「新卒採用の母集団形成は、いつから何を始めればよいのか」とお悩みの採用担当者も多いのではないでしょうか。
新卒採用における母集団形成はルールに沿って開始しますが、解禁までに準備を整えておく必要があります。
本記事では、新卒採用における母集団形成の主な手法や進め方を解説します。また、母集団形成の課題や母集団形成後の選考設計についても解説するので参考にしてください。
新卒採用における母集団形成とは
新卒採用における母集団の規模と質は、その年の採用結果の成否を左右する重要なものです。
まず最初に、新卒採用における母集団形成の定義や中途採用との違い、歩留まり構造を整理します。
新卒採用の母集団形成の定義
新卒採用の母集団形成とは、プレエントリーや説明会予約などの形で自社と接点を持った就活生の集団をつくることです。
新卒採用では、プレエントリーの時点ではまだ応募の意思が固まっていない学生が大半です。新卒採用における母集団は「応募者の集まり」ではなく「これから応募者になってもらう候補者の集まり」であり、集めた後の情報提供や接点の設計までを含めて母集団形成と呼びます。
そのため、プレエントリー数だけを目標にすると実態を見誤ります。説明会への参加、エントリーシートの提出と段階が進むごとに人数は減っていくため、最終的に何名が選考に入るかを見据えて集めなければなりません。
母集団形成の全体像や採用チャネルの種類は、次の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
中途採用との違い
新卒採用の母集団形成は、年間スケジュールが固定されている点と、ポテンシャルを評価する点が中途採用と大きく異なります。
新卒採用の母集団形成と中途採用の母集団形成の主な違いは、以下の表のとおりです。
| 項目 | 新卒採用の特徴 | 中途採用の特徴 |
| 募集時期 | 就職活動の年間スケジュールに沿って一斉に動く | 欠員・増員に応じて通年で動く |
| 候補者の状態 | 学業と並行して数十社を同時に検討する | 在職中で、検討する企業数は限られる |
| 評価対象 | 就業経験がなく、ポテンシャルを評価する | 経験・スキルの要件で評価する |
| 母集団の規模 | 数百名から数千名の規模を想定する | 職種ごとに数名から数十名の規模になる |
| 接点から入社までの期間 | 1年以上かかることもある | 数週間から数ヶ月で決まる |
中途採用は「要件に合う少数に会う」設計であるのに対し、新卒採用は「多数と接点を持ち、段階的に絞りながら候補者の志望度を育てる」設計になります。
同じ母集団形成という言葉でも、新卒採用と中途採用における設計の考え方は別物です。中途採用における母集団形成の詳細は、 以下の記事で解説しているので参考にしてください。
プレエントリーから内定までの歩留まり構造
新卒採用の母集団は、プレエントリーから内定承諾までの各段階で段階的に減っていきます。
新卒採用の一般的な選考の流れは次のとおりです。
- プレエントリー(氏名・連絡先の登録)
- 会社説明会への参加
- エントリーシート・適性検査の提出
- 面接(複数回)
- 内定
- 内定承諾
各段階の間には歩留まり率(移行率)があり、たとえば説明会に参加した学生のうちエントリーシートを提出するのは一部にとどまります。また、選考に進んだ場合も、学生は複数社を併願しているため、内定を出しても承諾するとは限りません。
この歩留まり構造を前提にすると、新卒採用の母集団形成における「採用予定人数に対してプレエントリーが何名必要か」は逆算できます。
新卒採用で母集団形成が難しくなっている背景
新卒採用の母集団形成は、スケジュールの実質的な長期化、チャネルの分散、応募書類の均質化という3つの変化によって難しくなっています。
レバレジーズ株式会社が2026年2月に実施した調査でも、採用における課題の1位は「応募者数の不足(45.2%)」でした。

引用:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
母集団の確保は、新卒・中途を問わず採用担当者の課題になっていることが分かります。
ここからは、新卒採用の母集団形成を難化させている3つの要因について解説します。
採用スケジュールの長期化
