「自社の採用課題がどこにあるのか、どこから手をつけるべきか」とお悩みの人事・採用担当の方も多いのではないでしょうか。
採用課題は、発生するフェーズごとに整理すると、原因の特定や優先順位づけがしやすくなります。
本記事では、フェーズ別の代表的な採用課題と確認すべき数値を紹介。また、採用課題の解決方法や着手の優先順位のつけ方を解説するのでぜひ参考にしてください。
採用課題とは
採用課題とは、採用活動の各段階において発生する、採用活動の成果や効率を妨げる問題のことです。
症状は「応募が来ない」「辞退が多い」など企業ごとに異なりますが、発生する段階で分類すると原因の切り分けがしやすくなります。
ここでは、課題の全体像を一覧で示したうえで、企業が実際に抱えている課題の実態を紹介します。
採用課題の全体像(フェーズ別一覧)
自社の採用課題がどのフェーズで発生しているのかを把握するために、代表的な課題を「現場でよくある症状」とあわせて一覧に整理しました。
| フェーズ | 代表的な課題 | よくある状態 |
| 母集団形成 | 採用ターゲットからの応募不足 | 応募が集まらない・要件に合う応募が少ない |
| 母集団形成 | 採用チャネル・求人訴求のミスマッチ | 求人は見られているのに応募につながらない |
| 選考 | 選考途中の辞退 | 面接の前後で応募者との連絡が途絶える |
| 選考 | 役員面接・最終面接での歩留まりの悪化 | 最終段階での不合格・辞退が続く |
| 選考 | 面接官ごとの評価基準のばらつき | 面接官によって評価がバラつく |
| 選考 | エントリーシートの見極めの難しさ | 書類だけでは人物像がつかめない |
| 内定・入社後 | 内定辞退の多発 | 内定を出しても入社に至らない |
| 内定・入社後 | 早期離職 | 入社後まもない退職が続く |
| フェーズ横断 | 採用コストの高騰 | 採用単価が高額になっている |
| フェーズ横断 | 選考体制・工数の不足 | 選考対応が回らない・兼務で手が足りない |
フェーズごとの採用課題と解決策および優先順位のつけ方については、後の章でそれぞれ解説します。
自社の採用課題の解決に取り組む際は、「①一覧表で当たりをつける」、「②該当する章の確認数値を見る」、「③採用課題の優先順位のつけ方」の手順で着手順を決める、という3ステップで進めると整理しやすくなります。
企業が抱える採用課題の実態
一覧表で示した課題が実際どの程度発生しているか、データで確認します。
レバレジーズ株式会社が実施した、新卒・中途採用に課題を感じている企業の担当者1,625名を対象にした調査では、応募者数の不足が45.2%で最も多く、採用コストの高騰が34.6%、面接官ごとの評価基準のバラつきが34.2%と続きました。上位に入った3つの課題は、母集団形成・フェーズ横断・選考と、発生する段階が分散しています。

引用:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
厚生労働省の労働経済動向調査でも、正社員等・調査産業計における労働者過不足判断D.I.は令和8年5月時点で+47ポイントとなっており、不足超過の状態です。企業側の人手不足感は高い水準が続いています。
| ※労働者過不足判断D.I.:労働者数について、調査日現在の状況で「不足(やや不足、おおいに不足)」と回答した事業所の割合から「過剰(やや過剰、おおいに過剰)」と回答した事業所の割合を差し引いた値をいう。プラスの値が大きいほど不足感が強い。 |
また、令和6年版の同省の労働経済の分析では、2023年のフルタイム求人の充足率は10%程度となっており、半世紀の中で最も低い水準にあると指摘されています。募集をかけても人材の確保につながりにくい状況です。
参考:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
厚生労働省「労働経済動向調査(令和8年5月)の概況」
厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析-人手不足への対応-」
母集団形成フェーズの課題と解決策
ここでは、母集団形成フェーズにおける採用課題と解決策を解説します。
- 採用ターゲットからの応募不足
- 採用チャネル・求人訴求のミスマッチ
採用ターゲットからの応募不足
採用ターゲットからの応募不足とは、募集をかけても応募自体が集まらない状態、または応募はあっても採用要件に合う人材が少ない状態のことです。
採用ターゲットからの応募不足が発生する背景には、採用要件やターゲット定義のずれがあります。
