「人材を大量に採用したいが、成功させる方法が分からない」とお悩みの採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
大量採用では、必要な応募数を逆算した採用計画と、集まった応募を期限内にさばく選考体制の設計が成否を分けます。
本記事では、採用する企業側の視点から、大量採用の進め方と選考のポイントを解説します。また、工数がかさみがちな大量採用を効率化する方法も紹介するので参考にしてください。
大量採用とは
大量採用とは、企業が事業拡大や欠員補充などのために、一度に多くの人材をまとめて採用する活動のことです。
ここでは、企業が大量採用を行う理由と大量採用の人数の目安について解説します。
企業が大量採用を行う理由
企業が大量採用を行う理由は、新店舗・新拠点の立ち上げに向けた人員確保、離職による欠員の補充、将来の中核人材の計画的な育成が代表的です。いずれも、必要な人数を決められた期限までにそろえなければならない点が共通しています。
新店舗や新拠点の立ち上げでは、開業日までに必要な人員をまとめて確保する必要があります。
また、既存事業の拡大にともなう増員や、離職による欠員の補充を複数のポジションで同時に進める場合も、一人ずつ選考を進めるやり方では事業計画のスケジュールに間に合わないため、大量採用という進め方が選ばれます。
そのほか、新卒採用のように将来の中核人材を計画的に育成する目的で、毎年一定数をまとめて採用する企業もあります。
大量採用の人数の目安
大量採用という言葉に法的な基準や統一された定義はありませんが、一般的には、「10名以上の採用」や「従業員の総数の10%以上の採用」が大量採用と呼ばれています。
ただし、この人数は業界や企業規模によって幅があり、数百名規模になる企業もあれば、数十名規模でも大量採用と呼べる企業もあるため、あくまで目安として捉えておくのがよいでしょう。
大量採用を行う企業・業界の特徴
大量採用を行うのは、多店舗・多拠点で人が事業を支える労働集約型の業界や、離職率が高い業界、新卒を計画的に採用する大手企業などが中心です。
大量採用を行う業界には、小売業や飲食業、物流業、介護業、警備業、コールセンター業、人材派遣業などが挙げられます。
| 業界 | 業界の特徴 |
| 小売業・飲食業 | 新規出店のたびにまとまった人員が必要になるうえ、シフト制勤務のパート・アルバイトスタッフの入れ替わりも避けられません。多店舗展開を進める企業ほど欠員が生じやすく、補充採用が途切れにくい構造になっています。 |
| 物流業 | 拠点や配送網の拡大にともなって倉庫作業や配送のスタッフをシフト制で確保する必要があります。繁忙期には季節変動も重なり、短期間でまとまった人数の採用が必要になります。 |
| 介護業 | 離職による欠員補充が多く、需要増に担い手が追いついていない傾向があります。 |
| 警備業 | 離職が多く、欠員補充が発生しやすい業界です。イベントや時期の需要変動もあり、大量採用が発生します。 |
| コールセンター業 | 離職による欠員補充が多い業界です。また、キャンペーンなどの繁閑差に応じて人員を増減させています。 |
| 人材派遣業 | 派遣先企業の需要にあわせて登録スタッフを確保しておく必要があり、大量採用が常態化しやすい業界です。 |
大手企業の新卒採用による大量採用は、欠員補充と性質が異なります。大手企業では、毎年の事業計画にもとづき一定数を計画的に採用し、育成前提で配置する点が特徴です。
こうした業界や大手企業の大量採用において必要な人数を期限内に確保するには、計画的な逆算と選考のスピードが欠かせません。
大量採用のメリット
大量採用には、人員確保のしやすさ・採用単価の抑制・育成の効率化という3つのメリットがあります。
ここでは、大量採用のメリットについて解説します。
事業計画に必要な人員数を確保できる
大量採用のメリットの一つは、新店舗の立ち上げや事業拡大の計画に合わせて、必要な人員数を確保しやすくなることです。
少人数の採用を積み重ねる方法では、増員のタイミングに人数が追いつかないことがありますが、大量採用でまとめて母集団を形成すれば、事業計画上の人員数を期限内に確保しやすくなります。
1人あたり採用単価を抑制できる
大量採用のメリットには、1人あたりの採用単価を抑制できることが挙げられます。
大量採用では、求人広告の掲載や説明会の開催など、人数にかかわらず一定額発生する固定費を採用人数で割る形になるため、まとめて採用するほど1人あたりのコストは抑えることが可能です。少人数の採用を複数回に分けるとそのたびに固定費がかかるため、大量採用でまとめて実施すれば費用の重複を避けられます。
研修・育成を効率化できる
大量採用のメリットには、研修や育成にかかるコストを効率化できることがあります。