政府要請の日程は変わっていない一方で、インターンシップ等のキャリア形成支援活動を通じた早期の接点づくりが一般化しており、新卒採用において企業と学生が対話を持つ実質的な期間は長期化しています。
2026年8月時点の最新の政府要請では、「3月1日の広報開始」「6月1日の選考開始」「10月1日の内定日」を遵守することが求められています。これに加え、インターンシップ等で得た学生情報の利用にも厳格なルールが存在します。
一方で、大学3年の夏から始まるキャリア形成支援が、企業と就活生がお互いを深く知る重要な初期接点となっているのも事実です。
オープン・カンパニーやキャリア教育で得た情報は新卒採用に利用できませんが、一定の要件を満たした「インターンシップで得た情報」は、3月以降の広報や6月以降の選考段階から評価として活用可能です。
そのため企業は、ルールに抵触する早期の選考・内定出しを厳に慎みつつ、3月の採用広報開始以降に適切な情報活用ができるよう、前年のプログラム実施段階からコンプライアンスに則った設計を進める必要があります。
採用時期を固定せず通年で募集する考え方もあります。詳しくは次の記事をご覧ください。
参考:内閣官房「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」
採用チャネルの多様化
新卒採用における採用チャネルが多様化し、「就活サイトに掲載すれば母集団が集まる」という前提が崩れています。
学生の情報収集の経路は、就活サイトに加えて、スカウト型のサービスや口コミサイト、SNS、大学のキャリアセンターなどに分散しています。企業側の接点も、ナビ媒体への掲載だけでなく、ダイレクトリクルーティングや新卒紹介サービス、オウンドメディアなどへと広がっています。
採用経路が分散した結果、1つのチャネルで会える学生の範囲は狭くなりました。自社が求める学生層がどの経路にいるのかを把握しないままチャネルを選ぶと、掲載費だけがかかって母集団が増えない状態になります。
チャネル選定を含む採用課題を整理したい場合は、次の記事が参考になります。
生成AIによる応募書類の均質化
生成AIの普及でエントリーシートの文面が整い、書類の出来栄えで学生を見分けることが難しくなっています。
レバレジーズ株式会社の実態調査では、AI面接を導入した企業のうちの69.7%が、生成AIの普及によって応募書類から人物を見極めることが難しくなったと回答しました。

引用:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
母集団形成への影響は、集めたあとの絞り込みに現れます。新卒採用の応募時に提出するエントリーシートで差がつかなくなると、書類選考を厚くする従来の設計では、会うべき学生とそうでない学生を分けられません。
近年の新卒採用では、母集団を集める設計と集めたあとにどう見極めるかの設計を、セットで見直す必要が出ています。
新卒採用の母集団形成の手法
新卒採用の母集団形成で使う主な手法は、就活サイト・合同説明会・新卒紹介サービス・ダイレクトリクルーティング・インターンシップの5つです。
手法ごとに、接触できる学生層と動くべき時期が異なります。5つの母集団形成の手法の特徴は下記の表のとおりです。
| 母集団形成の手法 | 接触できる学生層 | 母集団の傾向 | 主な実施時期 |
| 就活サイト | 広範囲の就活生 | 量は集まるが志望度はばらつく | 3月の広報解禁以降 |
| 合同説明会 | 業界・企業を絞り込む前の学生 | 認知のない企業でも直接会える | 3月以降が中心 |
| 新卒紹介サービス | 就活後半の未内定者を含む学生 | 少数だが要件との一致度が高い | 通年(後半に強い) |
| ダイレクトリクルーティング | 登録型サービス上の学生 | 自社の運用量に比例する | 3月の広報解禁以降 |
| インターンシップ | 早い時期から主体的にキャリアを考え始める学生 | 志望度が育ちやすい | 大学3年の夏・秋・冬 |
このほか、学内セミナー・リファラル採用・SNS・オウンドメディアも接点になりますが、単独で母集団を支える経路にはなりにくいため、上記5つを補完する位置づけで検討しましょう。
ここでは、就活サイト・合同説明会・新卒紹介サービス・ダイレクトリクルーティング・インターンシップについて詳しく解説します。
