オンライン採用を取り入れたものの、画面越しでは応募者を見極めにくい、職場の雰囲気が伝わっていない、と感じている採用担当者の方もいるのではないでしょうか。
オンライン採用の課題は、非対面という性質から生じるものが中心で、主に選考の設計によって解決できます。
本記事では、オンライン採用でよくある4つの課題やメリット、対面との使い分けを含む解決の打ち手を解説します。採用担当者の方はぜひ参考にしてください。
オンライン採用でよくある課題
採用活動にオンラインでの手法を取り入れることは一般的になりつつあります。
内閣府の「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査」(2025年度)では、採用面接を受けた学生のうち、対面とウェブ等の両方を経験した人が47.6%で、ウェブ等のみでの参加を経験した人は34.6%でした。したがって、8割超がオンラインでの面接を経験しています。
企業がオンライン採用を取り入れる際には、よくある課題を把握し、あらかじめ対策を考えておくことが大切です。
オンライン採用における主な課題は、選考プロセスを非対面で行うことによって生じる、人柄や意欲の見極めにくさ、職場の雰囲気の伝わりにくさ、通信・運用トラブル、集団選考のしにくさの4つです。
ここでは、オンライン採用でよくある課題について解説します。
参考:内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査結果について(概要)」
画面越しでは人柄や意欲を見極めにくい
オンライン採用でよくある課題の一つは、画面越しでは人柄や意欲を見極めにくいことです。
オンライン採用での画面越しのやり取りでは、対面なら自然に得られていた表情の変化や視線の動き、間合いといった非言語情報の多くが伝わりにくくなります。非言語情報が減る分、評価者ごとの解釈差がそのまま評価結果に出やすくなります。
見極めの精度が下がったまま選考が進むと、合否が面接官ごとの判断のばらつきに左右されやすくなるでしょう。
候補者に職場の雰囲気が伝わりにくい
オンライン採用でよくある課題には、候補者に職場の雰囲気が伝わりにくいことが挙げられます。
接点が乏しいまま選考が進むと、内定辞退や入社後の「イメージと違った」という声につながりやすくなります。
オフィスの雰囲気や社員同士のやり取り、普段の仕事の様子は、画面越しでは伝わりにくくなります。
会社説明会や内定後のフォローまで非対面で完結する企業もあり、その場合は候補者が入社意欲を高める場面そのものが限られやすくなります。たとえば対面の会社説明会では、休憩時間に複数の社員へ気軽に質問することもできますが、オンラインではチャット越しのやり取りにとどまります。
内定者懇親会や先輩社員との顔合わせを対面で行っていた企業ほど、オンライン化によってこうした接点の減少を実感しやすいといえます。
通信環境や運用のトラブルが起こりやすい
オンライン採用を行うにあたっては、通信環境や運用のトラブルが起こりやすいことが課題になります。
オンライン採用は機器を使用して行うため、通信環境やツールの操作に起因するトラブルが起こることがあります。接続が不安定で映像や音声が途切れたり、候補者・面接官のどちらかが操作に不慣れで開始が遅れたりすることもあります。
こうしたトラブルが起きるたびに、面接時間が短くなったり候補者を待たせたりして、候補者体験が下がるおそれがあります。
集団面接やグループディスカッションを実施しにくい
オンライン採用でよくある課題の一つは、集団面接やグループディスカッションを実施しにくいことです。
対面の集団面接では気にならなかった発言のタイミング合わせが、オンラインでは難しくなります。通信の遅延によって発言が重なりやすく、複数人が同時に話す場面では誰の発言かを聞き取るだけでも一苦労です。対面であれば司会役が視線や表情から発言を促せますが、オンラインでは誰がいつ発言してよいか分かりにくく、沈黙や発言の偏りが生まれやすくなります。
また、誰かが発言している間にほかの候補者がどのような表情で聞いているか、周囲とどうかみ合わせているかといった、対面なら自然に見えていた振る舞いが、画面越しでは見落とされやすくなります。