自社の状況を確認する際は、求人の表示回数から閲覧数、応募数までの推移を分解し、どの段階で数が落ちているかを見ます。あわせて、応募者のうち採用要件に合致している人材の割合も確認します。数値の状況ごとの見直し先は次のとおりです。
| 数値の状況 | 見直す対象 |
| 表示・閲覧が少ない | 採用チャネル(ターゲットへの届き方) |
| 閲覧はあるが応募率が低い | 募集条件・応募のしやすさ |
| 応募はあるが要件合致の割合が低い | ターゲット設定・訴求内容 |
採用ターゲットからの応募不足を解消する代表的な打ち手は、採用要件・ペルソナの言語化と、募集条件を市場の相場に合わせて見直すことです。自社の採用活動だけで母集団を広げにくい場合は、外部サービスの活用も選択肢になります。
採用チャネル・求人訴求のミスマッチ
採用チャネル・求人訴求のミスマッチとは、募集を出すチャネルや求人の訴求内容が、採用ターゲットの利用実態や関心と合っていない状態のことです。
採用チャネル・求人訴求のミスマッチの原因には、ターゲットが実際に利用している媒体と出稿先がずれていることや、求人内容の訴求がターゲットの関心・条件と合っていないことが挙げられます。
自社の状況を確認する際は、媒体別の応募数を比較し、どの媒体で応募が集まっているかを見ます。応募単価も媒体ごとに算出しておくと判断材料になります。いずれも絶対値ではなく、媒体間の差と前回募集時との比較で判断しましょう。
採用チャネル・求人訴求のミスマッチに対する代表的な打ち手は、応募が集まっていない媒体の見直しと、求人内容の訴求ポイントの改善です。
なお、これは母集団の質にかかわる課題です。選考段階での人物の見極めとは別の問題として扱う必要があります。
選考フェーズの課題と解決策
選考フェーズでは、応募者と直接顔を合わせる場面が増える分、辞退や評価のばらつきといった採用課題が具体的な数値として表れやすくなります。
本章では、次の4つの課題を順に解説します。
- 選考途中の辞退
- 役員面接・最終面接での歩留まりの悪化
- 面接官ごとの評価基準のばらつき
- エントリーシートの見極めの難しさ
選考途中の辞退
選考途中の辞退とは、辞退の連絡が入ったり、何らかの事情で応募者が選考途中で離脱したりする状態のことです。
選考途中の辞退が発生する原因としては、選考結果の連絡に時間がかかっていることや、面接の日程調整で応募者に負担をかけていることが挙げられます。また、選考中に自社の魅力や仕事内容が伝わりきっておらず、志望度が高まらないまま次の選考に進んでしまっているケースもあります。
自社の状況を確認する際は、選考段階別の辞退率と、選考結果を連絡するまでの日数を見ます。特定の段階の辞退率が、他の段階や前回の採用時期と比べて高い場合は、その前後のプロセスに負担や不満が生じている可能性があります。
選考途中の辞退に対する代表的な打ち手は、選考結果の即時連絡と、日程調整の手間を簡略化することです。
役員面接・最終面接での歩留まりの悪化
役員面接・最終面接での歩留まり(選考の各段階に応募者が残る割合)の悪化とは、最終段階まで進んだ応募者について不合格や辞退が多く発生し、内定・採用数が積み上がらない状態です。前段の選考を通過した応募者が最終段階でいなくなるため、採用計画に響きやすくなります。
役員面接・最終面接での歩留まりが悪化する原因としては、前段選考と最終選考で評価の視点が異なっていること、最終選考までの期間が長引いていること、選考を通じた意向醸成が不足していることが考えられます。
自社の状況を確認する際は、最終面接の通過率と一次選考の評価とのずれを見ます。通過率は絶対値ではなく、一次・二次選考との比較や前回の採用時期との比較で判断します。あわせて、選考全体のリードタイムも確認します。期間が長いほど、応募者の志望度が下がったり、他社の内定を先に受けたりするリスクが高まります。
役員面接・最終面接での歩留まりの悪化に対する代表的な打ち手は、選考段階間での評価目線のすり合わせと、選考期間の短縮です。
面接官ごとの評価基準のばらつき
面接官ごとの評価基準のばらつきとは、同じ応募者に対する評価が面接官によって大きく異なり、選考結果に一貫性がなくなる状態です。
面接官ごとの評価基準のばらつきが生じる原因には、評価基準が言語化されておらず面接官の主観に依存していることや、面接官間で評価の目線がそろっていないことが挙げられます。
自社の状況を確認する際は、面接官別の通過率の差を見ます。同じ選考段階でも面接官によって通過率が大きく異なる場合は、評価基準のばらつきが疑われます。