就活サイト
新卒採用の母集団形成の手法の一つは、就活サイトです。
就活サイトは、3月以降にプレエントリーを広く集める母集団形成の主経路です。
就活サイトは登録学生数が多く、母集団の量を確保する手段としての起点になります。
就活サイト上でエントリー受付や説明会予約の管理機能があり、母集団を集めたあとの連絡・案内も同じ基盤の上で運用できます。
就活サイトの注意点は、掲載社数が多く、自社のページが埋もれやすいことです。情報を掲載するだけでは検索結果の下位に沈むため、業種・職種・勤務地といった学生の検索条件を意識した情報の掲載と、掲載後の更新運用が重要になります。
合同説明会
新卒採用の母集団形成の手法には、合同説明会があります。
合同説明会は、自社をまだ知らない学生と直接会える場です。
知名度の高くない企業にとって、学生が「たまたまブースに立ち寄る」ことから接点が生まれる点は、Web経由の経路にはない合同説明会のメリットです。対面で受けた印象は記憶に残りやすく、その後のプレエントリーにつながりやすくなります。
一方で、合同説明会には出展費用と当日の人員拘束が発生します。また、1回の出展で接触できる人数には限りがある点にも注意が必要です。合同説明会の出展の目的を「その場でのエントリー獲得」ではなく「後日のプレエントリーへの誘導」と置き、当日の接触者に連絡できる導線を用意しておきましょう。
新卒紹介サービス
新卒採用の母集団形成の手法には、新卒紹介サービスが挙げられます。
新卒紹介サービスは、要件に合う学生を絞って接触したい場合や、採用後半の充足を目的に使用する経路です。
新卒紹介サービスでは、エージェントが学生の志向や適性を把握したうえで企業に紹介するため、説明会からの歩留まりに悩む経路と比べて、面接に進む割合が高くなりやすい特徴があります。費用は採用決定時の成功報酬が中心のため、初期費用を抑えて始められます。
一方で、紹介数そのものは多くないため、新卒紹介サービスは母集団の量を支える経路にはなりにくいです。就活サイトやインターンシップで集める母集団の補完として、また、内定辞退が出たあとの追加確保の手段として組み込むのが現実的です。
ダイレクトリクルーティング
新卒採用の母集団形成の手法の一つは、ダイレクトリクルーティングです。
ダイレクトリクルーティングは、待っていては出会えない学生に対して、企業側から主体的にアプローチできる手法です。
ダイレクトリクルーティングは学生のプロフィールを検索してスカウトを送信する仕組みです。
しかし、活用時には政府要請ルールへの配慮が必要です。要請では、「広報活動開始期日(3月1日)より前は、学生情報の取得や、学生情報を活用した活動を行わないこと」と定められています。そのため、3月1日の広報解禁前に、登録された学生の個人プロフィールをもとにスカウト等の個別接触を行うことはできません。
したがって、ダイレクトリクルーティングは「3月の広報解禁以降」に、自社が求める学生へピンポイントに接触してマッチングの質を高める手法として位置づけるのが適切です。また、導入にあたっては、ダイレクトリクルーティングのサービスが要請ルールを遵守しているかを事前に確認する必要があります。
ダイレクトリクルーティングの成果は、スカウトの送信数と文面の質に比例します。プロフィールを丁寧に読み込んだ個別の文面は返信率が上がる傾向があります。しかしその分1通あたりの作成時間がかかるため、3月の広報開始後にスムーズかつ効果的なアプローチができるよう、事前に担当者の運用時間を確保できるかを確認し、計画的に導入を進めましょう。
新卒・中途を含めた採用手法の全体像は、次の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。
インターンシップ
新卒採用の母集団形成の手法には、インターンシップも含まれます。
インターンシップは、母集団の量ではなく、学生との相互理解を深めてマッチングの「質」と「志望度」を高める手法です。
インターンシップを通して実際の業務を体験した学生は、仕事内容への理解が深い状態で選考に入るため、志望動機が具体的になり、入社後のミスマッチも小さくなります。また、早い時期から主体的にキャリアを考える学生と、中長期的な対話の接点を持てる点もメリットです。
