぐことにつながります。
配属先が未定のまま採用選考を進める新卒採用では、配属を決める段階になって初めて、本人の適性と配属先の相性を検討することになりがちです。
資料「離職の原因は『配属』にある?配属時に覚えておきたい3つの観点」で示されているように、性格・適性と配属先の相性はミスマッチを左右する要素です。適性検査や面接で見えてきた行動特性・価値観を配属の判断材料として活用し、本人の希望と配属先の業務内容のすり合わせを選考段階から進めておくことが望ましいでしょう。
配属が決まった後も、受け入れ側の準備が欠かせません。育成担当を早めに決めて役割分担を明確にし、入社直後のオンボーディングで業務内容や職場の雰囲気を共有すると、本人が感じるギャップを小さくすることが可能です。育成担当が入社後も様子を確認する体制が整っていると、早期離職のリスクを抑えることにつながります。
「離職の原因は『配属』にある?配属時に覚えておきたい3つの観点」では、配属を決める際に押さえておきたい3つの観点と、入社後のミスマッチを防ぐための考え方を解説しています。本文で触れた「配属先が未定のまま採用する」という新卒採用特有の構造への向き合い方も、あわせて確認できるのでぜひ参考にしてください。
▶ 「離職の原因は『配属』にある?配属時に覚えておきたい3つの観点」をダウンロードする
まとめ
本記事では、新卒採用でよくある5つの課題と解決の打ち手について解説しました。
売り手市場や就職活動の早期化は自社では動かせないため、自社側で変えられる打ち手から着手することがポイントです。自社が新卒採用において抱えている課題を究明し、課題に合わせた施策を講じましょう。
採用ターゲットの見直しや見極めの精度の向上、選考の一次対応の仕組み化などを実行する際には、 AI人事プラットフォーム「NALYSYS」の導入も有効です。
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新卒採用の課題に関するよくある質問
新卒採用の課題に関して、採用担当者から寄せられることが多い質問に、要点を絞って回答します。
Q. 新卒採用と中途採用で課題はどう違いますか?
A. 中途採用が随時の募集・即戦力の評価・配属先が確定した状態での採用を前提とするのに対し、新卒採用はその逆の条件で進むため、課題の性質が異なります。
中途採用では転職市場での人材の獲得競争や選考スピードが課題の中心になりやすい一方、新卒採用では内定期間の長さによる辞退や、配属によるミスマッチが課題になりやすいという違いがあります。
中途採用の課題については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
Q. 内定辞退を減らすにはどうすればよいですか?
A. 新卒採用における内定辞退を減らすためには、内定式や懇親会といった単発の行事だけで済ませず、内定期間の全体を通じて接点を設計することが効果的です。
接点の頻度は内定期間の長さにあわせて決定し、面談や懇親の場など形式を複数用意して、学生が疑問や不安を伝えやすい状態を保つことがポイントです。
Q. 新卒採用にもAIは活用できますか?
A. 新卒採用においても、エントリーシートの確認や一次面接など、選考の一部の工程でAIを活用する動きが広がっています。採用担当者の対応工数が特定の時期に集中しやすい新卒採用において、AIを活用することは採用活動の効率化に有効にはたらきます。
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