面接官ごとの評価基準のばらつきに対する代表的な打ち手は、評価基準を言語化し、質問項目や評価の観点をあらかじめ統一する構造化面接を取り入れることです。また、評価項目の統一や評価記録の標準化、統一した評価ロジックにもとづく自動スコアリングの活用など、評価の仕組み化を進めることも有効です。
エントリーシートの見極めの難しさ
エントリーシートの見極めの難しさとは、応募書類の内容から人物の特徴や適性を読み取ることが難しくなっている状態です。生成AIの普及によって、エントリーシートの文面が均質化しやすくなっており、書類だけで人物差を判断しにくい環境変化が進んでいます。
実際に、レバレジーズ株式会社の調査では、現在AI面接を導入している企業のうち69.7%が、生成AIの普及によってエントリーシートなどの書類選考で人物の見極めが難しくなったと回答しています。書類以外の選考手段をすでに取り入れている企業でも、書類だけでの見極めには限界を感じていることを示す結果です。

引用:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
自社の状況を確認する際は、書類選考を通過した応募者がその後の選考で不合格・辞退となった割合と、書類選考時の評価と面接時の評価のずれを見ます。ずれが大きい場合は、書類だけでの見極めに限界が生じている可能性があります。
エントリーシートの見極めの難しさに対する代表的な打ち手は、書類選考への偏重を見直し、適性検査や課題、動画選考、AI面接といった書類以外の初期接点を選考プロセスに追加することです。あわせて、書類以外の接点で得た評価を同じ評価軸で記録しておくと、判断のばらつきを抑えやすくなります。
参考:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
内定・入社後フェーズの課題と解決策
内定から入社後にかけては、選考を通過した人材を実際に自社の一員にできるかが問われる段階です。以下の2つの観点で解説します。
- 内定辞退の多発
- 早期離職
内定辞退の多発
内定辞退の多発とは、内定を出した応募者のうち、入社を辞退する割合が高い状態のことです。選考を通過した人材を確保できないまま採用計画が進むため、母集団形成や選考にかけた工数が無駄になりやすい採用課題です。
原因としては、最終選考の結果が出てから本人に内定を通知するまでの期間が長く、その間に他社の選考結果を先に受け取られてしまっていることや、選考から内定にかけて自社への志望度を高める接点が不足していることが挙げられます。また、内定後のフォローが手薄になっているケースも見られます。
自社の状況を確認する際は、内定辞退率と、内定を決定してから本人に通知するまでの日数を見ます。内定辞退率は前回の採用時期や職種間の比較で高低を判断します。
内定辞退が多発することに対する代表的な打ち手は、3段階に分けて考えます。
1つ目は、内定の連絡自体を早め、結果を待たせないことです。2つ目は、選考中から内定者フォローを始める発想で、面接の各段階で自社の業務内容や働き方への理解を深める機会を設け、志望度を段階的に高めておきます。3つ目は、内定後の接点を設計することです。内定通知だけで終わらせず、配属予定部署の紹介や先輩社員との面談、入社までの定期的な連絡など、内定期間中も関係を継続させる仕組みを作りましょう。
早期離職
早期離職とは、入社した人材が短期間のうちに退職してしまう状態のことです。
早期離職が発生すると、採用にかけたコストと工数が回収できないだけでなく、現場の欠員が再び発生し、採用活動をやり直す必要が生じます。
早期離職の原因としては、配属先の受け入れ体制が整っていないことに加えて、入社前に抱いていた期待と実際の業務内容や働き方との間にずれが生じていることが挙げられます。
自社の状況を確認する際は、早期離職率に加えて、配属先ごとの定着状況の差を見ます。特定の部署で早期離職が集中している場合は、受け入れ体制や配属先固有の要因を確認する必要があります。
早期離職を防止する代表的な打ち手の1つ目は、入社前の情報開示です。業務内容や1日の流れ、評価の基準といった実態に近い情報を選考段階から伝え、入社後のギャップを小さくしておきます。2つ目は、受け入れ体制の整備です。配属先での育成担当者をあらかじめ決めておくことや、入社後一定期間はオンボーディングの進捗を確認する機会を設けることが挙げられます。
フェーズ横断の課題と解決策
採用コストと選考体制・工数の課題は、母集団形成や選考のように特定のフェーズに限定されず、採用活動全体の効率と対応品質に同時に影響する課題です。
採用コストの高騰
採用コストの高騰とは、母集団形成から選考にかけて投じる費用が積み重なり、採用活動全体の負担になっている状態のことです。