制度面では、実施日数などの一定の基準を満たす「インターンシップ(タイプ3)」で取得した学生情報に限り、広報・選考の解禁後に採用活動へ活用できます。また、2週間以上の「専門活用型インターンシップ(タイプ3)」に参加した学生については、採用選考活動開始の例外措置(※従来の取扱いに準ずる)が適用される場合もあります。
なお、基準や運用ルールは年度で見直されるため、実施前に必ず最新の政府要請と三省合意を確認してください。
インターンシップからの選考接続を検討する場合は、次の記事も参考になります。
新卒採用の母集団形成の進め方
新卒採用の母集団形成は、必要な母集団数の逆算から始めて、学生像・スケジュール・チャネルの順に落とし込みます。
次の5つの手順で進めましょう。
- 採用計画から必要母集団数を逆算する
- ターゲットとなる学生像を言語化する
- 年間スケジュールに落とし込む
- チャネルを組み合わせる
- 効果を測定して改善する
以下で、各プロセスについて詳しく解説します。
採用計画から必要母集団数を逆算する
新卒採用の母集団形成にあたって、必要なプレエントリー数は、採用予定人数を各段階の歩留まり率(移行率)で割り戻して求めます。
たとえば最終的に10名を採用する場合、歩留まり率を次のように置くと、必要なプレエントリーは約670名になります。
| 段階 | 歩留まり率の置き方(例) | 必要人数 |
| プレエントリー | — | 約670名 |
| 説明会参加 | 30% | 200名 |
| エントリーシート提出 | 40% | 80名 |
| 内定(面接通過) | 25% | 20名 |
| 内定承諾 | 50% | 10名 |
歩留まり率は企業の知名度・業種・選考設計によって変わるため、この数値はあくまで例です。自社の前年実績があれば実績値で置き換え、初めての場合は仮置きして初年度のデータで補正しましょう。
ターゲットとなる学生像を言語化する
新卒採用の母集団形成において集めたい学生像は、抽象的な言葉ではなく、行動と志向のレベルで言語化します。
ターゲットとなる学生像を具体的な言葉で「言語化」することは、新卒採用においてミスマッチを防ぐために重要です。
資料『採用のミスマッチはなぜ起きるのか』のなかで曽和利光氏は、「コミュニケーション能力」や「地頭の良さ」といった抽象度が高い言葉は人によって解釈が大きく異なり、関係者の間で人物像がずれる原因になると指摘しています。
言葉が曖昧なままだと、面接官や人材紹介会社の間で認識にズレが生じ、優秀な人材を逃したり、採用後にミスマッチが起きたりする原因になります。
ターゲットとなる学生像を言語化するためには、まず客観的データの分析を行います。
経営者の主観やハイパフォーマーの感覚的な言葉に頼らず、社員に適性検査を実施しましょう。データを通じて、実際に自社で活躍している人材の特性(性格、能力、志向・価値観)を多面的に把握します。
そして、採用担当者全員で抽象度が高い言葉を1つずつ取り上げ、自社における具体的な状況や行動レベルに分解します。
たとえば「コミュニケーション能力」を「ゼミや研究、課外活動において、専門外や前提知識のない人に対して自身のアイデアをわかりやすく説明し、周囲の意見を整理しながら、具体的な共通の目標や企画に落とし込める力」のように、誰でも同じ共通イメージが持てる言葉へと落とし込み、社内定義を統一します。
採用要件の作り方は、次の記事で順を追って解説しているので参考にしてください。
参考:レバレジーズ株式会社「採用のミスマッチはなぜ起きるのか」
年間スケジュールに落とし込む
新卒採用における計画は、政府要請の日程ルールを遵守することを前提とし、学生の学事日程やキャリア形成支援(インターンシップ等)からの適切な接続を考慮した年間スケジュールとして設計します。
| 時期 | 主な活動 |
| 大学3年 4月〜6月 | インターンシップの企画・募集開始 |
| 大学3年 夏〜冬 | インターンシップ(タイプ3)等の実施(※学事日程に十分配慮し、長期休暇期間等を活用して実施) |
| 大学3年 3月1日〜 | 【広報活動開始】プレエントリー受付・会社説明会の実施(※一定の要件を満たしたインターンシップで取得した学生情報は、この広報解禁日以降、採用活動に活用可能となります) |