こうした特性をふまえずに集団選考をそのままオンラインに置き換えると、評価の精度がかえって下がりかねません。
オンライン採用のメリット
オンライン採用には運用上の課題がありますが、多くのメリットもあります。
オンライン採用のメリットは、遠方の人材との接点の増加、候補者の負担と採用コストの軽減、選考スピードの向上、面接の録画の4つです。移動を伴わない、記録を残せるといった、オンラインならではの性質から生まれるメリットです。
遠方や全国の人材に接点を持てる
オンライン採用のメリットは、遠方や全国の人材に接点を持てることです。
オンライン面接は移動を伴わないため、居住地に関係なく応募・選考を進められます。通勤圏内や説明会・面接会場に足を運べる範囲に候補者を絞る必要がなくなり、遠方や地方に住む人材ともオンラインで接点を持てます。応募者側の視点でも、オンライン採用があれば応募のハードルが下がります。
結果として、対面のみの選考では得にくかった母集団の広がりが期待できます。特に応募数の確保が課題になりやすい大量採用やアルバイト採用においても、対象エリアを広げられること自体が候補者数の増加につながりやすくなります。
候補者の負担と採用コストを抑えられる
オンライン採用のメリットには、候補者の負担と採用コストを抑制できることが挙げられます。
オンライン採用は、候補者と企業双方の負担を抑えられる点もメリットです。
候補者にとっては、面接会場までの交通費や移動時間がかからず、遠方在住や在職中で時間の確保が難しい人材でも選考に参加しやすくなります。
企業にとっても、会場の確保や設営の手間、遠方の候補者に対する交通費・宿泊費の補助といった費用や負担がかからず、採用コストを抑えやすくなります。
日程調整がしやすく選考スピードを上げやすい
オンライン採用のメリットの一つは、日程調整がしやすく、選考スピードを上げやすいことです。
オンライン採用は、移動を前提としないため候補日を確保しやすく、選考スピードを上げやすいというメリットもあります。会場への移動や交通手段の調整が不要になる分、候補者・企業とも空いている時間を選考に充てやすくなります。
日程調整のしやすさが、書類選考から面接、内定までのリードタイム短縮につながる場合もあるでしょう。選考期間の長期化による候補者の途中辞退を防ぐことにもつながりやすく、日程調整のしやすさは辞退防止の観点でも見逃せないメリットです。
面接の様子を録画して残せる
オンライン採用のメリットには、面接の様子を録画して残せることがあります。
対面の面接では、あとから内容を確認する手段が面接官のメモや議事録が中心になり、記録内容が面接官の主観に影響を受けるおそれがあります。
一方でオンライン面接では、ツールの録画機能を使って面接の様子をそのまま残せます。録画された内容には主観が介入せず、客観的な判断材料になります。
なお録画の可否や仕様はツールによって異なるため、導入時に確認しておくことが必要です。また、面接を録画する場合は、候補者への事前告知が前提となります。
オンライン採用の課題を解決する打ち手
オンライン採用の課題への対応は、オンラインの弱点を設計で補い、対面での採用を併用する方向で検討します。
オンライン採用の課題への打ち手は、評価基準の統一、雰囲気を伝える接点づくり、運用ルールの整備、対面との使い分け、一次選考の評価の標準化の5つです。
| オンライン採用の課題 | 打ち手 |
| 画面越しでは人柄や意欲を見極めにくい | 評価基準の統一+一次選考の評価の標準化 |
| 候補者に職場の雰囲気が伝わりにくい | 雰囲気を伝える接点づくり |
| 通信環境や運用のトラブルが起こりやすい | 運用ルールの整備 |
| 集団面接やグループディスカッションを実施しにくい | 対面との使い分け |
以下で、オンライン採用の課題を解決する5つの打ち手について詳しく解説します。
質問と評価基準を統一して見極めの精度を高める
人柄や意欲を見極めにくいというオンライン採用の課題に対しては、質問と評価基準をあらかじめ統一しておくことが有効です。
たとえば、聞く質問と評価する項目を事前に決めておく、構造化面接の考え方を取り入れます。どの候補者にも同じ質問を投げかけ、回答を同じ評価軸で採点すると、面接官ごとの主観のばらつきを抑えられるでしょう。画面越しでは表情や間合いといった非言語情報が読み取りにくくなる分、聞く内容と評価基準の精度でその不足を補う考え方です。