採用コストが高騰している原因を見るときは、どの経路にどれだけのコストをかけ、何人採用できているかという、経路別・手法別の採用単価の内訳の確認がポイントになります。見るべき数値は、1人当たりの採用コスト・経路別の採用単価・辞退による再募集の回数などです。経路別の単価は、先述の外部水準や自社の他経路との比較で高低を判断します。単価の高い経路に依存していたり、同じ枠を何度も募集し直していたりすると、コストが膨らみやすくなります。
採用コストの高騰に対する代表的な打ち手は下記の4点です。
- 採用単価の高い経路への依存度を見直す
- 単価の低い採用チャネルの仕組みを整える
- 書類選考や面接の歩留まりを改善してコストを抑える
- 採用業務を自社で担う部分と外部の人材サービスに委託する部分を切り分ける
企業の状況によって、取るべき打ち手を選択しましょう。
選考体制・工数の不足
選考体制・工数の不足とは、応募者数に比例して増える書類選考や面接に担当者が対応しきれず、選考全体の処理能力が限界に達している状態のことです。対応の遅れは、特定の選考段階に留まらず、全フェーズの対応スピードと品質に影響します。
選考体制・工数の不足の原因は、書類選考や面接の運用が手作業に依存していることや、体制の未整備によって専任の担当者を置けず兼務で対応していることなどです。
自社の状況を確認する際は、選考1件あたりにかかる対応時間と、担当者の人数および兼務率を見ます。応募が増えた局面で対応時間が伸び続けていないか、選考連絡の後回しが常態化していないかを判断します。
選考体制・工数の不足に対する代表的な打ち手は、選考業務の自動化です。たとえば、書類選考や一次面接の一部にAI面接や自動スコアリングを取り入れると、担当者1人あたりが対応できる件数を増やしやすくなります。
採用課題の優先順位のつけ方
一覧表で自社の採用課題に当たりをつけ、該当する章の確認数値を自社のデータで確かめたら、着手順を決めます。採用課題への着手順は、次の3つのステップで決めていきます。
- 採用目標から必要応募数を逆算する
- 計画と実績の差が生じる段階を特定する
- 影響の大きい段階から改善に着手する
採用目標から必要応募数を逆算する
まず採用目標を達成するために必要な応募数を、選考各段階の通過率から逆算しておきます。逆算した数値が、次のステップで実績と比較する際の基準線になります。
たとえば採用目標が5名、面接通過率が50%、書類通過率が25%の場合、面接に進める人数は目標の5名を面接通過率で割った10名、必要な応募数は面接に進める10名を書類通過率で割った40名となります。
さらに、選考辞退率・内定辞退率も考慮すると、より正確な数値を算出できます。
通過率を自社の実績値から算出し、計算に使用します。募集広告の閲覧数や応募数、書類選考・面接の通過数といった自社のデータを段階別に集計し、直近の通過率を算出したうえで逆算に用いましょう。
計画と実績の差が生じる段階を特定する
必要応募数を逆算したら、母集団形成から内定までの各段階について、計画上の人数と実際の人数を並べて比較し、差が最初に生じる段階を確認します。差が生じ始める段階が、採用活動のボトルネックの候補になります。
たとえば、応募数は計画どおり確保できているのに、書類選考の通過人数が計画を下回っている場合は、書類選考の見極めや応募者の質に採用課題がある可能性が高くなります。
段階別の人数だけで判断がつかない場合は、選考辞退の理由や面接評価の記録といった、現場や候補者の声も確認し、数値の裏づけとして使います。
採用コストの高騰が課題になっている場合も、同じ手順でどのフェーズの非効率が単価を押し上げているかの当たりをつけられます。
影響の大きい段階から改善に着手する
採用課題のボトルネックを複数特定できた場合は、より上流の段階から着手します。上流の段階が詰まったままでは、下流の段階をいくら改善しても、そこに届く人数自体が少なく効果が限られるためです。
たとえば、母集団形成の段階で応募数が不足している状態のまま面接の運用を見直しても、通過させる対象がそもそも少なく、採用数の改善にはつながりにくくなります。
また、採用課題の解消に着手する際は施策の対象を一度に広げず、特定のチャネルや選考段階など小さな単位に分解して進めます。単位を絞ることで、改善の効果を数値で確認しやすくなり、次に着手する段階の判断材料にもなります。
採用課題の優先順位を決める際の注意点
採用課題の優先順位を決める際の注意点は、下記の3つです。
- 発生頻度と自社の優先度を混同しないようにする
- 改善効果と着手負荷を比較する
- 採用戦略とのすり合わせを行っておく
発生頻度と自社の優先度を混同しないようにする