大量採用では、同じ時期に入社した人数分をまとめて研修を実施できるため、同じ内容の研修を複数回に分けて行う必要がなくなります。
また、同時期に立ち上がる人数が多いと、配属後の習熟度を横並びで把握しやすく、入社後にフォローが必要な新人を早い段階で見つけやすくなります。
大量採用のデメリット
大量採用を進めるうえでは、見極めの精度・求職者との関係・企業イメージの3点に注意が必要です。
ここでは、大量採用のデメリットを解説します。
一人ひとりの見極めの精度が下がりやすい
大量採用では、一人ひとりの応募者に対して選考にかけられる時間が少なくなり、ミスマッチが生じやすくなる傾向があります。
採用担当者や面接官のリソースには限りがあるため、応募数が増えるほど1人あたりの面接時間や検討時間は圧縮されがちです。通常なら複数回に分けて確認する適性や志向を、一度の短い面接で判断せざるを得ない場面も出てくるでしょう。
その結果、本来であれば見送るべき求職者を通過させたり、逆に自社に合う人材を見落としたりするケースも起こり得ます。
求職者との関係が希薄化しやすい
大量採用では、応募者一人ひとりとの関係が希薄化しやすい傾向があるので注意が必要です。
応募者数が増えるほど、一人ひとりと接点を持つ機会が減り、志望動機や不安を把握しないまま選考が進みやすくなります。内定後の接点が入社案内のみにとどまるなど、関係を築く機会そのものが不足しがちになります。
このような関係の希薄化は、結果として辞退や早期離職につながることもあるでしょう。
求職者から警戒されやすいイメージ
大量採用という言葉に対して、「大量に採用しても、辞める人が多いため人手不足なのでは」「ブラック企業なのでは」といった警戒感を抱く求職者もいます。
特に、応募のハードルを下げた求人広告や短期間の募集を通じて大量採用を行う場合、この印象はいっそう強まりやすくなります。
このようなイメージは、実際の選考体制や定着支援の有無とは関係なく、先行して抱かれる場合があります。そのため、求人内容や情報発信の方法に配慮することが必要です。
大量採用を成功させるポイント
大量採用の成功の鍵は、必要応募数の逆算、手法の使い分け、評価基準の統一、内定後のフォローの4点です。
ここでは、大量採用を成功させるポイントについて解説します。
必要応募数を逆算して採用計画を立てる
大量採用を成功させるポイントには、必要応募数を逆算して採用計画を立てることが挙げられます。
採用計画は、最終的に必要な採用人数から逆算して、各段階で必要な人数を割り出すと精度が上がります。
たとえば、以下は「期限3ヶ月で30名を採用する」場合のシミュレーションです。
【例:3ヶ月で30名を採用する場合の実施スケジュール】
- 1〜2ヶ月目:募集・応募集め
- 2ヶ月目までに必要応募数(670名)を集めきるのが目標
- 2ヶ月目:面接のピーク
【例:3ヶ月で30名を採用する場合の必要人数】
| 選考段階 | 歩留まり率 | 必要人数 | (計算式) |
| 採用決定(目標値) | — | 30名 | — |
| 内定 | 内定承諾率 50% | 約60名 | 30名÷50% |
| 面接 | 面接通過率 30% | 約200名 | 60名÷30% |
| 書類選考通過 | 面接設定率 60% | 約334名 | 200名÷60% |
| 応募 | 書類通過率 50% | 約670名 | 334名÷50% |
最終的に30名を採用する場合、応募数は約670名を集めることが目標人数になります。
自社で計算する際は、以下の表に自社の歩留まり率と必要人数を当てはめて使ってください。
| 選考段階 | 用いる歩留まり率 | 自社の歩留まり率(記入欄) | 必要人数(記入欄) |
| 採用決定(目標値) | 内定承諾率 | ||
| 内定 | 面接通過率 | ||
| 面接 | 面接設定率 | ||
| 書類選考通過 | 書類選考通過率 | ||
| 応募 | — |
実際には、求人票の作成や媒体選定・出稿準備にも時間がかかります。それらの工数も考慮し、早めに動き始めましょう。
採用KPIの立て方は以下の記事で解説しています。
採用手法を使い分けて母集団を形成する
大量採用を成功させるポイントの一つは、採用手法を使い分けて母集団を形成することです。
母集団を効率よく形成するには、大量採用との相性が良い手法を組み合わせて使うことが重要です。
大量採用でよく使われる手法には、求人媒体、求人検索エンジン、人材派遣、リファラル採用、採用代行、ダイレクトリクルーティングなどがあります。それぞれの手法と大量採用との相性は、下記の表のとおりです。
| 採用手法 | 大量採用との相性 |
| 求人媒体 | 短期間で母集団を確保しやすい |
| 求人検索エンジン | 幅広い層にリーチできる。一方で、応募の質にばらつきが出やすい |