また、質問項目と評価基準を評価シートやチェックリストに明記しておくと、面接官が入れ替わっても同じ基準で判断しやすくなります。
面接を録画しておけば、評価に迷ったケースを複数の面接官で見返し、判断の目線を合わせる場としても活用できます。あわせて、評価シートの記入結果を面接官同士で定期的に見比べておくと、基準のずれに早めに気づけるでしょう。
職場の雰囲気を伝える接点を選考の中に組み込む
オンライン採用の課題を解決する打ち手の一つは、職場の雰囲気を伝える接点を選考の中に組み込むことです。
具体的には、オフィス紹介の動画や社員インタビューの動画を選考案内と合わせて共有したり、選考の過程でオンライン座談会や現場社員との面談を設けたりする方法があります。
また、内定前後のいずれかのタイミングで、会社見学や懇親会など対面の接点を1回は設ける設計にしておくと、オンラインだけでは伝わりにくい部分を補えるでしょう。
選考の中に雰囲気を伝える接点を組み込んでおくと、候補者が入社後の働き方をイメージしやすくなります。
このとき、良い面だけを見せる紹介にとどめず、業務の大変さや働き方の実情もあわせて伝えることが大切です。実態に近い情報を開示しておくと、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
通信トラブルを前提にした運用ルールを整える
オンライン採用を行うにあたって完全に避けることは難しい通信トラブルに対しては、なくすことよりも、起こる前提で運用ルールを整えておくことが現実的な対策になります。
あらかじめトラブルに備えておくことで、当日の混乱を最小限に抑えられます。
オンライン採用を行う際には、面接前に接続手順やツールの操作方法を案内し、推奨する通信環境やデバイスも明示しておきます。途中で回線が切れた場合に備え、電話番号など代替の連絡手段も事前に伝えておくと、中断時の対応がスムーズです。
面接官側も、本番前に一度ツールの操作をリハーサルしておくと、当日の操作ミスを減らせます。
また、通信トラブルは候補者側の環境に起因することも多いため、「トラブルが起きた際に候補者を責めるような対応をしない」という姿勢を面接官の間で統一しておくことも大切な配慮です。
対面とオンラインを選考段階で使い分ける
集団面接やグループディスカッションを実施しにくいというオンライン採用の課題は、すべてをオンラインで完結させようとせず、選考段階ごとに対面とオンラインを使い分けることで解消しやすくなります。
オンライン上でグループディスカッションを行う場合は、最低限の設計が必要です。1グループの人数を絞り、発言順とタイムキープをあらかじめ決めておくと、発言の重なりや偏りを減らしやすくなります。あわせて、評価者を進行役と観察役に分担しておくと、候補者一人ひとりの様子を見落としにくくなります。
また、候補者同士の相互作用をじっくり観察したい選考は、対面に切り替えることも選択肢の一つです。
母集団を広く確保したい初期選考や説明会はオンラインで実施し、グループディスカッションや最終面接、オフィス見学など相互理解を深めたい選考は対面で実施する、などのように使い分けましょう。
録画面接やAI面接で一次選考の評価を標準化する
オンライン採用における人柄や意欲を見極めにくいという課題には、録画面接やAI面接を使って非対面での評価を標準化する方法が有効です。
録画面接やAI面接では、あらかじめ用意した同じ質問を全候補者に投げかけ、同じ基準で評価します。面接官によって質問や印象の受け取り方が変わる余地が少なくなるため、評価基準を統一する打ち手を、より徹底した形で運用できます。
レバレジーズ株式会社が2026年2月に実施した「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」では、AI面接を導入した企業の担当者218名(複数回答)の「AI面接を導入して得られたメリットや成果」の回答結果が掲載されています。

引用:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」