| 大学4年 6月1日〜 | 【採用選考活動開始】面接・試験などの選考、内々定の出し |
| 大学4年 10月1日〜 | 【正式内定日】正式な内定通知・内定式 |
上記のスケジュールは、学生の学修環境を確保し、安心して就職活動に取り組める環境を整えるために、業界全体で遵守が強く求められている枠組みです。
実際の採用現場では、準備不足のまま解禁日を迎えるとミスマッチが生じやすいため、企業側は各解禁日に向けた「事前の社内準備や情報発信の企画」を早期から計画的に進める必要があります。
特にインターンシップ等を通じて学生と真摯に向き合ってきたプロセスは、3月の広報活動開始以降、お互いにとってより質の高いマッチングへとつなげるための大切な信頼関係の基礎となります。
採用チャネルを組み合わせる
新卒採用におけるチャネル設計は、「広報解禁前のキャリア形成支援(相互理解)」と、「3月以降の採用活動(母集団形成)」の時期と目的を明確に切り分けて組み合わせます。
3月の広報解禁前(大学3年夏〜冬)は、インターンシップ等のキャリア形成支援活動を通じて学生との深い相互理解を築くことに注力します。
そして、3月1日の広報解禁以降に、就活サイトや合同説明会、ダイレクトリクルーティングなどの各採用チャネルを本格的に稼働させ、確度の高い母集団を形成します。さらに採用活動の後半段階では、必要に応じて新卒紹介サービスを補完的に活用するのが、ルールを遵守した基本形です。
すべてのチャネルを同時に運用すると、学生への連絡や情報更新の工数が分散し、どの経路も中途半端になりやすくなります。3月以降の広報解禁に向けて、どの採用チャネル(就活サイト、個別スカウト、紹介等)から何名を目指すのか、目標数を割り付けたうえで各サービスとの契約を検討しましょう。
効果を測定して改善する
新卒採用の母集団形成の効果測定は、プレエントリー数ではなく段階ごとの歩留まり率で行います。
たとえば、プレエントリーが目標に届いていても、説明会への歩留まり率が低ければ母集団は機能していないと考えられます。
経路ごとに「プレエントリー→説明会→エントリーシート提出」の歩留まり率を分けて記録すると、量を集める経路と選考に進む経路の違いが見えます。
歩留まり率の低い段階が特定できたら、その段階の設計を見直します。説明会への移行が低いなら案内のタイミングと内容を、エントリーシート提出への移行が低いなら提出の負荷や締め切りの設計を疑いましょう。
採用KPIの設計は、次の記事で指標一覧つきで解説しています。あわせて参考にしてください。
母集団形成後の選考設計
新卒採用を成功させるためには、母集団を集める設計に加えて、集めた学生をどう見極め・どう選考に進めるかの設計が大切です。
ここでは、母集団形成の成果を採用数につなげるための選考設計のポイントを3つ紹介します。
書類選考の位置づけを見直す
新卒採用において、エントリーシートで絞り込む前提の選考設計は、生成AIの登場の影響を受けて見直される傾向にあります。
前述のレバレジーズ株式会社の実態調査では、応募書類での人物の見極めが難しくなったと回答した企業のうち、書類選考をすでに廃止した企業が13.8%でした。
また、「書類選考の廃止を検討している」が34.2%、「廃止しないが選考での重要度を下げる予定」が38.8%で、合わせて7割超が、書類選考の比重を下げる方向を選んでいます。

引用:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
書類選考の従来の「不採用者を絞り込むスクリーニング」としての役割を緩め、応募書類の役割を「面接で深掘りするための背景情報の把握」と割り切ります。応募書類の出来栄えのみに左右されずに、会って人物を見極める設計へ移行しましょう。
なお、書類選考の効率化の具体策は次の記事で解説しているので参考にしてください。
選考の間口を広げる
新卒採用において、応募書類で落とす人数を減らし、より多くの学生と実際に会う方向へシフトすることがおすすめです。
同調査では、AI面接を導入した企業の86.7%が面接の間口を広げる方向にプロセスを変更していました。内訳は「書類通過基準を緩和して面接に進める人数を増やした」が53.2%、「書類選考を廃止して応募者全員がAI面接を受けられるようにした」が33.5%です。