採用課題の優先順位を決める際に陥りがちな失敗が、「現場でよく起こる問題=最も優先して解決すべき課題」と思い込んでしまうことです。
たとえば、「面接の日程調整ミス」や「不採用通知の遅れ」などは日常的に目につきやすく、現場の負担感も大きいため、「すぐに対処すべきだ」と感じられるかもしれません。しかし、これらは業務の発生頻度が高いだけであり、必ずしも事業や採用成果に与えるインパクトが大きいとは限りません。
一方、発生頻度は少なくても「最終面接辞退率の高さ」や「ターゲット人材の応募数不足」など、採用成功の根幹に関わる課題こそが、自社にとって高優先度であるケースが多く存在します。
改善効果と着手負荷を比較する
採用課題の解決に取り組むときは、改善で見込める効果の大きさと、着手に要する負荷を並べて比較したうえで着手順を判断しましょう。
改善効果が見込める段階でも、体制の変更や運用の見直しに時間がかかる場合は、他の段階の改善を並行して進めたほうが早く効果が出ることもあります。
着手負荷は、体制の変更が必要か、運用の見直しだけで済むか、関係者がどこまで広がるかといった観点で見積もります。負荷が大きいと判断した改善施策は、前章で述べたとおり小さな単位に分解して進めます。
採用戦略とのすり合わせを行っておく
採用課題の優先順位を決定する際は、常に採用戦略とのすり合わせを行いましょう。
採用戦略とのすり合わせの際は、下記の観点を確認します。
- 今期の採用計画
- 事業目標
- 求める人物像
- 採用予算
- 社内リソースの分配方針
個別の課題解決だけに視野を狭めるのではなく、「この課題を解決することは、今の採用戦略の実現にどう寄与するのか」という全体最適の視点を忘れないようにしましょう。
また、優先順位は一度決めたら固定するものではなく、採用戦略の見直しに合わせて採用課題の優先順位も見直す必要があります。
まとめ
本記事では、採用課題について、発生する段階ごとの原因の候補と確認すべき数値、代表的な打ち手を解説しました。自社の採用課題への対処順は、一覧表で当たりをつけたうえで、該当する章の数値を自社のデータに当てはめて判断することがポイントです。
採用課題の解決には、AIツールを用いることも有効です。
AI人事プラットフォーム「NALYSYS」のサービス概要は、「3分でわかるNALYSYS(ナリシス)」でご確認いただけます。以下のページより無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
採用課題に関するよくある質問
ここまで紹介した採用課題は、企業の属性や選考方法によって現れ方が異なります。自社の状況を判断する目安として、よくある質問に回答します。
Q. 新卒採用と中途採用で採用課題は違いますか?
A. 新卒採用と中途採用は、内定から入社までの期間の長さや求める人材の性質が異なるため、採用課題が生じやすい段階も異なります。
新卒採用は選考から入社までの期間が長く、内定期間中に他社の選考結果と比較検討されることで内定辞退が生じやすくなります。一方で、中途採用は即戦力としての要件を明確に満たす人材を求める分、対象となる人材の市場での競合が激しく、選考のスピードが早い企業に人材を先に確保されやすいという特徴があります。
Q. 中小企業ではどのような採用課題が多いですか?
A. 中小企業では、企業の知名度の低さから応募が集まりにくいことに加えて、給与や制度面で大手企業と条件を競いにくいという課題が多く見られます。さらに、採用専任の担当者を置けず、他の業務と兼務しながら選考対応を行っている企業も多く、選考対応に使える時間が限られることが工数不足に直結します。
母集団形成の量的な不足と、選考体制の兼務リソースの制約が重なりやすい点が、中小企業の採用課題の特有の傾向といえます。
Q. オンライン採用に特有の課題はありますか?
A. オンライン採用では、対面と比べて辞退の心理的なハードルが下がりやすい点と、画面越しでの人物の見極めが難しくなる点が特有の課題として挙げられます。
直接顔を合わせないまま選考が進むため、応募者が連絡を絶ちやすくなる傾向が指摘されています。また、画面越しの見極めや日程調整のあり方も対面とは前提が変わるため、対面時代の運用をそのまま持ち込むと、評価や連絡のずれが生じやすくなるため注意が必要です。
Q. 採用課題の解決にAIは活用できますか?
A. 書類選考や面接、評価のスコアリングなど、選考プロセスの一部にAIを活用することで、採用課題の解決につながります。採用プロセスにAIツールを導入することによって、採用活動の効率化やコスト削減、採用の質向上などのメリットが得られます。