| 人材派遣 | 必要な人数をスピーディーに確保しやすい |
| リファラル採用 | 定着につながりやすい。一方で、大人数を短期間で集める用途には不向き |
| 採用代行 | 母集団形成の業務を任せられる。一方で、代行費用がかかる |
| ダイレクトリクルーティング | 狙った層にアプローチできる。一方で、大人数向けの運用には工数がかかる |
集められる母集団の規模やスピード、費用の構造がそれぞれ異なるため、自社の採用人数や期限に合わせて組み合わせて使うことがポイントです。
評価基準を統一して見極めの質を保つ
大量採用では複数の面接官が携わったり、拠点ごとに面接を行ったりするため、評価基準をあらかじめ言語化しておくことが見極めの質を左右します。
面接官ごとに重視するポイントや評価の付け方が異なると、同じ求職者に対しても合否の判断が分かれてしまい、選考全体の一貫性が失われかねません。
この問題を防ぐには、評価項目と評価基準をあらかじめ言語化し、面接官の間で共有しておくことが有効です。たとえば、コミュニケーション力や協調性といった評価項目ごとに、何をもって基準を満たすとするかの目安を具体的に決めておきます。評価シートやチェックリストの形に構造化しておくと、面接官による解釈のばらつきを抑えやすくなります。
面接の評価シートの作り方は以下の記事で解説しています。
内定後のフォローで辞退と早期離職を防ぐ
大量採用において、内定を出した後のフォローと受け入れ準備が、辞退や早期離職の防止につながります。
大量採用では内定者一人ひとりへのフォローが手薄になりやすく、入社までの間に不安や迷いが生まれることもあります。内定者面談や懇親の機会を設けたり、入社までに必要な手続きや準備事項を分かりやすく案内したりすると、内定者は安心して入社日を迎えやすくなります。
また、受け入れ側の準備も欠かせません。配属先の体制や研修スケジュールを内定者に事前に整えておくと、入社後の立ち上がりがスムーズになり、早期離職の防止にもつながるでしょう。
大量採用の問題点
大量採用でつまずきやすいのは、応募を集める段階よりも、集まった応募を期限内にさばく選考の段階です。選考の運用が物理的に回らなくなるという実務上の問題があります。
| 大量採用の問題点 | 問題の詳細 |
| 特定期間への業務の集中 | 大量採用においては、選考対象となる母数が多い初期段階に業務が集中します。1件ずつの作業は短時間でも、短期間に重なることで現場の運用は物理的にパンクしやすくなります。 |
| 業務過多による選考の停滞 | 業務過多の状態では、選考に対応する面接官が不足したり連絡が遅くなったりして、リードタイムが長期化します。求職者は他社と並行選考をしていることも多く、対応の遅れは途中辞退を招きます。 |
| 人による対応の限界 | 大量採用の業務によって採用担当者の負担が大きくなり、仕事が追いつかなくなったりヒューマンエラーを引き起こしたりします。また、人員不足を解消するために増員した場合は、採用コストが肥大化します。 |
人員の増員による対応には限界があり、対応が後回しになるほど内定辞退が増えやすくなります。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、令和8年5月分の職業別有効求人倍率(常用・パートタイム含む、新規学卒者を除く原数値)は、保安職業従事者(警備員など)で5.64倍、介護サービス職業従事者で3.61倍、自動車運転従事者で2.37倍、接客・給仕職業従事者で2.28倍でした。大量採用を行う企業・業界の例として挙げたこれらの職種では、求職者1人あたりの求人数が2件を超える状態にあり、求職者側から見れば選べる求人が多い状況です。
このような状況下では、内定辞退の防止に注力する重要性が増します。
大量採用を成功させるためには、人手に頼るのではなく、採用ツールやAIを導入して選考業務を効率化することがおすすめです。具体的な方法は、次章で解説します。
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)について」
大量採用を効率化する方法
大量採用を効率化する方法は、採用ツールによる定型業務の効率化と、選考そのものの自動化です。
効率化・自動化によって、前章で挙げたような業務過多で引き起こされる問題を解消できます。
定型業務を採用ツールで効率化する
大量採用で発生する書類確認・日程調整・合否連絡といった定型業務は、採用管理システム(ATS)などの採用ツールで負荷を大幅に減らせます。
応募者情報を一元管理すれば、書類の確認状況や選考ステータスを一覧で把握でき、面接の日程調整や合否連絡もツール上である程度自動化できます。担当者が一人ひとり手作業で対応する部分を減らせるため、応募数が多い大量採用ほど効果を実感しやすくなります。