引用:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
新卒採用においても、候補者が生成AIを活用してエントリーシートを作成することが一般的になりつつあります。そのため、エントリーシートが均質化する可能性をふまえて、応募書類の評価の優先度を下げて、面接の間口を広げている企業が増加しています。
一次面接を自動化する
一次面接をAIを活用して自動化することは、新卒採用における母集団形成の成功につながります。
面接の間口を広げた場合、その分面接工数は膨らみます。さらに、新卒採用では選考が特定の時期に集中するため、面接官の工数確保と日程調整が滞留の原因になりやすい構造です。
これらの懸念を解消する手段として、AI面接サービスを使った一次面接の自動化が挙げられます。
レバレジーズ株式会社の「NALYSYS AI面接」では、人間の面接官に代わり、AIの面接官が候補者との一次面接を自動で実施し、評価レポートも自動で作成します。面接は自動で進行するため、日程調整の手間も、面接自体の工数もかかりません。
AI面接を導入することで、母集団の数を制限することなく、面接の間口を広げることが可能です。
新卒採用でのAI面接活用の判断材料や成功事例は次の記事にまとめているので、あわせて参考にしてください。
また、AI面接の導入企業の選考プロセスの変化や効果の詳細は、「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」で確認できます。
▶ 「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」をダウンロードする
まとめ
本記事では、新卒採用の母集団形成について、中途採用との違い、難しくなっている背景、主な手法、母集団形成の具体的な進め方、成功のための選考設計までを解説しました。
新卒採用の母集団形成は、量を追うだけでは選考につながりません。採用予定人数からの逆算と、段階ごとの歩留まり率の把握が、量と質を両立させる土台になります。
まずは前年の選考データから各段階の歩留まり率を出し、自社の母集団がどこで細っているのかを確認するところから始めてみてください。
新卒採用の母集団形成に関するよくある質問
Q. 新卒採用の母集団形成はいつから始めるべきですか?
A. インターンシップ等のキャリア形成支援活動を通じて、中長期的な相互理解・関係構築を築く場合は、大学3年の4〜6月にプログラムの企画と募集を始めます。
一方で、3月の広報解禁からの経路のみで設計する場合でも、前年のうちに媒体選定や原稿準備、自社アピール手法の確立を終えている必要があります。採用ルールのスケジュールを遵守しつつ、魅力的な情報発信を行うためには、採用したい年度の2年近く前から計画的に動くことが必要です。
Q. プレエントリーは何名くらい必要ですか?
A. 新卒採用におけるプレエントリーの必要人数は、採用予定人数と各段階の歩留まり率によって決まります。
本文の例のように歩留まり率を設定すると、採用10名に対して約670名という規模感になります。知名度や業種で移行率は変わるため、自社の前年実績で計算しましょう。
Q. 中小企業でも母集団はつくれますか?
A. 中小企業の新卒採用においても、ターゲットを明確化し、経路を絞ることで十分可能です。知名度で就活サイト上の単純な露出競争に勝ちにくい場合は、合同説明会での直接対話、広報解禁後のダイレクトリクルーティングでの個別スカウト、あるいはインターンシップ等のキャリア形成支援を通じた深い相互理解など、量ではなく「接点の質」で勝負する経路の比重を上げる設計が現実的かつ効果的です。
Q. インターンシップは母集団形成に使えますか?
A. 直接的な採用目的として実施することはできませんが、一定の基準を満たしたプログラムで取得した学生情報に限り、ルールで定められた時期(3月以降の広報活動、6月以降の採用選考活動)に採用活動へ活用することが認められています。
そのため、インターンシップは直接の選考囲い込みではなく、まずは学生のキャリア形成支援として適切にプログラムを実施し、そこで得たリレーションシップを「採用解禁以降」のステップへと正しくつなげていく設計が必要になります。