AI面接導入の効果として挙げた項目のうち、「従来の書類選考基準であれば不合格にしていた層から、優秀な⼈材を採⽤できた(62.4%)」「面接官との相性に左右されない公平な評価ができるようになった(37.6%)」でした。
AI面接を取り入れることによって、面接官の解釈差が入りにくい状態で一次選考の評価を標準化できるほか、選考の質向上も期待できます。
「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」では、AI面接を導入した企業が選考の流れをどう変えたかという運用の実態と、導入企業が効果として何を挙げているかの内訳を確認できます。AI面接に興味をお持ちの方はぜひ参考にしてください。資料は無料でダウンロードが可能です。
▶ 「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」をダウンロードする
まとめ
本記事では、オンライン採用のよくある4つの課題と、オンラインならではのメリット、評価基準の統一や対面との使い分けといった5つの打ち手を解説しました。
オンライン採用の弱点は、選考の設計で補うことが可能です。また、選考段階で対面とオンラインを使い分けたり、録画面接・AI面接ツールを導入して評価を標準化したりすることも有効です。自社の課題がどこにあるかを確認し、課題と打ち手の対応表を手がかりに取り組みましょう。
オンライン採用の課題に関するよくある質問
オンライン採用の課題に関して、採用担当者から寄せられることが多い質問に、要点を絞って回答します。
Q. オンライン採用と対面の採用はどちらがよいですか?
A. オンライン採用と対面の採用のどちらが適しているかは、その選考段階で確認したいものが、スキルや経験の確認か、相互理解や意欲の醸成かで分かれます。 スキルや経験の確認が中心の段階では、オンラインでも見極めやすいでしょう。一方、相互理解や意欲の醸成を重視する段階は、対面のほうが伝わる情報が多くなります。
新卒採用は説明会やグループディスカッションなど相互理解の場の比重が高いためオンラインだけでは補いにくい部分が多く、中途採用はスキルや経験の確認が中心になる分オンラインで進めやすい、という違いがあります。
Q. オンライン採用だとミスマッチが増えますか?
A. オンラインだからといって必ず増えるわけではありません。対面・オンライン問わず、見極めと相互理解の設計次第です。
非言語情報や偶発的な接点が対面より少ないことをそのままにしておくと、評価のずれや入社後のイメージ差につながりやすくなります。見極めのずれには質問と評価基準の統一、相互理解の不足には雰囲気を伝える接点づくりというように、原因に合わせて打ち手を選ぶと、ミスマッチは抑えやすくなります。
Q. オンライン採用はもう古いのでしょうか?
A. オンライン採用が古くなったわけではなく、完全オンラインから対面との併用へと重心が移りつつあります。
内閣府の「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査結果について(概要)」によると、採用面接の参加方法の推移は下記の表のとおりです。
| 調査年度 | 対面のみでの参加 | ウェブ等のみでの参加 | 対面とウェブ等の両方での参加 |
| 2021年度 | 12.9% | 66.6% | 20.6% |
| 2022年度 | 13.4% | 57.2% | 29.4% |
| 2023年度 | 16.3% | 43.4% | 40.4% |
| 2024年度 | 18.2% | 36.5% | 45.3% |
| 2025年度 | 17.7% | 34.6% | 47.6% |
出典:内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査結果について(概要)」をもとにレバレジーズが作成
コロナ禍の影響によって一時期はウェブ等のみで選考を進める企業が増えましたが、その後は対面とオンラインを併用し、両方の良さを活かせる運用が増加しています。
オンラインの選考効率と対面での相互理解を組み合わせる前提で、自社の選考を設計するのがおすすめです。