選考の一部を自動化する
定型業務の効率化に加えて、ツールの導入によって選考の一部を自動化することも、大量採用において有効です。
書類選考の自動化やAI面接、自動スコアリングの機能を活用することで、大量採用における選考プロセスそのものの負荷を下げることが可能です。
たとえば、AI面接は24時間365日対応でき、多人数の求職者が同時に受験できます。面接は自動で進行するため、面接官一人ひとりの稼働状況に選考の進捗が左右されにくくなります。また、書類選考や面接の結果を一定の基準で自動的にスコアリングできるため、評価のばらつきを抑えながら選考のスピードを保てます。
また、自動化によって、担当者の時間を面談や内定者フォローといった、人にしかできない接点に振り向けやすくなります。デメリットの章で触れた、求職者との関係の希薄化を防ぐうえでも有効な手段です。
こうした自動化を支援するサービスとして、レバレジーズ株式会社が運営する「NALYSYS AI面接」があります。

「NALYSYS AI面接」は中途採用や新卒採用、人材派遣・アルバイト採用といった大量採用にも対応可能です。プロの面接スキルを搭載したAIが採用担当者に代わり、書類選考・一次面接を効率的に進めます。
「NALYSYS AI面接」は、実際に大量採用の選考プロセスにおいて活用されています。
株式会社征東さまは新店舗の立ち上げにあたり、採用活動のための時間や場所、ノウハウが不足する課題に直面していました。そこで「NALYSYS AI面接」を導入し、以下の成果を上げています。
- 場所や時間に縛られず、客観的な選考が可能になった
- 採用工数を80%以上削減できた
- 200名以上の応募に対して、面接工数をほぼゼロに抑えられた
- 候補者体験が向上し、高い入社意欲につながった
- 約40名の大量採用に成功した
AI面接ツールの導入により、大量採用の効率化と応募者の高い入社意欲を両立させています。
導入インタビューの全文は、「時間・場所・ノウハウ不足の『三重苦』を突破し、約40名採用を実現。応募者にも寄り添う『NALYSYS AI面接』の活用法」よりご覧ください。
まとめ
大量採用を成功させるには、採用予定人数から必要応募数を逆算した計画づくりが大切です。採用計画を立てたら、適切な採用手法を組み合わせて母集団形成し、必要な応募者数を確保しましょう。また、選考にあたっては評価基準を統一して、大量採用でも見極めの質を維持できるようにします。
内定後のフォローも重要です。大量採用では内定者一人ひとりへのフォローが手薄になりやすい傾向があるため、事前にしっかり準備して内定者フォローに取り組みましょう。
そのほか、集まった大量の応募を予定どおりに進められるような選考体制の設計が欠かせません。
大量採用の選考には、定型業務を効率化できる採用ツールや、選考の一部を自動化するAIツールを導入することがおすすめです。
レバレジーズ株式会社では、採用・配置・マネジメント・労務DXまでを支援するAIプラットフォーム「NALYSYS(ナリシス)」を提供しています。
「3分でわかるNALYSYS」では、NALYSYSの機能の概要をまとめています。いずれも無料でダウンロードできますので、大量採用の体制づくりにぜひご活用ください。
大量採用に関するよくある質問
大量採用を検討する採用担当者からよく寄せられる質問に回答します。実務で判断に迷いやすい3つの論点を取り上げます。
Q. 採用代行(RPO)と自社運用はどちらがよいですか?
A. 大量採用の実施体制は、恒常的か一時的かがまず判断軸になります。
採用代行(RPO)では、母集団形成や応募者対応、日程調整といった採用実務を外部に委託できます。単発・短期の大量採用であれば、こうした外部委託が有力な選択肢になります。
一方、大量採用が恒常的に続く場合は、自社内で採用を仕組み化したほうが費用面で有利になりやすく、選考のノウハウも社内に蓄積されます。
Q. 大量採用はネガティブな印象を持たれませんか?
A. 大量採用への警戒感は、伝え方次第で和らげられます。
大量採用は「離職を前提にしているのでは」という印象を持たれやすい傾向があります。求人票で仕事内容や条件を具体的に開示し、連絡の速さや対応の一貫性など選考体験を丁寧にしたうえで、入社後の定着実態を発信すると、こうした警戒感の解消につながります。
Q. アルバイト・パートの大量採用で気をつけることは何ですか?
A. アルバイト・パートの大量採用では、応募から面接までのスピードがとくに重要です。 応募直後の連絡や面接日程の即時設定に加え、シフト条件など就業条件を明確に伝えることが欠かせません。また、一定数の辞退が生じることを前提に、必要な応募数や採用人数を多めに見込んだ歩留まり設計も求められます。
